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「ハーフ芸人」としてお茶の間を沸かす、お笑いコンビ・マテンロウのアントニーが初の自伝を出版した。「外国語がしゃべれない」「両親が日本人」……この男の経歴を見ればみるほど混乱は増すばかり。いったい彼は何者なのか? それを読み解く一冊がこの『アイアムジャパニーズ〜これがハーフ芸人の生きる道〜』だ。アントニーは自身の人生を「ゲームでいうところの裏コース」と語る。外国人の見た目から度重なる“差別”を受けたというアントニー。それどころか外国人のメリットも備えておらず……。もしかしたらこの本を読めば「自分の境遇なんか大したことねえや」と思えるかもしれない!?



――この本はどういう内容なのでしょうか?

「僕の幼少期からの自伝的エッセイです。ホントに恥ずかしいんですけど。まだ25歳なのに自伝とか……」

――異例なんでしょうか?

「知らない人が25歳で自伝出して、見かけたら『え?』って僕だって思いますもん」

――たしかに……。

「でも、新聞の投稿欄である文を見かけて。それは、ハーフの子が”アントニーさんがテレビに出ているのを見て、勇気わきました!”って内容で。そういうのに乗せられて書いちゃいました」

――この本を読むと、いい悪いどっちに転ぶか別として、「差別」がひとつのテーマになってるじゃないですか。そもそもアントニーさんのスタートラインがすごすぎて。普通の「子どものころ、いじめられてました」とはくらべものにならない。

「スタートラインどころか、ルートが違うんで。おい、こんなヤツ、ホントにいるのかよ、ぐらいの気持ちで見て欲しいですね」

――どんな人に見て欲しいですか?

「まずはハーフの人に見て欲しいですね。実はいま『ハーフ会』っていうのをやってて……」

――ハーフ会??

「メンバーはベッキーさんとか、ローラさんとか、ウエンツ瑛士さんとか、JOYくんとか、いっぱいいて、『いろいろ言われてきたよね』とか語ったりするんですけど。そんな風に、ハーフならではの共通の悩みってあるんです。だからハーフの人たちに見て欲しいという思いはあります」

――あるある、わかるわ〜って。

「ハーフならではの差別で、本気で悩んでる人もいると思うんです。でもそれをポジティブにとらえるきっかけになると嬉しいですね」



――ハーフ会ってどんな話をするんですか?

「いや、大半はバカ話なんですけど(笑)。『最近、バラエティ界にハーフが多い!』とか。昔はバラエティ番組はハーフ枠は1人だったのに、いまでは2〜3人出れる!頑張って切り開いていこう!とか」

――(笑)。一説によるとハーフの芸能人は日本人のコンプレックスを刺激するそうです。

「僕はそこに入れてないんですよね。ハーフのイメージはルックスが優れてて、バイリンガル、お金持ちそう、とかですが、全部自分には当てはまっていない」

――「ニュータイプのハーフ」とこの本にも書かれていますね。

「普通の日本人の進むルートがあって、ハーフの人が進むルートがあって。ゲームに例えると、この2つのルートをクリアしたらようやく出てくる裏のコースですよね」

――(笑)。

「全クリアした後に、『こんなコースあったんや〜』って出てくる特殊ルートなんですよ。僕、いま両親がどっちも日本人なんで。それこそ夏になったら父親の母国に帰る、とか家庭内では外国語を使う、とか、ハーフの人にありそうなエピソードがないんです」

――外国人だった父親が3歳でなくなり、5歳のころ日本人のお母さんが、日本人の方と再婚したんですよね。その時の周りの目ってどんな感じでした?

「ホームステイの子どもだと思われてたみたいです。外食に出かけたら店員が『なんなんだ、あの集団は?』みたいな」

――いろいろ複雑ですもんね。

「昔イヤだったのが、人よりも多く自己紹介しなきゃいけないことでしたね。小学生のときは6年間同じクラスだったのでよかったんですが、中学、高校に進むと新しく会う人が増えてくるでしょう?」

――部活とかバイトとか。

「その度に、『いや日本とアメリカとのハーフなんだけど、両親は日本人で』『アメリカに帰ったりするの?』『いや日本人だから帰らないよ』『生魚とか食べれる?』『実家が寿司屋だから、なんなら君よりも食べてるよ』……。初めて会う人にいちいち説明しなきゃいけないのが、面倒でしょうがなかったですね」

――たしかに。

「行雄ちゃん(※)が言ってました。説明するのはしょうがないけど、キャバクラだけは納得いかないって」

※ハーフ芸人。お笑いコンビ・デニスのメンバー植野行雄。アントニー同様、外国語はまったくしゃべれない。

――というと?

「席について女の子がやってくるでしょう、で、自分が何者なのか、一から説明してだいたい15分はかかるんですね。説明が終了したら女の子の移動時間になる。で、またやってきた女の子に一から説明して……」

――ろくに話ができないまま、時間と料金が加算されていく(笑)。

「だから行雄ちゃんは二度とキャバクラには行かないと決めたそうです」

――ハーフだからって期待されることもありますよね。

「僕の場合、合コンに呼ばれた時もハードルが上がるわけですよ。男連中は『今日、ハーフを1人呼んでるから!』って女の子たちに言うんです。ヨーロッパ系の美形を想像して女の子たちのテンションも上がるんです」

――どんな反応なんですか?

「『いや、ハーフじゃないじゃん。外人じゃん』って。反論すると『いや、日本の要素どこにあるの』って。女の子たち、手荷物を膝の上から離さなかったですからね」

――盗られると思われた(笑)。逆にこのルックスでよかったな、と最近感じたことは?

「ビックマウスでも許されることですね。この外見だと『何をコイツ、なまいきな』ってならないですよね。『まあ、外国人だからあれくらい言っちゃうよね』って具合に。先輩の芸人さんたちからも、ヘンに怒られなかったりして」



――最近、ルックスのせいで起きた珍事件はありますか?

「地方の営業に行くため羽田空港にいたんですよ。なんか次の日がプロ野球のキャンプ・インだったらしいんです。プロ野球選手もチラホラいて。見てたらファンの人たちが選手を追っかけてて」

――いやな予感がしますね。

「何人かが、『あ、アントニーじゃん』って気づいたらしく、まあ、色紙もあまってるし、ついでにサインもらっとくかって雰囲気で僕のところに来たんですね。そしたらその後ろにズラーッと人が並び始めたんですよ」

――(笑)。

「並んだ3人目くらいから、僕のこと新外国人助っ人だと思ったらしくて。僕がアントニーってサインして日本語ペラペラに話してたら、『うわ〜間違えた……』って感じになって、その後ろの70人くらいが蜘蛛の子散らして……」

――まさかキャンプ・インの前日に(笑)。それでは最後にこの本の見どころを!

「いろいろなことを書いてるんですよ。でもトリッキー過ぎて『ホントかよ、これ』って思う人もいると思うんです。でも、最後にその出来事の写真が幼少から時系列で載ってるので『あ、コイツなんもウソついてねえや』となるはずです」



――この写真、インパクトありすぎですよ……。日本の風景のなかに当たり前のように外国人が混じっている(笑)

「文章はこの写真までの前フリですね。1章から4章まで続いて、最後に写真のオチがくる。最後までじっくり読んでいただければと思います」