■書籍の「ISBN」はどうやって決まるのか?

書籍や雑誌の裏に「ISBN」という番号コードが載っている。普段、読者は気にすることがないだろうが、この「ISBN」は「International Standard Book Number(国際標準図書番号)」の略で、国内ではISBNにCコードおよび本体価格を加えた2段組みのコードを「日本図書コード」と呼んでいる。その名のとおり国際的な世界共通の番号システムなのだ。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/suman bhaumik)

ISBNのコードは13ケタの数字で構成されていて、それぞれ国や出版社、書名などを意味するが、最後の1ケタは「チェックディジット」という「検査数字」になる。そして、ISBNは、転記ミスがなかったか簡単に判別できるようになっているのが最大の特徴となっている。

たとえば、私の最新刊である『世界は足し算でできている 古代ギリシャからコンピューターまで』は「ISBN978−4−569−84185−4」で、最後から2ケタ目を「ISBN978−4−569−84186−4」と、「5」を「6」に転記ミスしてしまったとしよう。

では、どうやってミスを判別するのかというと、まず「左端から奇数番目のケタを1倍、偶数番目のケタを3倍したものの総和」を計算する。そして、この総和が10で割り切れれば正しいコード、割り切れなければ誤ったコードと判定される。

実際に計算してみると、正しいコードは「9+7×3+8+4×3+5+6×3+9+8×3+4+1×3+8+5×3+4=140」。一方、転記ミスをしたコードは「9+7×3+8+4×3+5+6×3+9+8×3+4+1×3+8+6×3+4=143」となり、確かに10で割り切れない。その結果、誤ったコードであると判定される。

では、ISBNのコードはどのように決められるのか――。

チェックディジット以外の12ケタの番号は、国や出版社、書名などに基づいて、ある程度自動的に決まっていく。そして、その12ケタの番号に対して、先ほどの計算でうまく10で割り切れるようにチェックディジットが決められるのだ。

■現代社会はまさに符号理論に支えられている

では、自著の『世界は足し算でできている 古代ギリシャからコンピューターまで』のISBNで、チェックディジットの決め方を見ていくことにしよう。

図のように、まず12ケタの番号の左端から奇数番目のケタを1倍、偶数番目のケタを3倍したものの和を計算する。次にその「136」を10で割った余りを求める。最後に、10からその余りの「6」を引いた値である「4」がチェックディジットになる。このようにチェックディジットを決めているので、13ケタから算出される総和が「136+4=140」と10で割り切れるようになるのだ。

世の中にはISBNのほかに、クレジットカードやバーコードなど多くの番号コードがあるが、いずれも間違いや犯罪などの防止、リスクの回避が必要になる。そこで登場したのが「符号化」だ。情報を符号(コード)に変換し、さまざまなアルゴリズムを用いて符号を計算することで、元の番号の信頼性を高めているのだ。

これは「符号理論」と呼ばれ、その正体は数学だ。膨大なコンピューターのデータなどにも符号理論は使われている。現代社会はまさに符号理論に支えられているといえる。

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桜井 進
サイエンスナビゲーター
1968年生まれ。東京工業大学理学部数学科卒業、同大学大学院博士課程中退。2000年、日本で初めてのサイエンスナビゲーターとして活動を開始。『面白くて眠れなくなる数学』など著書多数。

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桜井 進(さくらい・すすむ)
サイエンスナビゲーター
1968年生まれ。東京工業大学理学部数学科卒業、同大学大学院博士課程中退。2000年、日本で初めてのサイエンスナビゲーターとして活動を開始。『面白くて眠れなくなる数学』など著書多数。
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(サイエンスナビゲーター 桜井 進 構成=田之上 信 写真=iStock.com)