【法律の意外な事実】家出と間違えられて「捜索願」が出されたらどうなるの?
ひとり暮らしをしているひとにありがちな「プチ行方不明」。気の向くまま旅に出たつもりが「家出」と間違えられて、家族や友人が必死に探していた! なんて笑い話はいつの時代にもあるものです。
もし家出と間違えられて、家族が「捜索願」を届け出たらどうすれば良いのでしょうか? 健康なひとが2〜3日家を空けたぐらいなら「見かけたら連絡します」程度で話はおさまりますが、部屋が荒らされドアも施錠していない、遺書っぽい置き手紙を残したりすると、事件に巻きこまれた可能性がある「特異行方不明者」と扱われ、警察が全力で捜索する対象になってしまいます。気ままな旅に出るなら家族や知人に一声かけてから、部屋はきちんと片付けておくのがよさそうです。
■危険があると「特異行方不明者」に
行き先も告げず、家にも帰らない状態を「家出」と呼びますがが、これは昔の用語。2010年に定められた「行方不明者発見活動に関する規則」によって、
・家出人 → 行方不明者
・捜索願 → 行方不明者届
と改められたので、もう学校や家には帰りたくないひとが、知人宅を転々としながら過ごす「プチ家出」は、「プチ行方不明」と呼びましょう。この規則の2条(定義)によって、
・生活の本拠を離れている
・行方がわからない
ひとが「行方不明者」と扱われ、家族や後見人がヘンだ!と思ったら警察に「行方不明者届」を出すことができます。たとえ旅行であっても、家族がそうと知らなければ届け出てしまうこともあるし、バイト先の店長や社長など「雇い主」でもOKなので、無断欠勤+電話もバックレは厳禁。本人が知らないあいだに「おおごと」になっている可能性もあるのです。
なかでも注意すべきが「特異行方不明者」で、事件に巻き込まれた、命の危険があると判断されると、全力で捜索する対象になります。おもな条件は、
・殺人や誘拐
・そのほかの犯罪
・水難、交通事故
の「可能性」があると、「特異」と判断されます。
これ以外にも、
・遺言がある、普段から自殺をほのめかしていた
・自分や他人を傷つける可能性
・子どもや病人、高齢者など、自分でなんとかできない
ひとも対象。たとえひとり暮らしでも、部屋が異常に散らかっていたり、冗談のつもりでも「探さないでください」なんて手紙を置いておくと、「特異行方不明者」になってしまうのでご注意を。
■見かけたら連絡します、が……
もし緊急性がなく「特異」ではないと判断されると、話は180度変わります。風来坊よろしく普段からプラプラしているひとに連絡が取りたいからと届け出ても、積極的には探してもらえないのです。
「特異」かどうかは、さきの条件をもとに、届け出を受けた警察署長が判断します。そのため過去に何度も「プチ行方不明」を繰り返し、どう考えても自分の意志で出かけているひとは「そのうち帰って来るでしょう」的に判断されます。
この場合、12条(発見活動)に定められているように、巡回や交通の取り締まり、ほかの事件の捜査で見つかったなど、発見したら連絡します的な話になります。事件性がなく、単に連絡がつかない程度のひとであれば、警察に探してもらうのはそもそも筋違いなので、自力で探すか、探偵に依頼するべきでしょう。
2014年中の届け出数は約8万2千件、およそ4割は1週間以内に発見されたとのデータがあり、警察の捜索力の優秀さを物語っています。時間を自由に使えるのは学生のならではの特権ですが、気ままな旅で「行方不明者届」にならないよう、家族には事前に伝えておきましょう。
■まとめ
・2010年からは「家出」ではなく「行方不明」と呼ぶ
・家族はもちろん、雇い主も「行方不明者届」を出せる
・犯罪などで命が危険と判断されると「特異行方不明者」として捜索される
・バイトの無断欠勤で「行方不明者」にならないよう、ちゃんと連絡しよう
(関口 寿/ガリレオワークス)
