岩谷産業(8088)は18日、取引時間中に年初来高値を更新した。終値は前日比129.5円高の2,094.5円となり、市場では水素関連株への物色熱が高まっている。トヨタ自動車と千代田化工建設による水素製造装置の量産報道が買いの手掛かりとなった。

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 岩谷産業は水素の供給網やステーション運営で国内トップシェアを誇る。水素社会実現に向けた基盤構築の「本命」と目されており、関連ニュースが物色を促した。

 水素関連の材料は、政府の「水素基本戦略」に基づき、インフラ整備や実証実験などの追加情報が今後も供給されやすく、中長期的な物色の柱となる可能性がある。

■水素供給網のリスクと希少性の再評価

 一方で、2月に発表された2026年3月期第3四半期決算での営業利益27.1%下方修正という事実は、悪材料として出尽くしたとの見方が強い。修正の要因はヘリウム市況の軟化やLPガス価格の下落だった。だが現在は、中東産ヘリウムの供給途絶リスクにより、国内2カ所に大規模なヘリウムセンターを擁する同社の希少性が再評価されている。

 また同社が、半導体相場の「裏銘柄」として機能し始めるとの見方も浮上している。供給網リスクを背景に、国内シェア首位のヘリウム調達力が経済安全保障上の強みとして再定義されたためだ。レアアース精錬事業への出資など、資源・エネルギー複合企業としての多角的な側面も、投資家の関心を集める要因となっている。

■需給改善と19日の首脳会談への期待

 需給面では、2,000円台の定着が新たな上昇局面の入り口となる可能性が、市場の動きから見て取れる。18日に出来高を伴って年初来高値を更新し、過去のしこり玉を吸収した形跡があるためだ。上値に抵抗が少ない「真空地帯」に入ったとの見方から、短期的な資金流入がさらに加速する可能性が高い。

 市場では19日に予定される日米首脳会談への関心も高まっている。会談内で水素インフラ整備に関する具体的言及があれば、さらなる株価の支援材料になると期待する声が一部で聞かれる。

 ただし政策期待が先行している側面は、否めない。会談内容が想定内にとどまった場合には、事実売りが先行するリスクも要確認である。