ロードテスト メルセデスAMG C63 Sクーペ ★★★★★★★★★☆
もくじ
ーはじめに
ー意匠と技術 ★★★★★★★★★☆
ー内装 ★★★★★★★☆☆☆
ー走り ★★★★★★★★★☆
ー使い勝手 ★★★★★★★★☆☆
ー操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆
ー快適性/静粛性 ★★★★★★★☆☆☆
ー購入と維持 ★★★★★★★☆☆☆
ースペック
ー結論 ★★★★★★★★★☆
はじめに
1966年、ハンス・アウフレヒトとエアハルト・メルヒャーはメルセデス・ベンツを辞し、レースエンジンを開発する新事業を立ち上げた。慎ましやかな本社オフィスは製粉所の跡地を再利用したものだったが、彼らの独立は間もなく実を結ぶ。手がけた300SEL 6.8が、1971年のスパ24時間でBMWやアルファ・ロメオのレースカーを下し、総合2位/クラス優勝を達成して世を驚かせたのである。

アウフレヒトとメルヒャー、そして創業地にしてアウフレヒトの故郷であるグロースアスパッハの頭文字を取ってAMGと名付けられたエンジニアリング会社はそれ以来、創業者たちですら驚くような成長を遂げた。いまや、その名を持つF1チームは、ワールドチャンピオンに5度も輝いているのだ。
しかし、AMGの技術力はF1パイロットでなくても、市販車で体験できる。しかも、AクラスがベースのセカンドラインであるA35までもが用意され、ますます手軽にその世界へ足を踏み入れられるようになった。ホットハッチからSUV、専用設計のスーパースポーツまで、考えうるほぼすべてのボディ形状が揃ったAMGの市販車は、70車種を数えるまでに至ったのだ。
AMGの商業的な影響力は大きなものとなった。現在、そのエンジンはほとんどのアストンマーティンに積まれている。1976年以降の本拠であるアファルターバッハでは、ひとり一台のフィロソフィーに基づき大排気量エンジンが生産されているが、ダイムラーAGの販売を支えるばかりでなく、ビジネス全体の視点に立てばマーケティング面での成功も特筆ものだ。世に出るメルセデスの10台に1台はその特別な3文字のイニシャルを持ち、威光を放つサブブランドとしては、商売的にこの上ない有力銘柄となったと言えるだろう。

多様化し、十分な成功を収めてきたAMGだが、今回のテスト車はよりAMGらしい物件だろう。300SEL 6.8のごとく、強力な8気筒を積む後輪駆動車でのC63 Sである。2015年の登場以来、オートカーではW205世代のC63を高評価してきたが、BMWが新型M4を投入すると、AMGはシャシーの強化やデジタル技術の増強でさらなるアップデートを図ってきた。この世代における最上級のスーパークーペ、その前途は洋々たるものだろうか。
意匠と技術 ★★★★★★★★★☆
単なるフェイスリフトに位置付けられる改良なので、外観の変更は最小限だ。非難しているわけではない。近年のDセグメントにおいて、クーペやセダンのエキサイティングなバージョンは多いが、アファルターバッハのCクラスほど人目を引くアグレッシブなエクステリアのものはないのだ。
ヴィジュアル要素はおなじみ通り。ホイールアーチは大きくフレアし、リアトレッドはセダンやワゴンより広げられて自己主張を強めている。リアエンドには四角いテールパイプが2本ずつ左右に並び、パナメリカーナグリルの後ろに鎮座するエンジンの正体を示唆する。


それはこれまでと変わらず、シリンダーバンクにターボチャージャーを2基配置した4.0ℓV8。最高出力と最大トルクは、スタンダードなC63クーペでは476psと66.2kg-m、今回テストするC63 Sでは、5500〜6250rpmで510ps、たった1750rpmから4500rpmの間で71.3kg-mを発生する。パワーに関しては、アルファ・ロメオやBMWのライバル車たちを大きく引き離すまでには至らない。
マルチクラッチ・トランスミッションは、これまでの7速から9速へ格上げ。ただし、駆動方式は後輪駆動のままだ。トルクコンバーターではなくクラッチを装備することで、重量を抑えるとともに、スロットル入力の変化に対するレスポンスを高めている。LSDは、C63では機械式だが、Sバージョンは電子制御式。また、これもC63 Sに与えられるダイナミックエンジンマウントは、振動を減らすとともにターンインのレスポンスを改善する。

サスペンションは前後ともマルチリンクで、コイルスプリングとAMGのライドコントロールと呼ばれるアダプティブダンパーを装備し、わずかながら再チューンされた。走行モードの切り替えにより、ダンパーの固さはもちろん、ステアリングの手ごたえやシフトスピード、スロットルレスポンスも変化し、走りの幅広さを見せる。
しかし、おそらくもっとも有意義なアップデートは、新たなAMGダイナミックプログラムを得たことだろう。これにより、リアディファレンシャルの作動の性質を、ベーシックからマスターまでさまざまなモードに変更することができる。AMG GT Rで導入されたのと同様に9ステージ式となるトラクションコントロールと協調して、ドライバーの能力に合わせた遊び心ある挙動を引き出してくれるデバイスだ。
車両重量の公称値は1745kgだが、これはかなり正確なデータだと思われる。テスト車は、満タンで実測1770kgだったのだ。前後重量配分は、55:45である。
内装 ★★★★★★★☆☆☆
もしも目隠しをして、通常のCクラス・クーペとAMGバージョンのコクピットを座り比べたら、きっとどっちがどっちか言い当てられるだろう。それを教えてくれるのは、胴体をガッチリ支える硬めのシートと、マイクロファイバーが巻かれたステアリングホイールだ。

とはいえ、その2点を除けば、概ね通常のCクラスのインテリアと変わらない。ダッシュボードの上にはディスプレイが鎮座し、その下には円形の送風口が3つ並び、センタークラスターにはエアコンの操作パネルと、ナビゲーションとインフォテイメントのショートカットボタンが配置される。インフォテイメントのロータリー式コントローラーもまた、センターコンソールの大きな小物入れのすぐ後ろという定位置にある。

計器盤はアナログではなくデジタル表示だが、12.3インチの鮮明な新型ディスプレイを採用。インフォテイメントのディスプレイは、従来モデルより大型の10.3インチとなった。賞賛を集めたレイアウトは、エルゴノミクス的にいえば現在でも十分に通用するものだが、全体的な構成にはそろそろ刷新が必要だと感じさせるところもある。
マテリアルのリッチな質感も印象的だが、それも部分的に見ればの話。ステアリングホイールは、リムを覆ったアルカンターラ風素材が、握った途端に手のひらと指先へC63のパフォーマンスカーとしての血統を伝えてくるが、プラスティックのスイッチ類は1200万円級のクルマにそぐわないクオリティだ。ダッシュボード上面やドアトリムに張られたアーティコと呼ばれる合成皮革も、この価格のクルマなら本革を標準装備してもらいたいというのがテスターたちの感想だ。


クーペスタイルはセダンやワゴンより魅力的なルックスをみせるが、実用性では当然ながら劣る。われわれの計測では、後席はヘッドルームが800mm、レッグルームが650mmだが、子供ならともかく、大人が快適に過ごせる場所ではない。それは、乗降性に関しても同様だ。トランクルームの容量は355ℓで、それなりに広くはあるものの、BMW M4の455ℓには大きく水をあけられている。
走り ★★★★★★★★★☆
寒く、路面の湿ったテストコースの、真っ平らな1.6kmストレートはふたつのことを教えてくれた。まず、理想的とは言えないコンディションの路面に有り余るパワーを伝えるには、二輪駆動より四輪駆動の方がはるかに適しているということ。次に、C63 Sクーペは、いったんその状況に馴染んでしまえば、途轍もなくクイックなクルマだということである。
もちろん、510psと71.3kg-mという公称値は驚くほどのことではない。しかしながら、AMG最小のV8モデルであるこれは、まるでコースの終点にあるガードレールのずっと向こうまで加速を続けていきそうに感じられる。オプションのAMGドライバーズパッケージを装着すれば、最高速は250km/hから290km/hへと引き上げられるが、それらのリミッターを完全に解除できれば、320km/hをオーバーするとしても不思議はない。

もっと客観的なデータをみていこう。2名乗車で往復計測した0-97km/h加速の平均値は4.3秒で、公称値には0.4秒届かなかった。もっとも、当日のコンディションでは、低いギアでのトラクションは満足いくものでなかった。ドライ路面なら、文句なくメーカーの主張するタイムを達成できるだろう。実際、湿った路面でマークした0-161km/h=9.2秒というタイムは、ジュリア・クアドリフォリオと同等で、M4に0.4秒譲るのみだが、これらのライバルは完全なドライコンディションでテストしている。AMGに、何ら恥じるところはない。
4.0ℓV8の能力が発揮されるケースは、変速しつつの強力な直線ダッシュに制限されない。ギアを固定していても、怒涛の走りをみせる。4速固定での48-113km/h加速は4.9秒で、アルファとBMWの5.4秒を凌いだ。これこそ、シリンダー数の有利がなせる業だろう。
9速MCTは、巧みな変速を可能にする能力の持ち主だ。しかし、よりアグレッシブな調整により、低速での礼節が多少は失われているのも事実である。とりわけシフトダウンはぎこちなく、滑らかさを欠く。全開時のレッドラインでのシフトアップをより味気ないセッティングにしていたなら、もっと満足のいくものとなっただろう。
テストコース
かつて、AMGのハイパワークーペは、ストップウォッチの前では腰砕けだったが、C63 SのATがやはりサーキットでは扱いにくいいっぽうで、クルマそのものは素晴らしいものがあった。メルセデスのカーボンセラミックブレーキはラップを重ねても音を上げず、その食いつきと制動力はドライビングに自信を持たせてくれる。公道向けのミシュラン・パイロット・スーパースポーツも路面をガッチリ掴むが、これは5〜6周もするとベストな状態が失われてしまう。
アグレッシブな電子制御デフは、強力なトラクションに寄与する。それゆえ、よほどスロットルを乱暴に踏み込まなければ、コーナリング中の良好なバランスが徐々にアンダーステアへと転じていく。このシステムはまた、タイトな低速コーナーでも効果的で、ドライコンディションでは飛び出すような脱出を可能にする。さらに、ポルシェ911のようなスポーツモデルに比べて高い重心は感知できるが、ボディの挙動はおおむねきっちりと抑えられており、結果としてライバルたちと十分に渡り合えるラップタイムを実現する。
ドライサーキット
メルセデスAMG C63 Sクーペ:1分13秒8
BMW M4(2014年、乾燥路面/気温23℃):1分12秒5
T3へは安定して、劇的なことはほとんどないままにかなりの速度で進入するが、タイトだがクイックなので、繊細なコーナリングが必要とされる。
電子制御デフは、スロットル操作を注意深く行えば、T6でのパワーロスを最小限に抑えられる。このコーナーはトラクションの試金石だが、C63 Sは上々にこなす。
ウェットサーキット
メルセデスAMG C63 Sクーペ:1分10秒6
BMW M4(2014年、乾燥路面/気温23℃):1分25秒7
このコースの極めてμが低い路面では、まずはアンダーステアが出て、急激にオーバーステアへ転じる傾向がある。バランスに余裕はあるが、注意は必要だ。
T8の後に待つ水浸しの直線で、C63 Sはホットロッド的な本性を表す。どのギアでも、トラクションを得るには激しく苦戦する。
発進加速

テストトラック条件:湿潤路面/気温14℃
0-402m発進加速:12.6秒(到達速度:190.1km/h)
0-1000m発進加速:22.3秒(到達速度:245.1km/h)

BMW M4
テストトラック条件:乾燥路面/気温23℃
0-402m発進加速:12.3秒(到達速度:194.6km/h)
0-1000m発進加速:21.9秒(到達速度:250.0km/h)
制動距離

テスト条件:湿潤路面/気温14℃
97-0km/h制動時間:2.69秒

BMW M4
テスト条件:乾燥路面/気温23℃
使い勝手 ★★★★★★★★☆☆インフォテインメント
このC63 Sクーペのインフォテイメントシステムは、最新型ではないコマンドを採用する。ただし、ディスプレイは8.4インチから10.25インチへ拡大された。また、計器盤はアナログではなく、12.3インチのディスプレイを用いたデジタルコクピットとなった。

ナビゲーションやデジタルラジオ、Apple CarPlayとAndroid Autoはすべて標準装備だが、ソフトウェア自体は古さが見えはじめている。マップはより新しいシステムのそれほど詳細ではなく、メニュー切り替え時にはわかりやすいタイムラグがある。起動も遅い。
そうはいっても、12.3インチの新型デジタルコクピットはクリアで読み取りやすく、ステアリングホイールに設置された小さなタッチパッドを使えばカスタマイズも容易だ。

テスト車には2595ポンド(約39万円)のプレミアムプラスパッケージを装備。その内容は、360°サラウンドビュー・パーキングカメラやパノラミック・グラスサンルーフなど。エクセレントなブルメスター製サラウンドサウンドシステムも含まれるが、当然ながらV8サウンドに飽きることはないはずだ。
駐車

燈火類
オートマティック・マルチビームLEDヘッドライトは、C63ではオプションだが、C63 Sでは標準装備。ハイ/ローともに、明るさも照射範囲の広さも申し分ない。
ステアリングとペダル

ステアリングコラムのアジャストに関しては、何の不満もない。ペダルはほどよい間隔が開けられ、長距離ドライブでの疲労を軽減するのに役立つ。
操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆
このAMG、ストレートスピードに不足を感じることはまずないが、数十年にもわたりこのブランドのロードカーはハンドリングの正確さやコーナリングでの安定ぶりは、BMW Mはもちろん、ときにはアウディのクワトロGmbHが放つライバルにさえ後れを取ってきた。
その不足はかつてよりかなり小さくなり、おそらくステアリングフィールやシャシーバランスに関していえばなくなったといっていい。間違いない。C63 Sの名声は、膨らんだホイールアーチを擁するシャシーや圧倒的なV8によるものだが、実際、驚くほど直観的かつ予期しやすいクルマで、しばしば素早く走らせるには繊細なクルマだ。

最初に感じるのはグリップとバランスで、ダイナミックエンジンマウントの助けもあって、これまでのAMGモデルではもっとも平静な方向転換をみせる。AMG GTを含めてもだ。計算通りに運転すれば、魅了されるほどの速さを、安定したまま叩き出す。速度計のチェックを怠るわけにはいかないほどだ。ステアリングは、このクラスの水準からすれば極めてコミュニケーションに富むが、われわれの好みからすればリニアさには満足できない。
しかし、速さだけではない違う面も、このクルマは持ち合わせている。英国のたいていの道路では、ダンパーのモードはコンフォートがおすすめだが、場合によってはスポーツでも悪くない。トルクベクタリングを新採用したAMGダイナミックプログラムは、もっともアグレッシブなマスターモードに。ESPはカットして、逆に9ステージ式トラクションコントロールは寛容なセッティングにしてさえ、C63 Sがドライバーを楽しませこそすれ、脅かすようなことは滅多にない。
段階を上げても、電子制御デフは滑らかな後輪駆動のバランスを支え、タイトだがこれまでより滑らかな上下動のコントロールはテールを振り回す舞台を整えてくれる。これはとんでもなく速く、また遊べるクルマだ。その能力を実証し、コーナリング中のどの場面でも信用を尽きさせることがない。BMW M4では、この感覚を決して味わえない。
快適性/静粛性 ★★★★★★★☆☆☆
歴史を振り返れば、豪華さと洗練性は、付随的なものかもしれないが、AMGの体験における重要な要素だった。現在のC63 Sには、もはやふんだんなウッドパネルやふわふわしたサスペンションはみられないが、オーナーたちは完全なGTカーの代役をキチンと務め、ときに長距離ドライブもこなすことを求めるはずだ。
その点は、フェイスリフトで多少ながら改善された。とはいえ、W205世代のCクラスAMGは、基本的に固いクルマだ。長距離での快適性は及第点以上といったところで、荒れた路面での身体に伝わるパタパタした感じはたいていの場合で避けられないが、コンフォートモードなら納得いくレベルにまで減少する。これは、速度を上げると生じてくるシャシー本来の一体感によるところもある。

事実、ほとんどの場合でスピードは乗り心地のクオリティを高めてくれる。また、穏やかながら間違いなく波長の長い入力を吸収しながらも浮き上がってしまうことのないサスペンションの能力が、パフォーマンスブランドらしい快適性を生んでいる。市街地での走りや低速での取り回しは、ストラットからはっきりとしたショックが出てしまうが、この手のクルマとしては予想の範囲内だ。なにより、日頃から2速を超えるのに精一杯というようなドライバーが、C63 Sを購入しようとは思わないだろう。
とはいえ、四輪の大きな接地面は、それなりのタイヤノイズを発生させ、長く乗っていると疲れにつながる。それもこの手のクルマには付きものだと思うかもしれないが、113km/h巡航時の騒音計測で、これより5dB低い値だったアウディRS4が、クラス標準がこれまでより上がってきていることを示している。
購入と維持 ★★★★★★★☆☆☆
C63 Sの510psを発生するV8は、サーキットでの2.3km/ℓという燃費に驚かされる。とはいえ、このエンジンの実態を表しているのは、テスト全体での9.2km/ℓという平均燃費の方だろう。113km/h定速巡航では12.1km/ℓで、航続距離は800kmほどと試算される。
本体価格は7万8023ポンド(約1170万円)で、M4コンペティションパッケージの6万2580ポンド(約939万円)やジュリア・クアドリフォリオの6万3540ポンド(約953万円)よりかなり高い。テスト車の参考価格は、4285ポンド(約64万円)のカーボンセラミックブレーキや2395ポンド(約36万円)のAMG GT R風ホイール、1260ポンド(約19万円)のAMGエアロダイナミクスパッケージなどを装着し、9万2223ポンド(約1383万円)に達している。
メルセデスは総じて値落ち幅が小さいので、アルファより残価率が低いと聞いたら驚くのではないだろうか。5.8万km/3年後の試算は46%で、M4の43%は上回るが、ジュリア・クアドリフォリオの50%には一歩譲る。

もっとも高価なAMGだが、残価予想を率でみると、BMWには勝るが、アルファには及ばない。
スペックレイアウト

AMG各車に広く使われる4.0ℓV8ツインターボは、フロントに縦置きされる。パワーは多板クラッチを備える9速ATを介してリアへ送られ、電子制御LSDによって左右後輪へ分配される。サスペンションは前後ともマルチリンクで、アダプティブダンパーを標準装備。テスト車で実測した車両重量は1770kgで、前後重量配分は55:45だった。
エンジン
駆動方式:フロント縦置き後輪駆動
形式:V型8気筒3982ccツインターボガソリン
ブロック/ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ83.0×92.0mm
圧縮比:10.5:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:510ps/5500-6250rpm
最大トルク:71.3kg-m/1750-4500rpm
許容回転数:6900rpm
馬力荷重比:292ps/トン
トルク荷重比:40.9kg-m/トン
エンジン比出力:128ps/ℓ
シャシー/ボディ

構造:スティール/アルミモノコック
車両重量:1745kg(公称値)/1770kg(実測値)
抗力係数:0.34
ホイール前/後:9.0Jx19/10.5Jx20
タイヤ前/後:255/35R19/285/30R20
ミシュラン・パイロット・スーパースポーツ
スペアタイヤ:パンク修理キット
変速機
形式:9速オートマティック
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
?5.35/7.7?3.24/12.9?2.25/18.5
?1.64/25.4?1.21/34.4?1.00/41.7
?0.86/48.4?0.72/57.9?0.60/69.5
最終減速比:3.07:1
燃料消費率
AUTOCAR実測値:消費率
総平均:9.2km/ℓ
ツーリング:12.1km/ℓ
動力性能計測時:2.3km/ℓ
メーカー公表値:消費率
低速(市街地):5.8~5.9km/ℓ
中速(郊外):8.9~9.0km/ℓ
高速(高速道路):10.2~10.4km/ℓ
超高速:9.5~9.8km/ℓ
混合:8.9~9.0km/ℓ
燃料タンク容量:66ℓ
現実的な航続距離:607km
CO2排出量:230g/km(NEDC)
サスペンション
前:マルチリンク/コイルスプリング、アダプティブダンパー
後:マルチリンク/コイルスプリング、アダプティブダンパー
ステアリング
形式:電動、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.5回転
最小回転直径:11.8m
ブレーキ
前:402mm通気冷却式ディスク
後:360mm通気冷却式ディスク
静粛性
アイドリング:-
最高回転時:85dB(4速)
48km/h走行時:64dB
80km/h走行時:67dB
113km/h走行時:70dB
安全装備
ABS/ESP/アクティブボンネット/アテンションアシスト
Euro N CAP:テスト未実施
乗員保護性能:成人-%/子供-%
歩行者保護性能:-%
安全補助装置性能:-%
発進加速
実測車速mph(km/h)秒30(48) 2.1
40(64) 2.8
50(80) 3.4
60(97) 4.3
70(113) 5.3
80(129) 6.5
90(145) 7.8
100(161) 9.2
110(177) 11.1
120(193) 13.0
130(209) 15.2
140(225) 17.7
150(241) 21.6
160(257) -
中間加速〈秒〉
中間加速mph(km/h)2速3速4速5速6速7速8速9速20-40(32-64) 1.7 2.0 2.9 - - - - -
30-50(48-80) 1.7 1.7 2.3 3.5 5.0 - - -
40-60(64-97) - 1.7 2.2 2.9 3.7 5.3 8.4 -
50-70(80-113) - 1.8 2.4 2.8 3.5 4.4 6.5 10.7
60-80(97-129) - - 2.4 3.0 3.7 4.3 5.6 8.1
70-90(113-145) - - 2.4 3.2 3.8 4.4 5.7 7.5
80-100(129-161) - - 2.7 3.3 4.0 4.8 6.0 7.7
90-110(145-177) - - - 3.4 4.2 5.2 6.6 8.5
100-120(161-193) - - - 4.0 4.4 5.5 7.0 9.4
110-130(177-209) - - - 4.3 4.8 6.0 8.1 -
120-140(193-225) - - - 4.8 5.4 6.5 - -
130-150(209-241) - - - - 6.2 - - -
140-160(193-257) - - - - - - - -
各ギアの最高速
1速 53km/h 6900rpm2速 89km/h 6900rpm
3速 127km/h 6900rpm
4速 175km/h 6900rpm
5速 238km/h 6900rpm
6速 288km/h 6900rpm
7速 290km/h 5977rpm
8速 290km/h 5004rpm
9速(公称値) 290km/h 4170rpm
9速・113km/h/129km/h:1622rpm/1853rpm
結論 ★★★★★★★★★☆
「綺羅星の如きこのC63 Sは、まさしくBMW Mへの宣戦布告だ」
AMGが、現行Cクラス・クーペにダウンサイジングターボユニットを搭載しリリースしてから4年経ったが、それでもアナクロ感漂うこのクルマの魅力はほぼ色褪せていない。その魅力の源泉を、このクラスでは稀有となった強烈なパワートレインや、現実世界ではスーパーカーすら脅かすほどのパフォーマンスだとするのは簡単だ。しかし、AMGの真の成功は、この愛すべきホットロッド的クーペを、よりハードなドライビングを楽しめると同時に、英国の道路にも順応できるクルマに仕立てたことにある。シャシーの電子制御系は、もう少し煮詰めてほしい感もあるが、それでもとくに注目すべき点だ。また、これまで持ち合わせていなかった乗り心地の繊細さが備わった。
そうは言っても、内装の構成やフィニッシュはデビューから時間が経ったことを感じさせはじめている。さらにAMGは、好ましくないロードノイズを遮断すべく、対策を講じるべきだ。それらの点は、Cクラスファミリーにおける他のモデルでは深刻な問題となりうる。C63 Sが現状の市場を見回しても類がないほど楽しく、スリルを味わえるクルマであることを考えあわせると、それは看過して然るべきだが、その一点ゆえに満点を与えることはできなかった。
担当テスターのアドバイス
リチャード・レーンESPはカットし、9ステージ式トラクションコントロールは6〜8の間に。スバルBRZを500psにしたような夢のクルマとはいかないが、ほぼ完璧な走りを味わえる。
サイモン・デイヴィスAMGのシャシーエンジニアたちが、豪快な4.0ℓV8のみに頼らないドライビング体験を具現化した素晴らしい仕事の成果だ。C63には、これほどホットロッド的な走りはない。
オプション追加のアドバイス
はたして、C63と、それより9000ポンド(約135万円)高いSではどちらを選ぶべきか。われわれは、装備内容やシャシーに追加される電子制御デバイスを考慮すれば、価格差なりの価値はあると思う。
改善してほしいポイント
・キャビンはもう少しAMGならではの特別な演出を加えてほしい。ノーマルのCクラスとの差を明確に。
・長距離ドライブを考えれば、ロードノイズはもっとしっかり遮断しなければならない。
・9速ATの動きはいいのだが、低速でのマナーには改善の余地がある。
