@AUTOCAR

写真拡大 (全6枚)

スポーツユーティリティビークルのパイオニア

初代ホンダCR-Vが登場したのは1995年のこと。バブル後の経営危機を救うヒットとなった初代オデッセイを先陣として、ホンダはステップワゴンやS-MAXなど『クリエイティブムーバー』と呼ばれる商品群を構成、その一翼を担ったモデルでもある。

【画像】SUVのパイオニア、新型『ホンダCR-V』を渡辺敏史が雪上テスト! 全64枚

当時、それらはレジャービークル=RVとして一括りにされていたが、CR-Vは今に続く『スポーツユーティリティビークル=SUV』のパイオニア的な存在として、そして今ではホンダの4輪車販売の量的トップを担う銘柄へと成長した。


日本導入開始された6代目となる新型ホンダCR-Vに、渡辺敏史が雪上で試乗。    本田技研工業

約30年の間に販売された台数は1500万台を突破、現在は約150ヵ国で販売されている……と聞けば、その規模感がやんわりと伝わるだろうか。

そんな大黒柱が、ここ日本市場では販売のラインナップから欠けていた。理由はヴェゼルとの間を埋めるZR-V投入など仕向地ごとの施策もあるが、為替や物価上昇率といった日本市場のトレンドが、国際銘柄であるCR-Vの国内価格設定を難儀なものとしているというのも挙げられると思う。

昨年、米国生産のFCEVが投入されたことでそのブランクは解消されたものの、リース販売のそれは一般向けとは言い難いものだった。ここにきてHEVの一般販売が始まったことで、6代目のCR-Vは晴れて日本のユーザーの選択肢として復帰した。

パワートレインはHEVの1本

新型CR-VのパワートレインはHEVの1本となり、ドライブトレインはFFと4WDが用意される。HEVについては先代でも用意されていたが、この新型では2Lユニットの直噴化を筆頭に、ふたつのモーターや制御系なども全刷新された。

それに加えてCR-Vならではのポイントとして、高速巡航など内燃機稼働の効率が高い領域で駆動輪をエンジン側と繋ぐ直結モードを、低速側にも直結Lowモードとして設けたことが挙げられる。これは走行性能や燃費の改善というよりも、大きな積載重量や牽引といった状況でモーター側の負荷を抑えて発熱を防ぐ狙いだ。


新型CR-VのパワートレインはHEVの1本となり、ドライブトレインはFFと4WDが用意される。    本田技研工業

4WDのドライブトレインはZR-Vやヴェゼルと同じく、プロペラシャフト&多板クラッチを介して後軸側に駆動配分する仕組みを採用した。

ホンダでは次世代の中小型車向け4WDシステムについては、後軸のモーター駆動化を進めることが既に公言されているが、CR-Vのようにある程度ヘビーデューティな用途にも応える必要があるモデルについては、このようにメカニカルな方式が継承されるのではないだろうか。

ちなみにCR-Vへの搭載にあたっては、車格や重量の大きさに合わせて、後軸側への駆動配分を最大60%程度まで増やして運動性能を確保しているという。

アコードと同様、タイで生産されたものを輸入

新型CR-Vはアコードと同様、タイで生産されたものが輸入されるかたちとなるが、静的質感について気になるようなポイントは見受けられない。機能装備面でも他の国内モデルと同様、グーグル・アシスタントベースのホンダ・コネクトを内蔵した9インチタッチパネルディスプレイを標準化。

ADASも上位グレードにホンダ・センシング360を、標準グレードでもほぼフルスペックを搭載するなど、オプション選択の必要がないほどに充実している。それらもあって高めの価格設定も致し方なしかと思うが、それでも同時期に投入された最大のライバルとなるトヨタRAV4の仕様をみると、若干の割高感は否めない。


試乗は北海道にあるホンダの鷹栖プルービンググラウンドが舞台となった。    本田技研工業

その差分を埋め合わせるものとして挙げられるのがパワートレインのフィーリングだ。今回の試乗は発売前、かつ雪上での走りにフォーカスするということで北海道にあるホンダの鷹栖プルービンググラウンドが舞台となったが、モーター走行を基本とするe:HEVの滑らかな走行感は、雪上での微細な発進停止そして加減速においても内燃機主導の銘柄とは一線を画する上質さとして実感できた。

更にいえばCR-Vのe:HEVに搭載される2Lユニットは、それ自身の音、振動も4気筒としては洗練されており、大負荷でエンジンが唸るような場面での興ざめ感も小さくて済む。

そこにノイズ&サウンドをアクティブにコントロールするデバイスも加わることでの、総じての動的質感はCセグメント超え、プレミアム寄りのDセグメントに準ずるところともいえるのではだろうか。

低ミュー路のコーナーでもニュートラルな性格

ライドフィールについては特殊な路面状況ゆえ測りかねるところもあるが、ドライの公道でもこの動的質感に見劣りするようなことはないだろう。そんな新型CR-Vに備わる4WDのダイナミクスもまた、車格に応じてスタビリティをしっかり全面に押し出しつつ、低ミュー路のコーナーでもニュートラルな性格へと躾けられていた。

アクセルを踏んでも簡単にパワーオーバーステアには至らないし、抜いても安易にタックイン状態には陥らない。でも退屈なアンダーステアというわけではなく操作に応じてしっかり曲げていくというキャラクターは、このクルマのクラス感に見合ったものだろう。


CR-Vだけでなく、ZR-V(左)、ヴェゼル(右)も用意。同環境で乗り比べることができた。    本田技研工業

ちなみに試乗では同じ基本システムを持つZR-Vとヴェゼルも同環境で乗り比べることができたが、各々の車格や車重差がきれいに走りに反映されているという印象だ。

ZR-VはCR-Vに比べるとより後軸を積極的に使ってアクティブに曲がっていく性格に躾けられているし、プラットフォームから異なるヴェゼルは別格の軽さも武器に、タックインも積極的に使いながらアクセルのオンオフに車体が機敏に反応する。

回生ブレーキによる減速度調整は機械式ブレーキとは比較にならないほど高精細がゆえ、曲げ方向への微細なきっかけづくりにも大きなプラスとなるわけで、ここにもモーター走行を主とするe:HEVの利は活かされているというわけだ。

ホンダの4WDはオマケ程度という先入観

かねてからFFを主軸としたアーキテクチャーの構成だったこともあり、また自身もかつてのデュアルポンプ式を生活四駆などと称していた時期があったため、それらをもってホンダの4WDはオマケ程度という市場の先入観がある。

でもe:HEV+4WDの組み合わせは、以前とは明らかに異なるパフォーマンスをホンダのクルマたちにもたらした。更に新しいCR-Vは、そこに上質さという新たな個性を加え、立ち位置をホンダSUVの最高峰へとシフトさせようとしているようにも伺えた。


e:HEV+4WDの組み合わせは、以前とは明らかに異なるパフォーマンスをもたらしたと筆者。    平井大介