近年、コンピューター制御による打ち上げ花火が一般的となり、音楽に合わせて打ち上げる「花火プログラム」も多く見られるようになりましたが、花火大会全体の一部の演出であったり、フィナーレで行われるというケースが多いです。このような音楽とシンクロする花火が、約1時間ノンストップで打ち上げ続けられるという花火大会が、モエレ沼芸術花火(北海道)・名港水上芸術花火(愛知県)・海の中道芸術花火(福岡県)などで、芸術花火シリーズとして行われています。この芸術花火が、2018年5月30日に関西で初めて開催されるということで、実際に見てきました。

京都芸術花火2018

https://www.kyoto-hanabi.com/

場所は、京都府京都市伏見区向島又兵衛にある京都競馬場です。

大会会場の京都競馬場に到着。小雨がパラパラ降っている状況でした。



会場裏のパドック、競馬開催日には競走馬やたくさんの来場者でにぎわう場所ですが、今日は馬も人もいません。



この花火大会は、全席が有料席となっており、会場内には無料で見られる場所は用意されていません。コース前エリア(税込3780円)は、競馬場のコースの端から端まで続いています。



スタンド席(税込7560円)では、ボランティアスタッフが指定席用の番号を書いた紙を貼っています。



この花火大会を支える大学生や青年会などのボランティアスタッフと運営スタッフの皆さん。芸術花火のスタッフに聞いたところ、「初めての大会でこれだけ多くのボランティアが参加してくれるのはすごい」とのこと。



客席の一番前に置かれている黒い物体はスピーカー。端から端まで約25m間隔でずらりと並んでいます。



開場予定時間の17時から10分遅れで開場、花火を近くで見たい人は最前列にシートを敷いて観覧場所を確保。



「席を確保したら食べものを」ということで、フードコートのお店は長蛇の列となっていました。



18時となり、花火前のイベントTRFのDJ KOOによる「夕焼けディスコ」が始まります。



「EZ DO DANCE」が流れた際には、観客もノリノリで一緒に声を上げていました。



朝から降っていた雨もやみ、夕日がさすほどに。あとは、花火大会が始まるのを待つだけです。



花火大会本番の前に、内容の確認。芸術花火は、Pyrosmithの花火コレオグラファー・大矢亮氏と参加花火会社で作られています。コレオグラファーとは振付師という意味で、曲の選出や花火の打ち上げのタイミングなどの演出は、全て大矢氏によるものです。



花火大会開始3分前、会場内の明かりが消されターフビジョンに映るプロモーション映像だけが明るく光っています。そして、大会開始直前にターフビジョンの映像が消えると、会場からは拍手が自然と湧きました。



今回は、芸術花火シリーズ初開催ということで特別プログラム「芸術花火レクチャー」が用意されています。実際に花火を上げながら花火師の中嶌結希氏が、菊と牡丹の違いや花火の種類を解説します。写真は、花火の星が4つに分かれるクロセットという変化をする花火を解説している場面。



レクチャー花火とはいえ、芸術性の高い美しい花火が上がります。



レクチャー花火最後のシーン。ここでも、拍手と歓声が沸き上がりました。



いよいよ、本編が始まります。QUEENの「I Was Born To Love You」からスタート。ターフビジョンには、曲が始まってからしばらくの間、曲名が表示されていました。



単に打ち上げ花火のバックに音楽が流れているのではなく、花火が広くタイミングもリズムやボーカルに合わせてあり、この場面では打ち上がる途中に広く昇り小花が、ボーカルのエコーと呼応して咲いてきらめき、最後に大輪の花が咲いて盛り上げるという流れで観客を沸かせます。



ここまで打ち上げ花火は、ターフビジョンの裏側の池か向正面のコースからしか上がっていなかったのですが、曲の最後にバリバリと音を立てつつトラが手前側にあるコースからも噴射されてびっくり。



すぐさま次の曲へ、2曲目は一青窈の「ハナミズキ」でした。ハナミズキをイメージしたと思われる花火もいくつか打ち上がります。



千輪の小花も咲かせつつ、曲に合わせたしっとりとした流れで花火が打ち上がります。



3曲目は、RADWIMPSの「前前前世」。



4曲目は、Beyoncéの「Hello」。



5曲目は、The Beatlesの「Hey Jude」。



6曲目は、Maria Callasの「Habanera(aria)」。





7曲目は、→Pia-no-jaC←の「ベートーベン交響曲第9番 ニ短調 作品125『合唱』第4楽章」。



この曲の中で、「大曲の花火・春の章」でも打ち上げられていた響屋大曲煙火の光のプースカフェスタイルらしき花火が上がっているのを発見。春の章では、横倒しでプース・カフェがこぼれてしまう角度で開いていましたが、今回は大成功。観客からも「おぉ」という声と共に拍手が沸きます。



実際どのような花火なのか、観客の反応など、以下のムービーで確認できます。

プース・カフェ・スタイルを花火で表現 - YouTube

8曲目は、平原綾香の「おひさま〜大切なあなたへ」。おひさまの様な大きな花火の左下に見える明るい点は、お月様です。



9曲目は、Museの「Survival」。ここでは、向正面の左側(2コーナー)から右側(3コーナー)に、それから手前の右側(4コーナー)から左側(ゴール)へと、トラが競馬場のコースを駆け抜けました。



実際、どのようにトラが競馬場のコースを駆け抜けたかは、以下のムービーで確認できます。

競馬場のコースをトラが走る!【京都芸術花火】 - YouTube

終幕が近づいてきました。10曲目は、Frank Sinatraの「My Way」



競馬場いっぱいを使った超ワイドな花火が上がります。



曲の最後の余韻と共に、細かなスパークと千輪の花が咲きました。



このMy Wayの最後の演出で終演となっても良いところですが、芸術花火はひと味違います。フィナーレは尺玉(直径約30cm・上空で300m以上広がる大玉)の連続打ちです。



中島みゆきの「誕生」に合わせて、1発ずつ尺玉が上がります。きれいな四重芯が見られた際には、観客から歓声が沸いていました。



16発ほど連続で尺玉が打ち上げられました。最後の尺玉は、冠が競馬場の上空いっぱいにゆっくりと大きく広がり、最後は紅色の点滅する星が余韻を残しつつ消えていきます。



「以上で花火は終了となりました」というアナウンスで、観客はざわめきますが、すぐに会場中から自然と拍手が沸き起こります。派手なラストで締めくくるのではなく、芸術性の高い尺玉で締めくくることで、芸術花火シリーズが芸術性を重視し1発1発の花火に自信を持っている花火大会であるということがわかりました。



コンサートや演劇などのように、「お金を払うことで質の高い花火・演出を楽しむ」という新しい価値観を作りたい、難しいことにあえて挑戦をする芸術花火シリーズの情熱を感じました。今回は、文化庁の京都移転を記念して開催された花火大会でしたが、スタッフによると「来年以降も続けて行いたい」とのことですので、興味のある方は京都芸術花火のホームページやTwitterをチェックしてみてください。



◆参加花火会社

・アルプス煙火株式会社

・有限会社安藤煙火店

・有限会社糸井火工

・有限会社伊那火工堀内煙火店

・有限会社柿薗花火

・加藤煙火株式会社

・株式会社北日本花火興業

・株式会社國友銃砲火薬店

・株式会社小松煙火工業

・株式会社齊木煙火本店

・新潟煙火工業株式会社

・野村花火工業株式会社

・株式会社ハナビランド

・響屋大曲煙火株式会社

・株式会社山内煙火店

・株式会社ワキノアートファクトリー