水戸戦で強烈なミドルを突き刺し、先制点を奪った中川。写真:鈴木颯太朗

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 柏レイソルの中川敦瑛が3月22日に行なわれたJ1百年構想リーグ地域リーグラウンド第8節の水戸ホーリーホック戦(3−0)で、強烈なミドルシュートを突き刺した。自身の今季初得点だ。

 昨季、法政大から柏へと加入した23歳MFは、熊坂光希が負傷離脱した6月以降にボランチのレギュラーに定着。もともとはシャドーやサイドハーフを本職としていたなかで、アグレッシブな攻撃参加や持ち前のテクニックを活かしてレイソルのポゼッションスタイルに順応してみせた。

 試合を重ねてJ1の強度にも慣れると、チームに欠かせない存在へと成長を遂げる。プロ初年度の昨季は公式戦29試合に出場。彗星の如く現れた大卒ルーキーは多くの称賛を集め、タイトル獲得を狙う2年目の今季にも活躍への期待が高まっていた。

 しかし、その注目度と同様に警戒が高まるのも事実。後に「自分の良さを全く出せない試合だった」と振り返った開幕節の川崎フロンターレ戦(3−5)以降も思うようなプレーを披露できず。チームも開幕3連敗を喫するなど苦しい船出を強いられた。

「2年目はよりチームの中心としてやっていくという気持ちで試合に臨んでいるのですが、なかなか結果が得られていない。そこは自分にもすごく責任がありますし、もっと違いを出していかないといけない存在だと思っているので、追求してやらないといけないです」

 取材時の暗い表情と記者陣へ向けた精一杯の笑顔から、強い責任と忸怩たる思いを感じさせた。
 
 その後、第6節のFC町田ゼルビア戦(0−1)に敗れたチームは、早くも昨季に並ぶ5敗目を記録。中川自身も精神的に下向きになってしまいそうな状態のなかで、「スタッフ陣から前向きな言葉をかけてもらえた」ことでなんとか持ち直した。

 そして中3日で行なわれた翌節の浦和レッズ戦(1−1、PK4−2)では、序盤から敵陣に進入してポスト直撃のミドルを放つなど躍動し、“らしさ”を取り戻した。

 その要因の1つとして挙げたのが、ポジションの変化だ。これまでボランチの左で先発していたものの、浦和戦では原川力のスタメン復帰によって右で先発。視界の角度が変わって「右利きだからこそボールを隠しながら運べる」とやりやすさを感じ、それが前進のしやすさも繋がった。

 後半途中には、リカルド・ロドリゲス監督が島野怜の投入とともに中川を左へ移すつもりでいた。しかし指揮官は「(中川)本人から試合中に『右のほうがいい感触があるから右のままでいい』と話があった」と希望を聞き入れ、そのまま右でプレーさせたという。

 連戦の疲労で足を攣って途中交代したが、いい感触は水戸戦でも継続。これまで鬱憤を晴らすかのような豪快弾で先制点を挙げ、「あのような思いきりの良さをどんどん出していきたいです」と晴れ晴れとした表情で語った。

 主力として活躍するがゆえに忘れがちだが、もともと攻撃的なポジションを主戦場としていたためにボランチはまだ挑戦の途中だ。

 ただ、誤解を恐れずに言えば、中川はブレイクした翌年に伸び悩む“2年目のジンクス”などという陳腐な型にはまるような男ではない。試合に出続けて芽生えた責任感と生じた課題をパワーに代え、成長を重ねている。やがて手がつけられない存在へと飛躍を遂げるはずだ。

文●藤井圭(サッカーライター)

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