約5億4000万年〜2億5200万年前の古生代に生息していた三葉虫は、2万種以上が知られており、非常に生息数が多い生き物でした。しかし、これまで三葉虫が何を食べていたかについては明らかにされていませんでした。新たにカレル大学の古生物学者であるペトル・クラフト氏らの研究チームが、三葉虫の食事について報告しています。

Uniquely preserved gut contents illuminate trilobite palaeophysiology | Nature

https://www.nature.com/articles/s41586-023-06567-7



We finally know for sure what a trilobite ate | Ars Technica

https://arstechnica.com/science/2023/09/we-finally-know-for-sure-what-a-trilobite-ate/



今回分析が行われた三葉虫の化石は、チェコ共和国のプラハ盆地に存在する、約4億6500万年前の中期オルドビス紀の地層から発見された化石です。研究チームによると、今回発見された三葉虫の化石は「Bohemolichas incola」と呼ばれる三葉虫の一種で、体長は約5cmだったとのこと。

研究チームはこの三葉虫の化石を精巧にキャプチャするとともに、円形加速器の一種である「シンクロトロン」を用いて化石の内部の画像化を試みました。



分析の結果、この三葉虫の中心を通る消化管の中には、貝虫やヒオリテス、アサリやムール貝のような二枚貝、スタイロフォランなどの海洋生物の殻の断片がぎっしりと詰まっていることが判明しました。



研究チームは「今回発見されたBohemolichas incolaは水中で死んだ生物を食べる腐肉食も行っていたようです」と報告。研究チームによると、この三葉虫は動物の死骸や生きた動物を食べており、簡単に破砕できそうな動物なら自身の歯でかみ砕き、小さな動物ならそのまま丸のみにしていたとのこと。また、なんでも食べるBohemolichas incolaは海中の掃除屋としての役割を果たしていた可能性が指摘されています。

アメリカ自然史博物館の古生物学者であるメラニー・ホプキンス氏は「これまで科学者たちは、三葉虫が生きた動物を捕食する捕食者なのか、それとも動物の遺体を食べるスカベンジャーなのかについて議論を重ねてきました。今回の研究チームによる発見は、三葉虫がスカベンジャーである証拠になる可能性を示すものです」と述べています。



また、死んだBohemolichas incolaは別の腐肉食を行う生物の餌になったことが報告されています。研究チームによると、今回発見されたBohemolichas incolaには、別の腐肉食生物に軟部組織を食べられた形跡があったとのこと。一方でこの腐肉食生物はBohemolichas incolaの消化管を避けており、研究チームは「Bohemolichas incolaの消化管では死んでもなお酵素の活性化が持続しており、他の生物にとって有害な状態だった可能性があります」と述べています。

生物の消化管が別の腐肉食生物にとって有害になるという特徴は、現代でも生きている甲殻類やカブトガニ、ウミグモなどの節足動物にもみられる特徴で、研究チームは「節足動物の進化において非常に早期の段階で発生した特徴の可能性があります」と語っています。