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 ◇セ・リーグ DeNA5−3中日(2026年4月7日 横浜)

 言葉では表現できない光景が広がっていた。4年目で悲願のプロ初勝利を手にしたDeNA・橋本は、目を潤ませながらお立ち台からの景色を目に焼き付けた。「本当に幸せな気持ちです。うまくいかないことも多くて…。両親に“ありがとう”と伝えたいです」。本拠地のファンの声援を浴び、苦しい日々を支えてくれた家族の顔を思い浮かべていた。

 打線が一挙4得点で逆転に成功した直後の5回、2番手でマウンドに上がった。先頭ボスラーをカーブで二ゴロに斬り、細川とサノーはフォークで見逃し三振。小杉チーフ投手コーチが「パラシュート・フォーク」と名付けた、一度浮き上がってから大きく落ちる宝刀が威力を発揮した。

 兵庫県屈指の進学校・長田から慶大に進学も、入学直前に国指定の難病「IgA腎症」と診断され、入院生活を余儀なくされた。プロ入り後も24年6月に右肩の手術を受け、育成選手を経験した。「プロ野球選手の実感がなく、後ろめたさを感じて過ごした日々」で支えになったのが、チームの先輩たちだ。

 国指定の難病「胸椎黄色じん帯骨化症」から復活し、昨季限りで引退した三嶋一輝氏がいつも気にかけてくれた。「僕の気持ちを理解してくれる人が近くにいてくれることがうれしかったし、ありがたかった」。今ではブルペンに欠かせない存在になりつつある。長田出身ただ一人のプロ野球選手は「勝ちの試合でどんどん投げられるように」。苦労人が目指すのはより高い場所だ。(重光 晋太郎)

 ◇橋本 達弥(はしもと・たつや)2000年(平12)7月18日生まれ、兵庫県出身の25歳。長田から慶大に進み、東京六大学リーグ通算36試合で2勝2敗、防御率1・19。4年春には防御率1位に輝いた。22年ドラフト5位でDeNA入団。24年オフに育成選手となり、昨季7月に支配下選手に復帰。8月8日の巨人戦で救援としてプロ初登板。1メートル81、84キロ。右投げ右打ち。

 ≪プロ初登板初先発!!深沢力投4回1失点≫デュプランティエの登板回避で急きょプロ初登板初先発した5年目の深沢が、4回6安打1失点と力投した。「雰囲気にのまれた」と振り返る初回は3安打を浴びて1点を失うも、2回以降は粘り抜いた。応援に駆けつけた両親の前で、3回のプロ初打席では同初安打も放った。24年3月に右肘のじん帯再建術(通称トミー・ジョン手術)を受け、育成選手も経験した苦労人。プロ初勝利はお預けとなったが「チームが勝つことが一番」と初々しく笑った。