作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMの音楽番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00〜19:55)。1月30日(日)の放送は「村上RADIO 〜ジャズ奥渋ストリート〜」と題して、村上さんがコレクションしているジャズのアナログ・レコードの中から、特に“奥深くて渋いジャズ”の名盤をセレクト、その魅力をたっぷり解説しました。

歴史に名を残す著名なジャズ・ミュージシャンではなく、村上さんが「奥深いけどフレンドリーなジャズ」と語る名曲の数々とは……? この記事では中盤3曲についてお話された概要を紹介します。



◆Terry Gibbs Quartet「Oge」

ヴァイブラフォン奏者テリー・ギブズがギターのケニー・バレルと組んだ素敵なアルバム『Take It from Me』から「Oge」を聴いてください。テリー・ギブズのオリジナル曲ですが、「Oge」って何のことなんでしょうね? 僕にもわかりません。

MJQ(Modern Jazz Quartet)を思わせるクラシカルなサウンドですが、裏に回ったケニー・バレルの洒落たリズムの刻みがなにしろ絶妙です。ベースはサム・ジョーンズ、ドラムズはルイス・ヘイズ。2人は、当時人気絶頂だったキャノンボール・アダレイ・クインテットのリズムセクションです。なかなか面白い人選ですね。ルイス・ヘイズのブラッシングもなかなか洒落てます。1964年の録音。インパルス・レコード、プロデュースはボブ・シール、録音技師はルディ・ヴァン・ゲルダーです。

◆Charles Lloyd「Days Of Wine And Roses」

テナー・サックス奏者、チャールズ・ロイドの演奏するお馴染みの美しいバラード「酒とバラの日々」。最初に出てくるロイドのサックスソロも素敵ですが、途中に入るドン・フリードマンの知性的なピアノソロは聴きごたえがあります。僕はこのソロが聴きたくて、よくこのレコードをかけます。ベースはエディー・カーン、ドラムズはロイ・ヘインズです。

僕は一度、横浜の小さなジャズ・クラブで、ドン・フリードマンさんの演奏を聴いたことがありますけど、それは本当にインティメイト(親密)で、センシティブな音楽でした。こういう人は大きなホールだと、きっと真価が伝わりにくいんでしょうね。少し前に亡くなってしまいましたけど。

◆Roland Kirk & Al Hibbler「This Love of Mine」

次は、ヴォーカルを聴いてください。盲目の歌手アル・ヒブラーが、やはり盲目のサキソフォーン奏者ローランド・カークのバンドをバックに朗々と歌いあげます。フランク・シナトラの歌でヒットした名曲「This Love of Mine」。

ローランド・カークは何本もの管楽器を同時に吹き分けて、鼻でフルートを吹いてしまうという奇矯(ききょう)な振る舞いで名を馳せた人ですけど、ここでは真面目に、というか、ただ1本のテナー・サックスでしっかり勝負をしています。クルーナー歌手(註:Croonerとはビング・クロスビーに代表される優しく囁くように歌う歌唱法)のアル・ヒブラーと、当時ジャズの先鋭的な位置にいたローランド・カーク、ちょっと驚かされる組み合わせですが、アルバムの出来はとても良いです。不思議に波長が合うんですね。ピアノはハンク・ジョーンズ、ベースはロン・カーター、ドラムズはオリヴァー・ジャクソン、1972年の録音です。



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聴取期限:2022年2月7日(月)AM 4:59 まで

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<番組概要>

番組名:村上RADIO 〜ジャズ奥渋ストリート〜

放送日時:1月30日(日)19:00〜19:55

パーソナリティ:村上春樹

番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/