豪華な内装とエンジンを備えたパッケージが魅力!

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「豪華内装×V6」採用したプレミアムコンパクトの先駆者

 2025年も残すところわずかとなり、自動車業界では電動化や高度運転支援技術の進化が話題の中心となっています。

 しかし、その流れとは異なるところで、近年あらためて注目を集めているのが、かつての「プレミアムコンパクト」と呼ばれたモデルたちです。

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 レクサス「LBX」の好調をきっかけに、ユーザーが小型車にも上質さを求める動きが再び強まるなか、今だからこそ振り返りたい1台があります。

 それが、2006年にトヨタが世に送り出したハッチバック「ブレイド」です。ブレイドは、当時としては異色ともいえる存在でした。

 ハッチバックと聞けば実用性重視で価格も手頃というイメージが支配的だった2000年代後半において、トヨタはその常識を覆すように「大人しくない大人に、ショート・プレミアム」という挑戦的なキャッチコピーを掲げました。

 ベースとなったのはカローラ系のハッチバックである「オーリス」ですが、ブレイドはその枠を大きく超え、トヨタブランドの最上級ハッチバックとして開発されたのです。

 ボディサイズは全長4260mm×全幅1760mmと取り回しの良い寸法でありながら、全幅は3ナンバーに属するワイド感を持ち、ひと目で普通のハッチバックとは違う雰囲気をまとっていました。

 エクステリアには専用の「b」エンブレムをはじめ、当時の「クラウン」を連想させる意匠のヘッドライトやテールランプが採用され、フロントのメッキ加飾やシルバーのガーニッシュが高級感を演出します。まさに“クラウンの弟分”と呼ぶにふさわしい風格がありました。

 一方のインテリアも、コンパクトカーの常識を上書きするものでした。天井に配された大型イルミネーションはラウンジのような柔らかい光を放ち、シートにはスエード調人工皮革と本革を組み合わせた表皮を採用。

 チタン調のパネルや手触りの良い素材がいたるところに配され、乗り込んだ瞬間にクラスを超えた上質感を味わうことができます。

 大きく確保されたセンターコンソールボックスも当時の国産コンパクトでは珍しい装備でした。

 走行性能にも妥協はありません。標準モデルには2.4リッター直列4気筒エンジンとCVTを組み合わせ、FFと4WDを設定。

 街乗りから高速走行までそつなくこなす実力を備えていました。しかしトヨタはさらに“本気”を見せ、発売から1年後には上級仕様となる「ブレイドマスター」を追加します。

 このモデルこそブレイドの名を語るうえで欠かせない存在で、クラウンにも搭載されていた3.5リッターV6エンジンをコンパクトなボディに収めてしまったのです。

 最高出力280馬力、最大トルク344Nmという数字は、当時の国産ハッチバックとしては圧倒的でした。

 専用サスペンションや大径ディスクブレーキ、17インチタイヤによって走行性能は大幅に強化され、単なる高級志向ではなく“走りのプレミアム”をも追求した珍しい国産モデルとして確かな存在感を放っていました。

 さらに、スポーティなSパッケージや、本革をふんだんに使用したLパッケージなど、ユーザーの嗜好に合わせたグレード構成が用意されている点も魅力です。

 それほど個性的で意欲的なモデルでありながら、ブレイドは市場では苦戦を強いられます。

 発売当初こそ月販3000台を超える好調なスタートを切りましたが、コンパクトプレミアムという概念が一般に浸透していなかったことや、価格帯が同クラスの国産車より高価だったこともあり、翌年以降は販売が下降線をたどりました。

 結果として、ブレイドはわずか6年で生産終了となり、1代限りで姿を消してしまいます。

 しかし今振り返ってみると、ブレイドは時代を先取りしすぎたモデルだったと言えます。

 昨今の小型車市場では、走りや質感を重視したプレミアムコンパクトが高い支持を受けていますが、その潮流のはるか前に、国産モデルとして同じ価値観を提案していたのがブレイドだったのです。

 中古車市場では今も比較的多く流通しており、とくにブレイドマスターは希少でありながら、総額100万円以下で手に入る個体も珍しくありません。

 上質なインテリアと大排気量エンジンを組み合わせた独特の世界観は、今なお色あせていません。

 コンパクトで扱いやすいボディに、ゆとりあるパワーと高級感を求める人にとって、ブレイドは今でも魅力的な選択肢たりえる存在だと言えるでしょう。