イカが電子レンジで爆発するのはなぜ?

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「イカ」の煮物を電子レンジで加熱していると突然の爆発音。慌てて電子レンジを開けると、飛び散ったイカの破片でレンジ内の掃除が大変なことに――。このような経験のある人も少なくないのではないでしょうか。煮物に限らず、イカを使った料理を電子レンジで加熱する際は、爆発の可能性と隣り合わせだそうです。

 なぜ、イカを電子レンジで加熱すると爆発するのでしょうか。どうすれば、爆発させることなく温めることができるのでしょうか。料理研究家で管理栄養士の関口絢子さんに聞きました。

空気や水を通さない「皮」

Q.なぜ、イカを電子レンジで加熱すると爆発するのでしょうか。

関口さん「イカは水分が多い食材です。そして、皮は薄く弾力があり、空気や水をほとんど通さない性質があります。そのため、電子レンジなどで加熱することで、発生した水蒸気がイカの皮と身の間にたまってしまい、水蒸気が逃げ場を失うことで爆発します」

Q.食べられるイカにも、さまざまな種類があります。イカの種類ごとに、電子レンジで爆発しやすい、しにくいといった違いはあるのでしょうか。

関口さん「一般的に、食用としてよく出回っているイカは、スルメイカやヤリイカ、モンゴウイカ、赤イカなどが挙げられます。種類に関係なく、皮付きのイカを電子レンジで加熱すれば、どれも爆発の可能性はあります。特に、皮が厚く大きめに切られたものは水蒸気のたまる面積が多くなってしまうため、爆発しやすくなるでしょう」

Q.油で揚げる、煮る、焼くなど、イカを使った料理にはさまざまな料理法があります。揚げ物、煮物、焼き物それぞれで、電子レンジで温めたときに爆発しやすい、しにくいといった違いはあるのでしょうか。

関口さん「皮付きで調理されたもの、イカに水分が多く残っているもの、大ぶりにカットされたものは調理法に関係なく、電子レンジで加熱するとき、皮が膨張して爆発する可能性はあります。

逆に、中華料理でよく見られる格子状に切れ目が入ったイカや、加工されて水分が少なくなった半生状態のイカ焼きなどは心配ありません。油で揚げたイカは、油ハネを防止する隠し包丁など下処理が施されている場合もあるので、爆発しにくいものもあります」

Q.イカを電子レンジで加熱したとき、爆発させないためにできることはありますか。よく、「切れ目を入れたらよい」と言われますが、どれくらい切れ目を入れればよいのでしょうか。

関口さん「イカの皮に空気の逃げ場を作れば、爆発を防ぐことができます。切れ目は、皮の厚み程度と考えると1ミリくらいで大丈夫です。切れ目を細かく格子状に入れておくと安心です。または、竹串かフォークでプスプスと細かい穴を開けておく方法でも大丈夫です。

また、イカを高温で長く加熱すると水分の蒸発が起こり、イカの身が硬くなっておいしさも失われます。そこで熱の通りをよくしたり、食感や食べやすくしたりする目的で、飾り包丁や切り目を付けるとよいでしょう。電子レンジの加熱においても、先の方法を用いて調理時間を控えめに仕上げることで、爆発のリスクも減らすことができます」

Q.爆発しない対応をしても、爆発する可能性がゼロになるわけではないと思います。どうしても心配なら、電子レンジで加熱するのは避けた方がよいのでしょうか。その場合、どのような加熱方法がありますか。

関口さん「どんな調理品を温めるのかにもよりますが、イカは高温で加熱すればするほど水分が抜けて身が硬くなり、爆発の恐れも拭いきれません。電子レンジでの加熱は短時間で軽く温める程度なら、それほど心配ありません。加熱時間で調整することも、おいしく安全に食べるコツです。

揚げ物など衣が付いているものや焼き物は、トースターか魚焼きグリルで温めると作り立てのような食感が戻ります。煮物は少量の水と一緒に鍋に入れて弱火で蒸し煮にすると、ふっくら仕上がります」