イヤホンを定期的に掃除した方がいい理由とは?

多くの人は日常的にイヤホンやヘッドホンを装着し、1日に何時間も音楽やポッドキャストを聴いています。ところが、特に耳の穴(外耳道)に先端を差し込むインナーイヤー型やカナル型のイヤホンを使っていると、予期せぬ健康問題が生じる可能性があるとのこと。オーストラリアのカーティン大学健康科学部の研究員を務めるリナ・ウォン博士が、「イヤホンを使う人が耳を清潔かつ安全に保つためのアドバイス」をまとめました。
https://theconversation.com/heres-why-you-might-want-to-clean-your-headphones-255590

◆耳の構造はどうなっているのか?
人間の耳(外耳)は、弾力のある軟骨で形成された音を集める部位である耳介(耳殻)と、音波が入っていく外耳道から構成されています。
一般的なオーバーイヤー型のヘッドホンは外耳全体をイヤーパッドが覆うように設計されています。一方でインナーイヤー型のイヤホンやカナル型のイヤホンは、外耳道の入り口に先端がフィットするように設計されています。耳栓や補聴器などもこれらのイヤホンと同様に、外耳道の入り口にフィットする形状のことがほとんどです。
外耳道の奥深くでは耳あかと皮脂が分泌されており、これらが皮膚を健康に保つとともに潤いを与え、感染症のリスクを軽減するのに役立っています。また、外耳道内の微細な毛は体温調節や異物の侵入を防いでおり、微細な毛と耳あかによって侵入した粒子や剥がれた皮膚、細菌などが外耳道から排出されているとのこと。以下の図で、緑色で示された部分が外耳道です。

by Lars Chittka; Axel Brockmann
◆イヤホンが耳の細菌に与える影響とは?
健康な外耳道には細菌や真菌、ウイルスといったさまざまな種類の無害な微生物が存在しています。これらの微生物は場所や栄養分を巡って競争しており、この多様性によって潜在的な病原体が定着しにくい環境が作られているとのこと。しかし、イヤホンや補聴器などを着用すると「良い微生物」と「悪い微生物」のバランスが崩れる可能性があると、ウォン氏は指摘しています。
2024年の研究では、長く補聴器を使用している50人と補聴器を使用していない80人を対象に、外耳道内の細菌を比較しました。その結果、補聴器を使用しており外耳道が長時間ふさがれていた人は、そうでない人と比べて外耳道の細菌の種類が少ないことが確認されました。また、2025年に発表された別の研究では、ヘッドホンやイヤホンの使用は特に複数人でデバイスを共有した場合に、耳の感染症リスクを高めることが示されました。
ウォン氏は、「これはヘッドホン、特に耳に入れるタイプのイヤホンを使用すると、外耳道が高温多湿になるためだと考えられます。特にイヤホンを装着したまま運動したり汗をかいたりすると、湿気がこもりやすくなります。そして湿度が高くなると、耳の感染症やうみなどの分泌物が出るリスクが高まります。また補聴器やイヤホンなどのインイヤーデバイスを長時間装着すると、耳あかによる自然な自浄作用が阻害されることもあります」と述べました。

◆耳の健康を保つためにはどうすればいいのか?
イヤホンが耳の健康に悪影響を及ぼす可能性があるとはいえ、今さらイヤホンのない生活に戻ること難しいという人が大半です。そこでウォン氏は、耳の健康を保つためにできることをアドバイスしています。
・定期的に耳を休める
耳の穴が常にふさがれていると、湿気や熱がこもりやすくなります。そのためウォン氏は、1日を通してさまざまなタイミングでイヤホンなどを外し、耳の穴を「呼吸」させた方がいいと述べました。
・骨伝導イヤホン(ヘッドホン)を使う
骨伝導イヤホンは耳をふさがず、骨を振動させることで内耳に直接音を伝えます。そのため耳の穴をふさぐことがなく、インイヤーデバイス特有の問題は回避できますが、音量を上げすぎると聴力が低下する可能性があるため、音量には他のイヤホンと同様に注意が必要とのこと。
・イヤホンを定期的に掃除する
イヤホンの使用による耳への影響を軽減するには、定期的に掃除することも重要です。掃除する頻度については週1回から毎日までさまざまな説があります。掃除する方法としては、「中性洗剤を混ぜた水で湿らせた布や子ども用歯ブラシ」を使って掃除し、その後でペーパータオルなどで水分を拭き取り、数時間ほど置いてから充電または再利用する」というものが挙げられますが、メーカーのガイドラインに従うのが最善です。また、ウォン氏は「イヤホンのケース」を清掃することも推奨しています。

・病気の時はイヤホンを使わない
耳の感染症がある場合は、耳の中の湿度や温度が上昇すると回復が遅れる可能性があるため、イヤホンなどは使わない方がベターです。
・症状に注意する
耳がかゆくなったり、赤くなったり、普段とは違う分泌物が出たりした場合はイヤホンなどの使用を中止し、医師の診察を受けるべきだとウォン氏は述べました。
