「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。今回の漢字は「薬(くすり)」、「良薬」「薬草」の「薬(ヤク)」です。



「薬(藥)」という字は、草かんむりの下に「楽」と書きます。

「楽」という字は、ある楽器を描いた象形文字で、最初に書く「白」という字は鈴の形。

その左右に添えられた四つの点は、古い字体で見ると「糸」という漢字の上半分が書いてあります。

これは、その鈴をつなげる糸飾りです。

そして、その下に書く「木」という字が取っ手を表し、「神楽鈴」と呼ばれる楽器の形を描いています。

今現在も使われている神楽鈴の形は、まさに「楽」という漢字に似ていることがわかります。

この鈴を巫女たちが手に持ち、音を奏でながら舞い踊れば、その様子を見て神々が楽しみ、地上へ降りてくる。

これが「楽」という漢字の成り立ちです。

そしてもうひとつ、この鈴を巫女が振り鳴らす機会があります。

いにしえの人々は、病はすべて呪いやたたりによるものと考えていました。

清らかな鈴の音には病魔を祓う力があると信じられていたので、巫女たちは病人のそばで鈴を振り、病を治療していたのです。

その鈴を表す「楽」という字に草かんむりをつけた「薬」とは、病を治す草、つまり「くすり」そのものを意味するようになりました。

薬草は、古事記などの神話にも登場。

人類の歴史における初期の時代から、シャーマンによる秘術とともに、花粉や汁を患部に塗り込んだり、煎じて飲んだりして使われてきたのです。

ではここで、もう一度「薬」という字を感じてみてください。

新年度からの環境の変化にようやく慣れ、ふと気がゆるむこの時期。

梅雨や蒸し暑さなどの気候も重なって心身に不調をきたす症状を、最近では「六月病」と呼ぶそうです。

この病に効く薬は、自分自身を取り戻すひとときをもつこと。

薬を「服用」する、という言葉があります。

いにしえの人が病魔を祓うためのお守りや魔除けを、服のように身につけたのがその語源。

そこで「六月病」の疑いがあるあなたには、楽しい気分になれる薬を身につけることをおすすめします。

着心地のいい夏服、明るい色の傘。

お気に入りの音楽、夢中になれる本。

こんな薬なら、いくつ服用しても問題ありません。

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。

その想いを受けとって、感じてみたら……、

ほら、今日一日が違って見えるはず。

*参考文献

『常用字解 第二版』(白川静/著 平凡社)

6月9日(土)の放送では「睡」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。



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聴取期限 2018年6月10日(日) AM 4:59 まで

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<番組概要>

番組名:感じて、漢字の世界

放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット

放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜7:20〜7:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)

パーソナリティ:山根基世

番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/kanji/