苦戦続きの福岡、ペッキア監督を改めて紹介する
アビスパ福岡の苦戦が続いている。3日現在で3勝3分6敗の勝ち点12と伸び悩んでいる。一時22位に落ちた順位こそやや回復気味だが、何にせよ得点がとれない。
今回はアビスパ福岡を今季から指揮し、すでに解任論もささやかれているファビオ・ペッキアについて振り返ろうと思う。
イタリアきってのインテリ

ファビオ・ペッキアはナポリ大で法学の学位を取得、弁護士(l’avvocato)の資格を持つ。ペッキア曰く大学卒業には10年がかかったが、卒業について考えるのをやめることは決して考えなかったという。また、そこで妻と出会ったという。
そのアヴェッリーノでキャリアを開始したペッキアは、1993年にナポリに移籍すると頭角を現し1997年にはユヴェントスの一員としてデル・ピエロらとプレーした。ユヴェントスではキャリアを形成し続けることはかなわなかったが、サンプドリア、ボローニャ、トリノ、インテルなどでプレー。
現役時代のペッキアは運動量があるBox to BoxのMFで闘争心があり小柄であるが攻守に働け守備でボールを奪い、また2列目から飛び出してゴールを奪った。ボローニャ時代には中田英寿氏とチームメイトであったため日本で覚えているファンも多いだろう。
最終的に2009年までプレーし現役を引退しフォッジャで指導者としてのキャリアを開始した。
若い頃にはイタリアU-21代表、五輪代表の経験があり、1996年のU-21EUROメンバーとしてチームの優勝を経験している。
監督としてのキャリアは?
ペッキアが最初に監督となったのはグッビオで2011年に指揮するも10月に解任、その後ラティーナでコッパ・イタリア・レーガプロの決勝までチームを導き話題をさらった。
2013年にラファ・ベニテスのアシスタント・コーチとして古巣ナポリに3度目の帰還を果たす。ベニテスについていく格好でレアル・マドリーでもアシスタント・コーチを務めた。気が付けばラファ・ベニテスの右腕と呼ばれるようになっていた。
その後、ニューカッスル・ユナイテッド、エラス・ヴェローナでセリエA昇格とセリエB降格を経験している。セリエAレベルで監督を務めたのは昨シーズンが初めてで”助監督”ではない監督としてはまだまだキャリアは浅い。
戦術は?

4-3-3を中心にフォーメーションを選択しているが、4-5-1、4-4-2を採用したこともある。問題は形ではない。
得点を取られないことに比重をおきがちなイタリアサッカー界では珍しく攻撃的なサッカーを志向する。
ゴールキーパーもDFラインの1人として足元のつなぎを要求され、エラス・ヴェローナのマルティン・カセレスのようにサイドバックがガンガンに上がっていく。チーム全体として後方からパスでつないでいきゴールを目指すのがペッキアのサッカーだ。
エラス・ヴェローナではその攻撃的サッカーが評価されたが、一方でセリエAでは結果が伴わなかった。アントニオ・カッサーノの思いがけない夏での退団など不運にも見舞われた。
その後、アビスパ福岡へ移ったというわけだ。
特徴はコミュニケーション
ファビオ・ペッキアの目指すサッカーでもう1つ大事なことがある。それは、最初に指揮したグッビオでの失敗談から学んだコミュニケーションだ。

実際にコーチライセンス取得時での論文はコミュニケーションによるもの。
その中では「心理学における内発的動機づけと外在的動機づけとの間の古典的な区別は、アスリートのパフォーマンスにおいて精神的に助けるのに非常に適切であるように思われる。」と記載されている。
また、ズデニェク・ゼーマン監督のハーフタイムでの技術的でも戦術的でもないトークによりチームが一気に雰囲気が変わった例をあげて「魔術師なのか?」と問うなどコミュニケーションがパフォーマンスに影響を与えることを大きく重視している。
本人も4月の町田戦を前に「疲れが出ても勝つメンタリティーを忘れてはいけない」と語るなどメンタル、コミュニケーションに関する発言には注目をしていきたい。
何故、福岡は苦戦?

今季アビスパ福岡が苦戦している理由としては複数ある。
1つは守備面だ。コンパクトな陣形を心掛けているのはわかるのだが、無失点ゲームは2試合しかない。
もう1つはストライカーが見当たらなかったということだ。FW登録の城後寿はセンターハーフも務めるなど決してボックス型のストライカーではないし、新外国人のミコルタも元々は右サイドバックからウィングへとコンバートされた選手。同じく石津大介も下がってボールを受ける、サイドで起用されるなど純粋な9番タイプの選手がいなかった。
その問題についてはセレッソ大阪から韓国代表FWヤン・ドンヒョンを獲得して以降8ゴール(それまでは1ゴールだけだった)をあげており改善の余地が見られる。うち3ゴールがヤン・ドンヒョンのもので一定の結果は残しつつある。
高卒ルーキーのDF三國ケネディエブスを我慢し続けて使うなど戦術が浸透するまでチームが成長していけるか長い視点で見ることがアビスパ福岡に大切なのではないだろうか。
特にアビスパ福岡は登録選手の人数も多くない。戦術だけでなく選手登録人数もコンパクトなのだが、選手層が厚いわけではないからだ。
ちょっとだけ思うのは足元に長けたDF古賀太陽やFWドゥドゥがいた昨シーズンのメンバーのほうがこのサッカーにあっていたのではないか…という点だ。
