エレクトロニック・ポップス界の次世代を担うと注目されているポーター・ロビンソンが、マデオンとともに作り上げた「Shelter」。この「Shelter」はMusic VideoをA-1 Picturesが製作。昨年10月に渋谷のMODIで世界最速で公開されたことでも話題になった。そして2月15日に日本限定企画 完全生産限定盤として『シェルター:コンプリート・エディション』がリリースされた。アニメ好きでも知られる彼に、この曲やMVの制作について、そして外国人である彼から見た日本のアニメについて色々と話を聞いた。



――あなたはEDMをはじめとするエレクトロニック・ダンス・ミュージックのシーンでは非常に有名なアーティストですよね。今回はアニメ音楽の雑誌『リスアニ!』のWEBインタビューということで、まずは読者に簡単にあなたの自己紹介をお願いできますか?

ポーター・ロビンソン はい。「リスアニ!WEB」をご覧の皆さん、はじめまして。ポーター・ロビンソンです。僕は24歳のアメリカ人で、エレクトロニック音楽を作っているんだけど、それだけではなくて、自分の感情や表現したいことをライブ・映像・アートなどを通して皆さんと共有することをめざしています。また音楽だけではなく、マルチメディアな作品をつねに作りたいと思っています。そして日本がとても好きで、プライベートでもよく遊びに来ています。もちろんアニメとゲームも愛している。だから自分もできるだけ海外にアニメとゲームの良さを伝えていきたいと思っているんだ。

――以前にCrunchyrollで日本のアニメをリアルタイムでチェックしている話も聞いたことがあるのですが、一体いつ頃から日本やアニメなどに興味を持ち始めたんでしょう?

ポーター 最初に衝撃を受けたのは12歳で、「DDR(DanceDanceRevolution)」をやり始めた頃だった。

――ゲームがスタートだったんですね。

ポーター そうなんだ。小さい頃から任天堂のゲームとか、ポケモンとかはやっていたけど、DDRに特にハマったね。リズムゲームオタクになったよ。ネットでDDRのリサーチをして、ビートマニアDJやミュージシャンを聴いていたから、自然に日本文化とアニメに興味を持つようになったんだ。アニメについては、この前ツイッターで、「最初何のアニメを観ていたか?」と質問をされて、『Serial experiments lain』と『あずまんが大王』という2作品を挙げたんだけど、これって天と地ほど違う2作品だよね(笑)。

――そうですね(笑)

ポーター アニメは、2Dでしか表現できないイメージの美しさや、かわいくて表情豊かなキャラクターの顔やデザイン、そして日本特有のストーリーや音楽のメロディが融合していて、とてもエモーショナルだ。だからアニメは僕にとって本当に特別な存在なんだよ。

――今、『serial experiments lain』と『あずまんが大王』のタイトルが上がりましたが、他に好きなアニメ作品はありますか?



ポーター あー……山ほどあるよ!今パソコンがないけど、実は忘れないようにリストアップしている。『おおかみこどもの雨と雪』、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』、『僕だけがいない街』、『花咲くいろは』、『あの夏で待ってる』、『月刊少女野崎くん』、『とらドラ!』。

――おお……。

ポーター ……うーんと、あともちろん『SHIROBAKO』、『サマーウォーズ』、『凪のあすから』とかかな?できるだけリアルタイムでアニメを追っかけているんだけど、昨年はすごく忙しくて、唯一ちゃんと観れたのは『Re:ゼロから始める異世界生活』で、とてもハマった。あと、まだ『君の名は。』を観れていなくて本当に悲しい!すごく見たいんだ。

――では、アニメも含めて日本のクリエイターで好きな方はいますか?

ポーター ネットとかで好きな作品やアートがたくさんあるけど、誰が作ったか分からないままだね。pixivのアカウントを持っていて――。

――日本語表記ですからね。ていうか普通にpixivアカウント持ってるんですね(笑)。

ポーター うん。そこでいろんなユーザーをフォローしているんだけど、実名はわからないんだ。作曲家だと、高木正勝さんの曲が大好き!そして梶浦由記さんのスタイルも好きで、本当に皆さんをリスペクトしている。最近は本当にインストBGMにハマっていて、アニメのインスト曲専用フォルダーもあるんだけど、作曲家はわからないものが多いんだよね。

――劇伴もしっかりチェックされているんですね。では主題歌や劇伴にトライしたい気持ちはあるんですか?

ポーター 自分のオリジナル曲の中にアニメの劇伴っぽい要素も入れたいけど、劇伴を作りたいまではないかも。だって、日本のクリエイターたちが作る劇伴は最高だし、僕がそこに入る必要もないと思っている。でもそういうスタイルがとても好きで、影響されているし、その要素は自分の音楽にも入れていきたいね。

――では主題歌は?

ポーター ぜひ挑戦したいね!自分の曲がアニメのオープニングかエンディング・テーマになるのは夢のひとつなんだ。正直そこまでいいアニメ作品じゃなくてもうれしいよ(笑)。

――こらこら(笑)。でも、確かにあなたのアニメの好みは必ずしも売れ線のものだけではないですからね。

ポーター アニメのOP曲でよくある構造で、例えば柔らかいサビから入って、ドラマチックなインストがあって、一節があってまた強いサビに戻るという流れがとても好きなんだ。自分だったら使いたいってコード進行とサウンドも考えたことがある。さっき言った構造やメロディを基にして、エレクトロニック・サウンドの要素を増して、もっと自分らしくしたいと思うな。よくあるアニメ曲の進行、歌詞、構造に自分のアメリカン・サウンドを加えたものとかね。

――ちなみに日本人の歌手でコラボしたい方っているんですか?

ポーター うーん……絶対女性ボーカルがいいね。ちょっと悲しい雰囲気で、ソフトだけど感情的な声がいちばん好きなんだ。その中にちょっと萌え要素があってもいいけど、かわいすぎないように、「Shelter」のトーンと似たような感じがいい。でも実際の名前は言いたくない。それで実現しにくくなったら困るからね!

――実現を祈ってます。さて、アニメの話を聞いたので今度はあなたの音楽性に関してです。先程「DDR」や「BEATMANIA」の話が出ましたが、海外での「音ゲー」の人気は非常に高くて、そこからダンス・ミュージックにハマった若いアーティストも多いんですよね?

ポーター そうだね。

――実際、あなたのキャリアも「音ゲー」からダンス・ミュージックに入ったことで非常にユニークなものになっている気がします。

ポーター うん、おかげでダンス・ミュージックと一般的なメロディの融合ができたと思うんだ。実際、自分はダンスと一般的な音楽の中間、いわゆるEDMのような、メロディを大切にしながらビートがしっかりした踊れる音楽を作るようになっていったんだ。



――あなたの初期のクラブ・ヒット曲である「Language」やMat Zoとの「Easy」はドラマチックなメロディを遺憾なく発揮した楽曲でしたね。しかも、「Language」にはキャラクターが登場し、「Easy」のMVはアニメーションでした。

ポーター そうだね。実際、クラブDJやミュージシャンからもすごくいい影響を受けたと思う。

――そして、もうひとつ。ポーターは原宿カルチャーも好きなんですよね?

ポーター うん。原宿ブランドの「galaxxxy」とコラボしたし、「PARK」というブランドも大好きだ。ファッションとアキバのオタク文化の融合が好きなんだよね。自分にとって、ファッションはいかに思い描くクールで魅力的でスタイリッシュな自分になれることが大事。アメリカでの「オタク」のイメージは少しネガティブなんだけど、ファッションにすればイメージを良くすることができると思う。「オタク」は全然悪いと感じていなくて、逆に好きな物に興奮できるところがとてもいい。僕は自分を音楽オタクだと思っていて、そのおかげでアートが作れるし、今があるからね。

――実際、ポーターはオタクの人が抱いてしまいそうなコンプレックスみたいなものとは無縁な感じがありますよね。

ポーター さっきも言ったように、みんなが自分の好きな物を良く思えばいいと思うんだよね。社会に貢献して、健康で社交的にいれれば、自分の趣味に没頭するのは全然問題がないんじゃない?でも僕だってコンプレックスはあるよ!

――本当ですか?



ポーター もちろん!みんなあるでしょ?でも、声に出して言うことじゃないし、あまり言いたくないよね。恐怖や不安はたくさんある。今回「Shelter」のアニメを作っている途中も怖かったけど、なるべくポジティブにいるようにした。日本に来るたび、ここで感じるポジティブさに感心する。日本のみんなは「和」を大事にするから、誰かとの考え方が違っていても、お互いの落とし所を探すよね?もちろん、本音を言わないと誤解を招く可能性はあるけど、全体的にすごいと思っている。アメリカ人はもうちょっと日本人の協調性を見習うべきかもね。

――そう言われると嬉しいですね。さて、あなたのキャリアもおさらいしたところで、いよいよ本題です。そんなポーターが、フランスのダンス・ミュージックの若手プロデューサーのマデオン(22歳)と作り上げ、2月5日(水)に日本限定企画 完全生産限定盤として『シェルター:コンプリート・エディション』が発売されましたが、その「Shelter」のMusic Video「Shelter The Animation」が昨年10月に渋谷のMODIで世界最速公開されましたね。あなたもその場に立ち会っていましたが、感想はいかがでしたか?



ポーター 最初はすごく緊張したんだけど、周りにDJ WILDPARTYやD-YAMAなど、たくさんの友達がその場に一緒にいてくれて本当にうれしかった。でも映像が流れ始めたときにまた緊張して。この作品が本当に完成して世に出たことが信じられなかった。まだみんなに見せる心の準備ができていなかったけど、終わってみんなの拍手と歓声を聞いたらすごくほっとして、とてもとてもうれしかった。

――改めてポーターの曲には非常に強い物語性があって、それがアニメーションというメディアと合わさることで相乗効果を生み出したプロジェクトだと感じたのですが、ご本人的には今回のコラボレーションをどのように感じていますか?

ポーター そうだね、今回はアニメのテーマと歌詞の内容を合わせたかったんだ。「Shelter」の歌詞が、「次の世代に命を引き継ぐことで自分の存在意義を見つける」というテーマで、僕とマデオンも親から感じた愛を歌詞に入れたかったんだ。だから、アニメの中でもお父さんの茂が娘の凛に永遠の命の贈り物を渡すことで、凛と同じく茂も永遠に生き続けることができる。そういう風に歌詞と映像の相乗効果を出したかった。



――まずは映像に関して伺いたいのですが、今回A-1 Picturesとコラボレーションをしようと思った経緯をおしえて下さい。

ポーター A-1 Picturesさんは、僕が好きなアニメ作品をたくさん制作していた。また今回はいわゆる現代風なアニメスタイルのスタジオとコラボして、キャラクターデザインなどを現代風にしたかった。だから赤井(俊文)さんと河野(恵美)さんの名前を聞いた瞬間、とても興奮した。『アイドルマスター』などのスタイルは自分のビジョンと合っていたから安心だったね。

――以前にあなたとご飯を食べながら話した時は、クリエイターを探している最中で、その時はかなりエッジィな人材を求めていたと記憶しています。それがA-1のようなメインストリームの制作スタジオを選択したのはなぜなんでしょうか?

ポーター 確かにエッジィなものも好きだけど、今回は美しい、高いレベルのアニメを作ることをいちばんに優先したんだ。A-1のようなビッグ、かつ経験豊富な制作スタジオでこそ、最高にきれいでシネマティックな作品ができると確信したからね。あと、今回は背景のアートをとても重視していて、こういうきれいな背景を入れるために凛のストーリーの世界観を考えたぐらいだったから、最高の完成度の絵を期待していた。A-1は本当にいい選択だったね。

――実際、竹田さんの背景アートは本当に素晴らしかったですよね。

ポーター 彼の背景は本当に、本当に素晴らしい……。今パソコンの壁紙を全部彼の背景の絵をスクリーンショットして使っているぐらいさ(笑)。初めて彼のアートを見たときに、単純に自分がこういうプロジェクトに関わることができて幸せだと感じた。本当にうれしくて、感謝の気持ちでいっぱいだった。信じられなかったね。最高のクオリティーで、例え1フレームだけを観られても幸せなんだ。



――僕はアニメーションを見て、新海監督の背景美図と「Shelter」の背景に共通する部分があると感じました。

ポーター そうだね、新海監督からはとても影響されている。A-1と新海監督の話もたくさんしたよ。全然秘密でもなんでもなく、「Shelter」のアニメは新海監督の作品に似たような感じにしたかった。かなり難しいことだけど、できるだけ近い雰囲気にする努力をしてくれたよ。

――続いて音に関してです。「Shelter」マデオンとのコラボレーション曲になりますが、この曲をアニメーションにするのは最初から決めていたのですか?

ポーター うーん……そうだね。実は「Shelter」の歌詞を書きながらアニメの設定も同時に書いていたんだ。最初は一緒にやることが不安だった。マデオンの考えも気になっていたしね。マデオンもアニメ好きだけど、僕ほどハマってはいない。だから曲とアニメ、どちらかが先に決まっていたわけでもなく、歌詞とアニメがお互いに影響しあって……。両方同時進行で自然に完成したんだ。

――この曲の何がそのアニメーションを呼び寄せたのだと思いますか?

ポーター さっきもちょっと話したけど、曲中の「親の愛・家族の絆」というテーマはアニメに強い影響を与えた。曲の歌詞は、僕とマデオンと僕らの両親との関係を描いていて、いつかその愛を次の世代にも与えたいという話なので、そのままアニメの設定に反映したんだ。アニメを描き終わってから、また歌詞をさらにアニメと合うように少し調整しているんだ。当時のマデオンはそれを知らなかったけどね(笑)。



――あなた自身の楽曲でアニメとコラボレーションするという線もあったと思うのですが、そこはあえてやらなかった理由を教えてください。

ポーター それは、いくつかの理由があった。まず曲とアニメのテーマが一致していて、マデオンも脚本を読んで気に入ってもらえたので、安心して進められたよ。あとは、新しいシングルをリリースするタイミングだったから。実は自分の曲の「Sad Machine」とか「Divinity」でコラボをやることも考えたんだけど、「Shelter」ほど合わなかったんだ。結局「Shelter」の雰囲気と感情が映像といちばん合っていた気がする。最初曲調とストーリーは共に明るくて夢のようだったけど、曲の後半にコード進行が変化すると、凛のストーリーと被ってとても感情的になる。かなりフィットしたね。

――ストーリーの原作は3日間で書かれたそうですが、大変でしたか?

ポーター とても楽しかったよ!アニメと物語の世界に入り込むことができてうれしかった。部屋にずっと籠ってひたすら書いて、削除して……というループが続いて。その3日間が終わってもストーリーをずっと練っていたんだ。例えば、凛のフラッシュバックの表現は当初からはかなり変わっている。最初書いた流れだと本編のすべてがひとつのフラッシュバックだったんだけど、A-1さんと話した際に、フラッシュバックのシーンが若干わかりにくいと言われた。それで結局、凛がシミュレーション内で昔の思い出を見せられていて、視聴者と同じタイミングでフラッシュバックが起きて気づくことにしたんだ。本当に最後までいろいろ変わっていったけど、その最初の3日間は本当に楽しかった!(笑)。

――内容は非常にハートブレイキンなストーリーで、後半は特に涙なしでは見れない感じです。このアイデアはどのように思いついたのでしょうか?

ポーター 最初から決まっていたのは、主人公が新しい超能力か魔法で遊んでいる設定だった。第三者から見て人が新しいものを試す姿は、なんか無邪気で楽しい。凛の場合は、彼女がタブレットでいろんな風景や世界を作っているのを見せたかった。でもそれを書いたら、この力の存在する理由や説明が必要となる。それを悲しい真実にしたかったんだ。凛はシミュレーション内でずっとひとりでいるけど、ひとりになった背景もその後で考えた。台本や物語を書く経験は少なかったけど、書いている途中でこれは特別なストーリーだと感じたんだ。ビギナーズラックだったかもしれないね!



――歌詞についても、ここまでメッセージ性のあるものはあなたの作品の中では非常に珍しいですよね。

ポーター 歌詞を書くことは結構難航したよ。今までは抽象的な歌詞を書きがちだったけど、「Shelter」にはあまり合わなくて。お互い納得いくものができるまで歌詞を見直して、今回はもっと素直にストレートなものにしようと決めた。誰が見てもわかるようなテーマにしたかったんだ。誰でも親がいるよね?だからお互いが感じている本当の感情をテーマにしたらもっといい作品になりそうだと感じて。実際僕たちはいまだに親と住んでいるから、伝えたいことが山ほどあったんだ。

――本作品は父親目線の物語ですが、今の年齢だから描けた内容だと思いますか?それともこういう風にアニメとコラボすることで描けたのでしょうか?

ポーター 僕はまだ父親ではないからね(笑)。でもとても優しい父がいる。僕は家族に愛され、親が無条件にサポートしてくれていて、僕のためにどれだけ犠牲を払ったのかも見ていたし、自分の人生はすごく恵まれていると思うんだ。でもこの歌詞が親目線のアイデアになったのは、マデオンと人生の意味について語りあったことから始まった。ふたりとも作品や音楽を創作して、世界に発信するのが僕らの生きる意味だと思う。でもそれができなくなったとしたら……。例えば耳が急に聞こえなくなったり、誰も僕らの音楽を聴かなくなったりしたら、何をして生き続けるのか?それが他の人の生きる意味を考え始めたきっかけとなった。人は常に生死の場面と向き合わなければならないので、不老不死になるために、自分を後世に引き継がせることや、自分より長く生きられるレガシー(遺産)を作る、というアイデアがすごく立派だなと思った。だから茂はそういう、凛と永遠の関係性をもてるキャラクターにしたんだ。

――ちなみに制作にあたって他に意識したところはありますか?



ポーター 実は最初は20分ぐらいの短編映画を作る予定だった。でも制作を始めてから、高いレベルのアニメを保つためには、モンタージュ風にして物語を早めに展開する必要があることがわかったんだ。「Shelter」の物語、凛と茂のストーリーを短い時間で見ることができたのはよかった気がする。詳細がわからなくても、物事の理由や展開を理解できれば十分だと思うんだ。短い夢のような。だから今の長さで満足しているよ。

――時間感覚はかなりシビアに見ていたんですね。他にはありますか?

ポーター 萌えやセクシーな要素はまったく入れたくなかった。新海 誠監督のスタイルのように、安っぽさが一切なく、芸術的なものにしたかったんだ。ただ現代風の萌えスタイルのキャラクターデザインが好きなので、悲しいストーリーや美しい背景と、今どきのキャラクターの描き方とのギャップは欲しかった。



――作中では理想を構築する場としてVRが登場してます。あなたの中でVRとリアルの関係性についてどのように描こうとイメージしていたのでしょうか?

ポーター 人類の歴史を振り返ると、人間の生活レベルはテクノロジーの発展でとても向上したと思う。寿命が長くなったし、犯罪が減ったし、食べ物が良くなっている……とかね。僕たちが感じている「現実」が100%良くなっている。もちろん、悪いところも出たと思うけど、全体的に良くなっているから使い続けているんじゃないかな。だから僕はVRとかのテクノロジーの未来に対してとても楽観的で、VRが人の人生を良くする可能性は必ずあると思う。ちょっと変な話かもしれないけど、いつか本当の世界よりいいVRの世界を作れる可能性もある。それもちょっと怖いけど、シミュレーションの技術に希望を持っているんだ。「Shelter」のアニメ内で表現したのは、世界が滅んで人間が苦しんでいるけど、テクノロジーを通して希望を与えてくれるということ。悲しいストーリーの中で、VRは希望となっているんだ。



――同じくA-1 Picturesが製作している『ソードアート・オンライン』の中でもVRが使用されていますが、今回の作品に何か影響を与えていますか?

ポーター とてもとても影響されたよ!バーチャル世界が滅んでいくというテーマが自分にとってとても影響を受けたものなんだ。自分も昔やってきたMMORPGゲームが終わって、あんなに時間と感情をかけたバーチャル世界が一瞬で潰されたことが本当に悲しくなった時があってね。だから『SAO』のストーリーも自分にとても影響を受けたね。

――しかし……こうなると最後、凛はどうなっているのか、気になりますね(笑)。

ポーター まぁまぁ(笑)。いつかストーリーの続きを作りたいので、ネタばれはしたくない。「凛は生きている」とどこかで言ってしまったけど……他は全部秘密だよ!



――ちなみにこのコラボはあなたの今後の作品にどのぐらいの影響を与えていくと感じていますか?

ポーター 「Shelter」のアニメを公開した日は、本当にうれしかった!一日で100万再生数になっていたけど、それは僕にとって今までにないことだったんだ。他のMVはそこまで行くのにかなり時間がかかったからね。この反響を見て、やっぱり自分が本当に好きな作品を出したら、ファンや視聴者の皆さんにも伝わって、みんなが愛してくれると感じたんだ。実は「Shelter」を作る前に、自分の曲や作品に自信を失った時期もあったのだけど、このアニメの制作を通して段々それが変わっていって、自分がパッションを持って、夢中になって創作することが大事だと改めて気づかされたんだ。コラボレーションというのは、お互いの足りない部分を補填するためだったら本当に必要だと思うよ。例えば、僕は自分のロゴを描くのも精いっぱいだからね(苦笑)。今回もA-1のようなスタジオとコラボがないと成り立たなかったよ。

――ライブではすでに「Shelter」を披露していると思いますが、海外でお客さんの反応はどうですか?

ポーター 初めてみんなの前で披露したときはものすごくうれしかった。なぜなら、ステージに出て、曲の演奏をしたら、みんな歌詞を覚えてくれて、大声で歌ってくれたんだ!この曲のボーカルはマデオンだったけど、彼がマイクを観客に向けた瞬間にみんなが歌詞を叫んでいて、鳥肌が立ったよ!「Shelter」はアメリカではネットでもすごく評判が良くて、僕が今まで作った全部の曲より反響が大きくなっていると思う。なので、今回コラボができて本当によかったし、うれしかった。



※「シェルター」ライブの様子 (c)Jasmine Safaeian

――そういう意味では、決まり切ったポップミュージック・フォーマットに沿った曲ではありませんが、明らかにポップ・ミュージックの魔法が掛かっていますよね?

ポーター もちろん!特にマデオンはポップスを愛している。エレクトロニック・ミュージックよりポップスのほうが好きだと思う。いいポップスを作るのはとても難しいことだからね。彼は今回の制作でポップ・ミュージックを作るスキルを磨きたかったんだと思うんだ。僕もそう。多分全部の音楽ジャンルの中でいちばん難しいのが、いいポップスを作ることだと思う。なので今回お互い挑戦したかったのは、いいポップスでありながら、ファンも、自分たちも、納得できるような感情的な曲を作ること。一般的にはポップスは簡単だと思われがちだけど、本当は違うんだよね!だから今回マデオンのポップスに対する愛がとても作品に影響していて、僕も大好きだし、大満足だ!



――きっと製作中はポップであることとエッジィであることのバランスが幾度となく揺らいでいたんでしょうね?

ポーター ずっとそうだったよ!毎日細かいセクションを見直しして、何時間も何時間も話し合っていた。僕は曲を作るときに細かく分析しがちで、音楽のことを考えすぎちゃうタイプなのかもね。他のアーティストはすぐアイデアが浮かんだり、机の前に座ったらサクサク書いていくかもしれないけど、僕はたくさん考えて、たくさん話し合わないといけないタイプで、マデオンもそうだと思う。なのでふたりでずっと分析をして、分析のし過ぎで苦しんだこともあった。ポップスに寄りすぎたと思ったらちょっと変わったセクションを加えたり、とかね。小さなハイハットの音でも長い討論になっちゃうけど、最終的に互いに自慢できる作品になったと思う。

――お互いに忙しくなってますし、マデオンの作品が今後もっとポップスよりに向かっていくとしたら、あなたとの今回のコラボはギリギリのタイミングだったのかもしれませんね。

ポーター そうだと思う。今回のコラボは僕らの10周年の友情を祝うためでもあった。でも実は今回のコラボはいろんなスタートラインがあって、いろいろな困難があった。それでも今はこの作品が完成してすごくうれしいんだよ。



Interview By 佐藤 讓

Text By 編集部

Photography By 山本マオ

●リリース情報

日本独自企画/完全生産限定盤

『シェルター:コンプリート・エディション』

2017年2月15日発売

【日本限定企画 完全生産限定盤(CD+Blu-ray+グッズ(フラッグ))】



品番:SICP-5181〜3

価格:¥3,000(税込)

豪華ブックレット(歌詞対訳/ミュージック・ビデオ解説付)

<DISC 1(CD)>

01. シェルター *

02. シェルター (マット・ゾー・リミックス) *

03. サッド・マシーン ▲

04. ユアー・オン feat. カイアン ●

05. フリッカー ▲

06. ペイ・ノー・マインド feat. パッション・ピット ●

07. ナンセンス feat. マーク・フォスター ●

08. ディヴィニティー feat. エイミー・ミラン ▲

09. ホーム ●

10. グッバイ・トゥ・ア・ワールド ▲

11. フリッカー (マット・ゾー・リミックス) ▲

12. ペイ・ノー・マインド feat. パッション・ピット(YASUTAKA NAKATA‘ CAPSULE’ REMIX) ●

13. フレッシュ・スタティック・スノウ(ラスト・アイランド・リミックス) ▲

14. ユアー・オン (オリヴァー・リミックス) ●

15. シェルター (ピアノ・ヴァージョン) *

* =ポーター・ロビンソン&マデオン

▲ =ポーター・ロビンソン

● =マデオン

<DISC 2(Blu-ray)>

「シェルター・ジ・アニメーション」ミュージック・ビデオ収録

<グッズ>

「シェルター・ジ・アニメーション」キー・ビジュアル・フラッグ



●配信情報

配信限定シングル

「シェルター」

単曲配信中

【iTunes】

※iTunes Storeは、Apple Inc.の商標です

●ライブ情報

ポーター・ロビンソン&マデオン来日公演

Porter Robinson&Madeon「Shelter」Live Tour in Tokyo

2017年2月21日(火) 東京 Zepp DiverCity

OPEN 18:00/START 19:00

【TICKET】

・1Fスタンディング 7,800円(税込)

・2F指定席 8,300円(税込) ※完売

共に別途1ドリンク※未就学児入場不可

一般プレイガイド発売日:1月21日(土)

<問>

クリエイティブマン 03-3499-6669

企画・制作・招聘:クリエイティブマン

協力:ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル/ソニー・ミュージックアーティスツ/ソニー・ミュージックパブリッシング

詳細はこちら

<プロフィール>



ポーター・ロビンソンとマデオンによる新プロジェクト。

ポーター・ロビンソンは、2010年に「セイ・マイ・ネーム」という楽曲をきっかけに、スクリレックス主宰のレーベル<OWSLA>からEPをリリース、そしてその後ザ・ケミカル・ブラザーズなどを輩出し、Perfumeの全米デビューレーベルでもある<アストラルワークス>と契約。2013年にリリースしたフル・アルバム『ワールズ』は全米チャート初登場トップ20位入りを果たす。一方でマデオンは、2011年にYouTubeで公開した39曲のポップ・ソングのマッシュアップ動画「ポップカルチャー」で一気に注目を浴び、その後レディー・ガガやコールドプレイなどの楽曲をプロデュース。2013年に発表したデビュー・アルバム『アドヴェンチャー』は全米エレクトロニック/ダンス・アルバム・チャートで1位を獲得。

元々インターネットを通じて知り合った二人は、常にお互いの楽曲を送り合い、良きライバルとして、そして盟友として、正直な意見を出し合う関係に。そんな二人が今回、フランス/ナントにあるマデオンのスタジオで完成させた、初のコラボレーション楽曲「シェルター」を発表。また、ポーターが自ら原案・原作を手掛け、A-1 Picturesが制作を手掛けた、全編アニメーションのミュージック・ビデオも公開。

2016年9月〜12月には、北米で<シェルター・ライヴ・ツアー>というジョイント・ツアーを敢行。2017年2月には同ライヴが日本にも上陸し、来日を記念した豪華パッケージ『シェルター:コンプリート・エディション』も発売。

関連リンク



ソニー・ミュージック 公式サイト「シェルター」特設サイト