でも彼はそんな抜け道がなく、ごまかしが効かないシチュエーションでも突破を見せていた。しかも毎試合のように、その卓越したテクニックとパスセンスをこともなげに発揮していた」

 アモールがそんなラウドルップのプレースタイルを形作っていたと強調するのが、「ボールを受ける時の身体の向きと左右両足を遜色なく操るテクニック」だ。

「だから常に2つの方向にドリブルする状況を作ることができていた。ドリブルセンスに優れたストライカーは、特別の価値がある。ミカエルは、ドリブル、パス、アシスト、得点と何でもできた」

 クラブ史を彩ったテクニシャンとして、バルセロニスタの間では、ラウドルップとアンドレス・イニエスタを比べる声が後を絶たない。しかしアモールは時代背景も所属したチームも異なるという理由で、そうした比較論には否定的な見解を示す。
 
「アンドレスには(リオネル)メッシやシャビもいたしね。とにかくミカエルは、我々にとって特別な選手だった。あのエレガントなプレーは誰にも真似のできないものだった。それに彼はピッチを離れても変わらずジェントルマンでね。プロ意識が高く、常に感謝の気持ちを忘れない。素晴らしいハートの持ち主だった」

 そして最後にこう締めくくった。

「選手として人間としても一周囲から目置かれる存在だった。ピッチ上で常に責任を持ってプレーするのはもちろんのこと、スタメンから外されても、ベンチで不機嫌な表情を見せたためしがない。練習でも試合でもロッカールームでもプライベートでも彼とは毎日が楽しく幸せだった」

 シュスターに憧れ、フィーゴと一緒にプレーした日々を誇らしげに語ったアモール。しかし彼の中では、ラウドルップとの思い出は「格別」なのだ。

文●ラモン・ベサ(エル・パイス紙バルセロナ番)
翻訳:下村正幸

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙に掲載されたバルダーノ氏のコラムを翻訳配信しています。