なぜトヨタ「ランクル」は盗難されやすい? 盗難車の行く末は? 被害に遭ったときの対処法

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「車両盗難」では特定の車種が集中的に狙われている

 ある日突然起こるのが「車両盗難」です。車両盗難の件数自体は減少傾向とはいえ、依然として毎年5000件以上の車両盗難が報告されています。

 車両盗難の実態や狙われやすい車種はどんなクルマなのでしょうか。

年間5000件以上の車両盗難が発生(イメージ)

【画像】2000馬力超えの最強ランクル!「ランド・スピード・クルーザー」(32枚)

 警察庁の発表によると、2020年の車両盗難件数は全国で5210件。2011年は2万5238件、2015年は1万3821件だったのでかなり減少傾向ではありますが、それでも1日で14.27台ものクルマが盗難被害に遭っている計算になります。

 車両盗難の発生場所は「月極駐車場」が36.3%ともっとも多く、「住宅(自宅の車庫)」が18.9%、「その他駐車場」が13.1%、「コインパーキング」が5.7%となっています。

 さらに深刻なのが、5210件のうちキーを抜いた状態での盗難が3903件だったことです。

 最近のクルマはスマートキーが多いため、自宅の車庫で施錠していてもスマートキーの電波を傍受する「リレーアタック」などで盗まれるケースが多いということが分かります。

 車両盗難に遭いやすい車種としてはトヨタ「プリウス」がワースト1となり、2位以下はトヨタ「ランドクルーザー(ランクル)」、レクサス「LX」、レクサス「LS」、トヨタ「クラウン」といった具合に、高級SUVや高級車が狙われやすい傾向にあります。

 トヨタ・レクサスのクルマがワースト上位を占めていますが、それだけ盗難するリスクを負ってでも窃盗団にとって人気が高い車種ともいえます。

 どんな状況下で盗難に遭うのか、実際に盗まれたケースについて、修理工場のスタッフは次のように説明しています。

「ひとつのケースとして、ランクルを所有していた福島県の男性なのですが、趣味のバスボートをけん引した状態でビジネスホテルの駐車場に停めていたら、バスボートごと盗難被害に遭いました。

 車両保険に加入していたので保険金がおりたそうですが、盗難届を出した車両は現在でもどうなったかわかっていないといいます」

 バスボートをけん引した状態でもランクルは盗難されやすいようです。しかも出先のホテルの指定駐車場で盗難にあってしまっては不運としかいいようがありません。

 またランキングでは上位に入っていませんが、トヨタ「ハイエース」の盗難被害も多発しているようです。

「茨城県にお住まいお客さまが100系のハイエースを盗まれてしまったのですが、その後購入した200系のハイエースもまた盗まれたというのです。

 どちらも自宅アパートの駐車場だったそうです。住んでいるところのすぐそばで盗まれるのはかなりショックでしょう」(修理工場スタッフ)

 ほかにも、5年ほど前にはレストアした日産「180SX」が盗難に遭ったユーザーがいたなど、新型・旧車に関わらず、趣味性の強いクルマや海外市場で人気のクルマは狙われる傾向が高いようです。

※ ※ ※

 任意保険には通常の「対人対物」をカバーする保険だけでなく、自分のクルマに及んだ被害に対して補償される「車両保険」も用意されていますが、車両盗難はこの車両保険の対象になります。

 車両保険にもいくつかタイプがあり、補償内容が幅広く設定されたワイド型、補償内容を限定して保険料を抑える限定カバー型などがあります。

 このどちらでも車両盗難は補償範囲に含まれていますので、加入していれば盗難は保険で補償されます。

 ちなみに損害保険会社が中心となっている日本損害保険協会が2020年に発表した「自動車の盗難事故や車上狙い事故実態調査」によると、車両盗難1件あたりに支払われた保険金は平均で401万4000円とかなり高額。それだけ高級車が狙われているということがいえそうです。

海外ではパーツが高額で取引!? 盗難車はバラバラにされて輸出される

 盗難されたクルマが見つかるケースは非常に少ないようですが、前出の修理工場のスタッフが盗難車の行く末を教えてくれました。

「きっちりと車両番号などが管理されているので、盗難車をそのまま転売したり、海外へ輸出されるケースはほとんどないようです。その多くは解体され、パーツとして輸出されるといわれています」

海外でも絶大な人気を誇るトヨタ「ランドクルーザー」

 海外での日本車は高級車で需要が高いのですが、慢性的に修理パーツが不足しています。とくにランクルは高い走破性や耐久性などで人気があり、パーツも高額で取引されているのです。そのため盗難車のランキングで「ランクル」が常に上位にいるというわけです。

「パーツとしての輸出はクルマ本体を輸出するより手続きが大幅に簡略化されますし、税関のチェックも甘くなります。またランクルはロングセラーなので、基本設計があまり変わっておらず、パーツの汎用性が高いのも狙われる理由でしょう。

 また、最近では1990年代から2000年代のスポーツカーが狙われることが多いです。

 これはいわゆるアメリカの『25年ルール』などにより、海外でこの年代のクルマが人気になりつつあり、その修理用パーツとして需要が高いからです」(修理工場のスタッフ)

 1990年代から2000年代のスポーツカーといえば、ちょうどハイパワー競争が激化した頃の魅力的なモデルが多かった時期です。

 しかも現代のクルマと比較すると盗難防止装置などが脆弱なものが多く、窃盗団からすれば狙いやすいのかもしれません。

 警察庁などは、ウェブサイトで車両盗難(および車上ねらい)の防犯対策を紹介しています。これで完全に防げるわけではありませんが、覚えておいて損はなさそうです。

 まずは路上に放置駐車しないこと。現在は路上駐車自体が厳しい取り締まりの対象になっていますが、場所によっては深夜の路上は盗難されやすい環境だといえます。

 また駐車場選びも防犯対策としては重要です。フェンスやゲートが設置され、利用者以外は入場できない駐車場や、夜間照明が設置されている、管理人が常駐している、防犯カメラが設置されているなど、防犯対策が施された駐車場を選びたいところです。

 自分で出来る対策としては、短時間でもクルマから離れる場合は完全に窓を閉め、必ずエンジンを止めた状態でドアロックを施錠することです。さらに車内に貴重品を残さない、ETCカードなども抜き取っておくなどが有効とされています。

 それでも盗難被害にあってしまった場合は、どのように対処すべきなのでしょうか。

 優先すべきは、警察に連絡を入れて被害届の手続きを進めることです。この被害届があってはじめて保険会社などの手続きが進められます。

 被害届を提出するときには、盗まれたクルマの車種やボディカラー、ナンバー、盗まれた場所やおおよその時間、状況などが必要になります。車検証はコピーを取るかスマホなどで撮影しておくと便利です。

 警察で被害届が受理されると受理番号が交付されます。これがこのあとの税金関係の停止に必要になります。

 車両保険に加入している場合、次に連絡すべきは保険会社です。ナンバーや保険証券番号、状況などの情報が必要になりますので、保険証券も撮影しておくと良いです。

 ちなみに車両保険では、車内に積んでいた物品も補償の対象となる場合があるようですので、できるだけ正確な情報を保険会社に伝えられるようにしておくのも大切です。

 また、車内にETCカードやほかのクレジットカードなども置きっぱなしだった場合は、カード会社に連絡して停止する手続きも忘れてはいけません。クレジットカードは即日停止できます。

 被害届を受理した証拠となる受理番号が交付されたら、次に連絡するのはお住まいの(もしくはクルマの所在地の)都道府県税事務所です。

 ここで自動車盗難の申し立てをすることで、盗難被害にあった翌月から、クルマが見つかり返却されるか廃車にするまでの間の自動車税が月割りで減免されます。

 これに加えて、管轄の運輸局でクルマの抹消登録をしておきたいところです。もしクルマが見つかったとしても元の状態とは限らないのに、自動車税の課税対象が継続してしまうからです。

 この抹消登録には「一時抹消登録」と「永久抹消登録」があり、前者は一時的に登録を抹消し公道が走れない状態にすること、後者は、原則的に解体などクルマ自体を抹消するときに申請するものです。

 盗難車の場合は戻ってくる可能性も僅かながらありますので、一時抹消登録でまずは様子を見て、その後クルマが見つからない場合は永久抹消登録の手続きへと移行することも可能です。

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 交通事故と同じで、車両盗難もいつどこで誰が被害に遭うか分かりません。そのため自分でできるかぎりの対策を施しておくことが必要です。

 盗難に遭わないのが一番なのは当然ですが、もし被害に遭っても慌てずに手続きを進めましょう。

 また車両保険はどのタイプでも盗難は補償対象となっていますので、安心をお金で買うという意味でも加入を検討してもいいかもしれません。