視察に訪れたドジャースのゲレン・カー球団副社長【写真:柳瀬心祐】

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昨夏甲子園Vの沖縄尚学・末吉、横浜・織田、大阪桐蔭・川本…

 侍ジャパンU-18(18歳以下)日本代表の候補選手強化合宿が3日、奈良県内のグラウンドで始まり、招集された高校生41選手(3年生38人、2年生3人)が参加した。5日まで3日間の予定。今秋(もしくは来秋)のドラフト候補生がズラリと顔をそろえるとあって、初日から巨人、阪神、広島を除くNPB9球団・23人のスカウトが足を運んだ他、MLBからも異例の9球団のスカウトが集結した。

 MLBからはドジャース、ヤンキース、パドレス、メッツ、ロイヤルズ、レンジャーズ、フィリーズ、アストロズ、タイガース。NPBのスカウトはスーツ姿が多かったのとは対照的に、MLBのスカウトの服装は様々だったが、所属チームのロゴが入ったキャップやウエアを身に着けている人が多かった。

 今回の強化合宿には、昨夏の甲子園で沖縄尚学を全国制覇に導いた左腕・末吉良丞投手(3年)、横浜(神奈川)の最速154キロ右腕・織田翔希投手(3年)、2年生ながら3月の選抜高校野球大会で大阪桐蔭の優勝の原動力となった“怪物左腕”川本晴大投手ら、プロ垂涎の素材がめじろ押し。

 彼らの体格は川本が192センチ、95キロ。織田も185センチ、80キロ。さらに言えば、選抜で負傷し今回の合宿には参加できなかったが、二刀流で圧倒的なポテンシャルを誇る山梨学院・菰田陽生投手(3年)に至っては194センチ、101キロを誇る。近年は日本人の高校生の体格もすっかり変わり、“メジャーサイズ”の選手が増えたと実感させられる。

 レンジャーズの古河有一環太平洋地域ディレクターは「体格はともかく、ドジャースの大谷翔平投手、山本由伸投手らの活躍で、MLB球団の日本人選手に対する評価は上昇していると思います。それをうけて、日本の高校からNPBや大学を経ずに直接MLB入りを志す選手が増えていますよね」と指摘する。

「このまま高校生のMLB志向が強まれば規制が設けられるかもしれない」

 確かに、二刀流で一昨年のドラフト候補だった森井翔太郎内野手は、桐朋(東京)から直接渡米する意向を表明し、アスレチックスとマイナー契約を交わした。昨年はマイナーで野手として実績を積み、メジャーへの足掛かりをつくった。

 また、花巻東(岩手)時代に高校通算140本塁打を量産した佐々木麟太郎内野手は、プロ志望届を提出せずに米スタンフォード大に進学。昨秋のドラフトでソフトバンクから1位指名されたが、今年7月のMLBドラフトと“両にらみ”の状況となっている。こうした海外志向の強まりが、MLBスカウトが日本の高校生に熱視線を送る理由の1つとなっているのだろう。

 一方で、前出の古河ディレクターは「かつて野茂英雄氏や伊良部秀輝氏がMLBへの道を切り開いた後に、ポスティングシステムができたように、このまま日本の高校生のMLB志向が強まれば、日本球界はまた何らかの規制を設けようとするかもしれませんね」と複雑な思いもにじませた。

 初日終了後、メッツの日本渉外担当兼スカウトの松沢賢三氏が「日本の高校生の有望選手をこうして1か所で見られる機会はめったにありませんから、ありがたいです」と感想を語ると、これにヤンキースのアレックス・サンダーランド環太平洋地域プロスカウトは「確かに、その通り。(参加した41選手にちなんで)“1石41鳥”ですね」と流ちょうな日本語で応じて、うなずいた。

 有力な高校生ほど、直接のメジャー流出を恐れNPB球団が気を揉む時代が既にやって来ているのかもしれない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)