【海外発!Breaking News】自閉症で身体障がいを持つ娘のため バリアフリー・テーマパークを創設した父(米)

妻のマギーさんと娘が気兼ねなく遊べる場所に連れて行ってあげたいと探してみたものの、障がいを抱える子供たちに適した遊び場など存在しないことを実感した。
そこでゴードンさんは「特別なサポートを必要とする子供たちがそうではない子とも一緒に遊べるテーマパークを作ろう」と決心し、2005年9月にこれまで自分の仕事だった住宅建設事業部を売却。障がいを持つ人々の手助けをする非営利慈善団体「ゴードン・ハートマン・ファミリー基金(The Gordon Hartman Family Foundation)」を立ち上げた。
そして2007年に同州サンアントニオに25エーカー(東京ドーム約2個分)にもなる「モーガンズ・ワンダーランド」の建設を始め、2010年に障がい者のための初のバリアフリー・テーマパークが完成した。メリーゴーラウンドや観覧車、ミニチュアトレインなどのアトラクションを備えたテーマパークには総工費3,400万ドル(約38億円)かかったが、ゴードンさんは「子供たちの笑顔を見ているとそれだけの価値はありますよ」と言う。
認知理解度が5歳レベルという自閉症のモーガンさんは当初、テーマパークに慣れるのに時間がかかったそうだ。しかし、「今ではこのテーマパークをとても気に入ってくれて、お気に入りのアトラクションは砂の広場とブランコだと言っています。娘はこのテーマパークに自分の名前が付いていることを知っていますが、ここがどれだけ多くの人の心を動かしインスパイアしているかは理解できていないと思います。来場者たちはモーガンに話しかけてくれるので、娘は以前よりもよく話すようになりました。今は何度か手術を受けて、身体的な障がいも克服しつつあります。私たちは娘がここまで成長してくれたことを嬉しく思っています」と話している。
ゴードンさんは今年6月、1,700万ドル(約19億円)をかけて「モーガンズ・ワンダーランド」の隣にウォーターパーク「モーガンズ・インスピレーション・アイランド(Morgan’s Inspiration Island)」をオープンさせた。夏になると車椅子に乗った子供たちにとってテーマパークは暑すぎて、来場が減ることを考慮してのことだった。
園内の施設の一部では、筋肉や冷えなどの問題を抱える子供たちのために温水を使用しており、電気ではなく防水加工された圧縮空気で動く車椅子が提供される。テーマパーク、ウォーターパークともに医師やセラピストが常駐しており、特別なサポートを必要とする子供たちでも快適な環境で心置きなく遊べることができるのだ。
高額な費用をかけて築き上げたこれらの施設ついて、ゴードンさんはその心境をこのように語っている。
「障がいを持つ子供たちが、そうでない子供たちと一緒になって楽しく遊べる場所を造ることは私たち夫婦が最も望んでいたことであり、ついにゴールに達したという気分です。人は健常者とそうでない人はやはり違うと言いますが、ここに来ると皆同じということに気付きます。つい先日も、車椅子の少女が健常者の女の子のところへ寄って行き、2人は一緒に遊んでいました。その姿を見てとても嬉しくなりました。ウォーターパークを開園してからは、障がい者の息子を持つ父親から『息子は今まで水で遊んだことがなかったんです』と涙を流して喜ばれたこともありました。」