「6÷2を引き算で表してください」答えられない人が多いワケ

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東京富士大学の入試広報部入試部長、IR推進室長/教授である鬼木一直氏は書籍『デキる社会人になる子育て術 元ソニー開発マネージャが教える社会へ踏み出す力の伸ばし方』のなかで、前に踏み出す力、考え抜く力、チームで働く力が身に付き子どもの可能性を最高に伸ばす家庭教育メソッドについて解説しています。

算数力アップのカギは「計算手法の暗記」ではない

英語教育は早くから始めた方がいいと言いますが、計算も早くから覚えさせた方がいいのでしょうか? 

子どもの記憶力は非常に高いので、3歳児でも足し算、引き算、九九などを覚えることは可能でしょう。では、なぜ計算やひらがなを教えない保育園や幼稚園があるのでしょうか? それには、実は理由があります。

数字や計算方法を覚えることを先に学んでしまうと、応用力が失われてしまいがちだからです。小さい頃はさまざまなことに興味、関心を持つことの方が、ずっと重要だと考えているのです。

他の子よりも早く覚えることで、自己肯定感を高めるのはとてもいいことなので、覚えること自体は悪いことではありませんが、小学校高学年になり、算数の授業についていけなくなる大きな要因は、“イメージ力がない”からなのです。

高価な教育グッズを買う必要はなく、身近なおはじきやお手玉などで計算のイメージを作ってあげるといいでしょう。算数の計算例として、2×3を足し算で表してください、と言われると、2+2+2とわかるのに、6÷2を引き算で表してください、と言われて答えられない人がとても多いと聞きます。

「みかんが6個ありました。2個ずつ分けると何人で分けられるか。」と考えればいいのです。6の中から2を何回“引き算”すればいいのか、その回数を求めるという問題になります。

おはじきなどを使ってやってみると、さらにイメージが膨らみます。計算法を覚えるのではなく、具体的に視覚で感じることが算数の力を高めます。

【ここがポイント】

公式で算数を覚えてしまうと、応用が利かなくなります。おはじきなどで数のイメージをしっかりつけて、日常の中に算数があることを学びましょう。分数も、ケーキの切り分けなどで勉強するといいですよ。

本を読むことが楽しい、という空間を作ることが重要

読み聞かせは、想像力や言語能力が高まり、感情が豊かになるといわれ、その効果は多くの専門家が高く評価しています。

実際に、読み聞かせ中の子どもの脳では、喜怒哀楽を生み出すとされる大脳辺縁系(へんえんけい)が活発に働いているという報告もあります。さらに、IQやストレス耐性が上がるとされる愛情ホルモンの分泌が活発になるともいわれています。

しかし、大事なのはどのような体勢で読むかなのです。

読み聞かせは「体勢」が重要(画像はイメージです/PIXTA)

子どもは、本を読んでもらうことで多くの物事を想像します。その想像の深さが思考の広さに繋がっていきます。イメージを膨らませるためには、心地よさが求められます。お母さん、お父さんと顔がくっつくぐらいの距離感を作れる体勢、それが、膝の上なのです。

膝の上に座ることができる嬉しさと、本を読んでもらえる楽しさが同じ空間の中で実現できることが“本が好き”に繋がっていきます。同じ方向を向くことで、その世界を共有しやすいというメリットもあります。

もちろん、子どもが対面の方が紙芝居みたいでいいというのであれば、それでもいいと思います。大事なことは、子どもが心地よい体勢で読んであげることです。

また、子どもは好きな本を何度も読んでもらいたがります。親はいろいろな本を読んであげたいという気持ちになりますが、子どもの中ではイメージの膨らみ方が違っているケースが多いようです。

繰り返し読んであげるうちに、着眼点が変わってきます。短い時間で構いません。時間のあるときに少しだけ読んであげれば十分です。

【ここがポイント】読み聞かせは、親と同じ空間を共有する大事な場所です。時にはなんで悪いことしたのかな?この後、どうなるのかな?と文間を一緒に考えるのも思考力を高める要素になります。

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東京富士大学

入試広報部入試部長、IR推進室長/教授

鬼木 一直

東京工業大学修士課程理工学研究科修了。ソニー株式会社入社1年目にハードディスク垂直記録方式の薄膜磁気ヘッドの記録再生確認に成功。開発マネージャとして多くの人材育成を行った後、東京富士大学経営学部教授。社会人基礎力を高める実践教育を積極的に推進している。