問題行動“連発”の社員がクビ→“逆ギレ”提訴 上司の指示を聞かず、大声で反論…解雇は「有効」か? 裁判所の判断は
上司
「反論するのはいいんだがもう少し小さな声で話してくれないか」
部下
「これは地声です!」
部下が上司の指示に従わず、度重なる注意や警告にも改善の兆しを見せなかった場合、会社はその部下を解雇することはできないか。
実際にそのような問題が発生し、会社が部下にあたる社員Aさんを解雇したところ、裁判に発展した事件がある。Aさんは解雇を不服として会社を相手取り提訴したが、裁判所は「解雇はやむを得ないと言わざるを得ない」としてAさんの解雇を認める判決を出した。
Aさん(女性)は証券会社の正社員で、人事部に配属されていた。
しかし、Aさんは会社で多くのトラブルを起こしており、採用から約4年で解雇。裁判の結果、判決で認定されたエピソードを一部紹介する。
他の従業員の昇給額が記載された用紙を別の従業員に送付した 人事部のマネージャーから依頼された郵便物の郵送が遅れたことについて、Aさんが「いつまで出すようにとは聞いていません」と自己弁護的発言をした Aさんが電話を留守電にしていたため、マネージャーが電話対応せざるを得なかった 他の部署の社員からもAさんの仕事のやり方について苦情があった 遅刻したときに反省の態度を示さなかった 上司からの指示に対して速やかに回答しなかった ミーティングの日程を知らされなかったことについて大声で抗議した(日程は前回のミーティングで決定したものであるが、Aさんは欠席していた。裁判所は「前回ミーティングを無断で欠席したことがうかがわれる」と認定している) 上司に対して大声で抗議した。上司から「もっと小さな声で」と指示されたが、Aさんは「これは地声です」と反論指示を聞かない上に、反論するときの声がデカイ。上司からすると極めて「うっとうしい」社員だったのだろう。
そして前述の通り、採用から約4年後、会社は就業規則に定められた「勤務成績または勤務状況が不良でかつ改善の見込みが乏しいかもしくは他人の就業に支障を及ぼす等現職または他の職務に適さないと認められた場合」に該当するとして、Aさんを解雇した。
これに納得いかないAさんは「解雇は無効である」として提訴した。
裁判所の判断会社が勝訴し、解雇は有効であるとの判決が下された。裁判所が認定した事実は以下の通りだ。
人事部員として慎重に扱うべき秘密情報等を不適切に取り扱った(秘密情報の不用意な伝達、ファイル保管の不適切等) 指示・依頼を受けた事項に対して不適切な対応をした(取り扱い違反、間違った回答、回答の遅滞等) 職務上のミスの頻度の高さ(入力ミス等) 遅刻、対人関係のトラブル(上司に対する抗議、同僚への迷惑行為等)そして裁判所は「数多くの問題が発生しており、指摘された事項についても改善が認められなかった。度重なる指摘・注意、警告にもかかわらず、状況を改善しようとせず、かえって部長に対し度々大声で抗議するなど、改善の見込みは乏しいと言わざるを得ない」と認定。
さらに「トラブルの相手は部長であることが多いが、部長以外の者との間にも発生していることや、指摘の性質等からすると、他の部署に異動させることで問題が解消するとも認め難い」と判断。
最終的に「部長がAさんに対して何度も指摘・注意したが、改善しないことから、書面で警告した上で観察期間を設けて改善の機会を与え、それでも改善しないことから任意の退職を促し、その後に解雇したのであり、このような経緯に照らすと、解雇もやむを得ないと言わざるを得ない」と結論付けた。
他の裁判例問題社員の解雇がOKになった事件をもう1つ紹介する。具体的な問題行動は次の通り。
課長に向かって「課長の資格はない」と言う 「社長が人さまの前で頭を下げる日は近い! と思うのは私だけなのでしょうか?」と上司に問いかける 「私は変えませんよ」「みんな生活がだらしない。そこから変えた方がいいんじゃないですか?」と職場ミーティングでブッ込む裁判所は「職場での調和を無視しており周囲の人間関係への配慮に著しく欠ける」として「解雇OK」と判断した。
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最後に誰でも仕事でミスをすることはある。ミスレベルで解雇がOKになることはないが、今回紹介したAさんのケースのように、数多くのトラブルを起こし、会社が改善の機会を与えたにもかかわらず改善しようとしなかった場合、裁判所は「解雇はやむを得ない」と判断することがある。参考になれば幸いだ。
