「支給額が減るからバイト禁止」生活保護世帯で育った18歳女性の苦悩。抜け出せない“貧困の連鎖”
◆10代の生活保護受給者は減少傾向にあるが…
現在、関東近郊に暮らす山下優那さん(仮名・18歳)もその一人。物心ついたときから生活保護世帯で育った。母子家庭で、母親は精神疾患を抱えており、就業できなかったためだ。
「同級生とうまくコミュニケーションが取れなくて高校を中退してしまったんですが、イラストの勉強がしたくて、美大を目指し通信制高校に入り直そうと思い立ったんです。親からの援助は望めないので、自分で学費を稼ごうと思ったんですが、親から『アルバイトはダメ』と止められた。ウチが普通じゃないのは、小さい頃から感じてましたが……」
生活保護世帯では、世帯員の収入が一定額増えると保護費が減額される仕組みになっている。山下さんの収入が家計に影響するため、母親は彼女のアルバイトを禁じたのだ。
「無断でアルバイトをしないよう、私のマイナンバーカードを取り上げて、応募自体ができない状態にされていました。身分証がなくても働ける、歌舞伎町のコンカフェでバイトしようとしましたが、そこでも年齢を理由に断られました。結局、パパ活でお金を稼ぐしかなかったんです」
◆ようやく家を出ることができたが…
その後、何度も頼み込んだ末、ようやく家を出ることができた山下さん。現在は友人のシェアハウスに居候しているが、いつ住む家がなくなるかわからない。収入も月5万円と乏しく、生活は綱渡りだ。
「家を借りようにも親は保証人に絶対なれない。それに『もう帰ってこないで! 18歳になったんだから一人で頑張れ』だって。今の制度は親は助かるかもしれないけど、子供は困る。親があんまりいい人じゃなかったら、子供に自立する意思があってもできないんですよ」
我慢。仕方がない。山下さんは自分にそう言い聞かせ、今を生きている。
山下さんのような生活保護二世のために、働きかけを行っている人がいる。自身も生活保護世帯出身で、大学で貧困について研究している儚さん(24歳)だ。
「3歳のとき、アルコール依存症で家庭内暴力の激しい父から逃れるため、母に連れられて京都に夜逃げしました。まともな食事習慣がなくて、部屋も汚かった。母に包丁を向けられたこともありました」
◆大学に進学するには「世帯分離」が必須
高校生になり、大学進学を目指した儚さん。努力の末、地方の国立大学に志望校を決めるところまできた。
「母には『大学行くなら、保護費が減った分はお金入れて』と言われました。大学生は、原則として生活保護の対象外。生活保護世帯の子が大学に進学するには、世帯分離する必要があります。生活保護法は、戦後間もない昭和の頃に作られた法律で、当時は大学進学率が低かったので、大学は贅沢品という扱いです。生活保護では、世帯普及率が7割を超えるものは『生活必需品』と見なされる。今は大学・短期大学、専門学校を合わせると、8割の人が進学しているのに……」

