“港川人”に由来する地名も NASA探査機が観測した小惑星ドナルドジョハンソンの地名をIAUが承認
NASA=アメリカ航空宇宙局は2025年9月16日付で、NASAの小惑星探査ミッション「Lucy(ルーシー)」の探査機がフライバイ探査を行った小惑星「Donaldjohanson(ドナルドジョハンソン)」の地形に正式な名前が付けられたことを発表しました。
古人類学に由来する11か所の地名が承認された

Donaldjohansonは火星と木星の間にある小惑星帯に位置する小惑星のひとつで、全長約8km・最大幅約3.5kmの細長い形をしています。
Lucy探査機は後述する「木星トロヤ群小惑星の観測」という“本番”に備えたリハーサルの一環として、日本時間2025年4月21日にDonaldjohansonのフライバイ探査を実施。その表面の様子を初めて撮影しました。
フライバイ後、LucyミッションのチームはDonaldjohanson表面の特徴に付ける名前を提案。IAU=国際天文学連合は2025年8月27日付で合計11か所の地名を承認しました。

ミッションの名称にもなっている化石人骨の「ルーシー」(約320万年前に生息していたアウストラロピテクス・アファレンシスの一体)を発見した古人類学者ドナルド・ジョハンソン氏に小惑星の名前が由来していることから、提案・承認された地名は古人類学における重要な遺跡や発見にちなんだものとなっています。
Donaldjohansonは大小2つの小惑星が細くくびれた部分でつながったような形をしていますが、このうち小さい方は「Afar Lobus(アファール・ロブス)」、大きい方は「Olduvai Lobus(オルドバイ・ロブス)」と名付けられました。Afarはルーシーなどの化石人骨が見つかったアファール三角地帯(アファール盆地)、Olduvaiは多くの化石人骨が見つかっているタンザニアのオルドバイ渓谷に由来します。
Afar LobusとOlduvai Lobusをつなぐ細い部分は、Lucy探査機が打ち上げられたアメリカ・フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地の近くにあるウィンドオーバー遺跡にちなんで「Windover Collum(ウィンドオーバー・コラム)」と名付けられました。
また、Windover Collumにみられる2つの滑らかな部分は、「Hadar Regio(ハダル・レジオ)」および「Minatogawa Regio(ミナトガワ・レジオ)」と名付けられました。Hadarはルーシーが見つかった場所、Minatogawaは沖縄県の港川人が見つかった場所にそれぞれ由来します。
この他にもクレーターや大きな岩塊(Saxum、サクスム)などが承認されています。
Lucyとは

Lucyは木星のトロヤ群に属する小惑星の探査を主な目的としたミッションで、2021年10月に探査機が打ち上げられました。ミッションの期間は2033年までの12年間という長期間で、探査対象の小惑星は合計11個に上ります。
木星のトロヤ群とは太陽を周回する小惑星のグループのひとつで、太陽と木星の重力や天体にかかる遠心力が均衡するラグランジュ点のうち、木星の公転軌道上にあるL4点付近(公転する木星の前方)とL5点付近(同・後方)に分かれて小惑星が分布しています。幾つもの小惑星を一度のミッションで観測するために、Lucy探査機は小惑星を周回する軌道には入らず、小惑星の近くを通過しながら観測するフライバイ探査を繰り返し行います。

木星のトロヤ群小惑星は初期の太陽系における惑星の形成・進化に関する情報が残された「化石」のような天体とみなされています。これらの天体を間近で探査することから、ミッションと探査機の名前は化石人骨のルーシーにちなんで名付けられました。
2回の地球スイングバイを経たLucy探査機は現在、小惑星帯を通過して木星の前方トロヤ群へと向かう公転周期6年の軌道に乗っています。2027年8月には前方トロヤ群の小惑星「Eurybates(エウリュバテス)」とその衛星「Queta(ケータ)」を皮切りに、ミッションの主目標である木星トロヤ群小惑星のフライバイ探査が始まる予定です。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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