薬物で逮捕、「女優復帰は考えていない」と明言していた沢尻エリカ(40)の活動再開を後押しした相手とは《7年ぶり映画出演、成田凌とは現場で…》
〈「私は崩壊寸前で、すべてが嫌だった」実兄の急死、スピード離婚、「別に」騒動の真相は…俳優業に完全復活した沢尻エリカ40歳の“激しい人生”〉から続く
きょう4月8日、俳優の沢尻エリカが40歳の誕生日を迎えた。今年2月には7年ぶりとなる出演映画が公開するなど、今一度、俳優としての存在感を高めている。
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批判を浴びた「別に」騒動、結婚・離婚、休業を経て、2012年の主演映画が大きな話題に。“完全復活”したかに見えたが、その後……。(全2回の2回目/初めから読む)

2013年、『ヘルタースケルター』で日本アカデミー賞主演女優賞を受賞した時の沢尻エリカ ©文藝春秋
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「私の20年間を全てこの役にぶつけようと」復帰→大河の予定が…
沢尻エリカは2012年に映画『ヘルタースケルター』などで俳優業を再開してからというもの、映画やドラマにコンスタントに出演した。2014年に8年ぶりに地上波の連続ドラマで主演を務めた『ファースト・クラス』(フジテレビ系)は、時間帯を変えながら第1期、第2期と放送された(第2期のタイトルには「・」は入らない)。同作ではファッション雑誌の編集部を舞台に、女性同士がマウンティングを繰り広げるなかでのし上がっていく主人公・ちなみを演じ、視聴者の共感を集める。
2019年には『ヘルタースケルター』監督の蜷川実花と再び組み、小栗旬主演の映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』で作家・太宰治の愛人の一人を演じた。この年には、翌2020年のNHKの大河ドラマ『麒麟がくる』で戦国武将・織田信長に嫁ぐ帰蝶(濃姫)の役に起用され、撮影に入っている。当時のインタビューでは、《私がNHKのドラマに出る日が来るとは思わなかった。だから、大河の記者発表では、ちょっと泣きそうでした。(中略)共演者もスタッフもセットも全て素晴らしい。だから私の気合も半端じゃなくて、私の20年間[引用者注:芸能界デビューからの年数]を全てこの役にぶつけようと思っています》と意気込みを見せていた(『Numero TOKYO』2019年10月号)。
「いつでも薬物を止められると思っていたが、気がつけば…」
だが、順調そのものだった状況が、この直後、突如として暗転する。2019年11月、沢尻は違法薬物を所持していた疑いで逮捕されたのだ。すでにその10年前に所属事務所を解雇されて数年が経ったころから、マスコミでは薬物疑惑が取り沙汰されていた。翌2020年に行われた裁判で彼女は、「いつでも薬物を止められると思っていたが、気がつけば薬物を制するより、制される状態になっていた」と、薬物依存に陥っていたことを認める。判決では懲役1年6月、執行猶予3年を言い渡された。
『麒麟がくる』の沢尻の出演シーンは結局、川口春奈を代役に立て、すべて撮り直して放送された。これについてはNHKが検討していると報じられたときから、ネット上では収録済みのシーンを予定どおり放映するよう訴えるキャンペーンが展開され、3万人以上が署名している。薬物使用はもちろん罰せられるべきことではあるが、一方で当事者がいずれは社会復帰できるよう、十分な治療のほか社会の寛容さも必要だという認識が徐々に広まりつつあったころだった。
裁判では「女優への復帰は考えていません」…復帰を後押しした存在
沢尻もまた治療を続けながら、執行猶予の期間が終わるまで沈黙を保つ。裁判では「女優への復帰は考えていません」と述べていたが、その後、彼女のなかでは葛藤があったようだ。2024年、舞台『欲望という名の電車』で俳優業を再開するにあたっては、戸惑う自分を後押ししたものは何だったのかと問われ、次のように答えている。
〈《光栄にも、私のファンでいてくださる方々に、偶然にもお会いする機会があったんですよね。『やめないで』と涙まで浮かべてくださったり、応援していると真っすぐに伝えてくださったりして。実はこれまで、ファンの方の存在はなぜかすごく遠いものでした。でもその思いに直に触れることができたとき、『申し訳なかった』『恩返しがしたい』その両方の思いが素直にあふれ出てきたんです》(『GINGER』2024年2・3月号)〉
初舞台で、目の前の観客と一緒に作品をつくっているという感覚を味わい、すっかりハマった沢尻は、今年(2026年)、『ピグマリオン―PYGMALION―』で2度目の舞台に立った。オードリー・ヘップバーン主演で映画化もされたミュージカル『マイ・フェア・レディ』の原作(作者はイギリスのノーベル賞作家バーナード・ショー)であるこの作品で、彼女は主人公のイライザを演じた。貧しい花売り娘だったイライザは、言語学者のヒギンス教授(六角精児)の徹底した指導のもと上流階級の言葉を体得するが、そのことを自らの手柄だと酔いしれる教授と最終的に決別し、花屋を開くという彼女自身の夢をかなえる。その変貌ぶりを沢尻は見事に演じていた。
さらに今年2月には、7年ぶりの出演映画『#拡散』が公開された。こちらは、気鋭の中国人監督・白金(バイ・ジン)が日本の地方都市を舞台に、コロナ禍以降、顕著となった社会の分断をテーマに撮った意欲作だ。そのストーリーは、成田凌演じる男が、妻が急死したのはコロナワクチンの副作用が原因だと思い込み、ひとりで医師を告発するうち、大きな動きに巻き込まれていくというもので、沢尻はそのなかで重要な役割を担う新聞記者を演じた。
沢尻演じる記者もまた、地方の支社に心ならずも転勤させられたという事情を抱え、何とかして東京に戻るため特ダネをものにしたい一心で男に接近する。現実の彼女はこれまでマスコミからさんざんバッシングを受けてきただけに、このキャスティングにはある種の批評が込められているようにも思える。
「沢尻さんはピンと張り直してくるんです」
成田凌は沢尻との共演について、《信治[引用者注:成田の役名]は緊迫した空気に耐えられるような心の強い人物ではないので、ピンと張った糸を緩めるようなスタンスで演じましたが、沢尻さんはピンと張り直してくるんです。緩めて、張って、の攻防を自然と繰り広げられました》と語っている(『#拡散』パンフレット、松竹・事業推進部、2026年)。現場の雰囲気を牽引するかのような彼女の演技はかつての作品にも通じ、もうすっかり調子を取り戻したのだと感じさせる。
沢尻は、2年前に活動を再開するにあたり《演技の世界に戻ると決めた今、私のなかに初めて“夢”ができたんです。どんな夢か? …それはまだ、自分の心のなかだけに留めさせてください》とほのめかしている(『GINGER』前掲号)。その夢も、いつかあきらかになる日が来るのだろう。
「40代になることが楽しみ」だった理由
彼女は20歳になったときに《20代は、30代のためにあると思ってます》として、そのためにいい経験も、失敗もたくさんしたいと抱負を述べていた(『日経エンタテインメント!』2006年10月号)。そうした考え方は一貫しており、休業を余儀なくされる直前、33歳のときにも、《私自身、芝居も人としてもまだまだだけど、日々の積み重ねで成長できていると実感している。誰よりもハングリーでポジティブだから成長しかないと思っている。どこまでも行けるし、行くしかない。だからこれから年を重ねて自分がどう変わるのか、40代になることが楽しみなんです》と、前向きに語っていた(『Numero TOKYO』2019年10月号)。
いよいよ40代を迎えた彼女が、これまでの失敗も含めて経験を糧に、どんなふうに変わっていくのか。今年に入ってからの出演作を見るにつけ、期待しかない。
(近藤 正高)
