本は電子書籍が出る前から息してない(本しゃぶり)
今でこそ本といえば紙であるが、本は紙より先に生まれている。紙のほうが新しいものなのだ(ここでも中国とヨーロッパでは大きな差がある。中国で紙が生まれ、最古のものは紀元前150年頃の放馬灘紙。そして105年に蔡倫が紙を改良し、その使い勝手の良さから紙は普及した。一方、西方に紙が伝わったのはそれから600年以上も後のこと。751年に唐とアッバース朝との間で起きたタラス河畔の戦いによるものと言われている。そしてさらに時間をかけてヨーロッパへと伝わる。ヨーロッパ最古の紙は1109年の「ロジェロ2世の証書」。ちなみに日本は5世紀頃には紙が伝わっており、最古の紙は701年の「戸籍」。こうやって調べると中国の技術は進んでいたと思い知らされる。)。では何の素材が使われていたかという話になるが、ヨーロッパでは羊皮紙が主流だ(馴染みが深いので“羊皮紙”と書いているが、羊とは限らない。ヨーロッパの写本の多くは仔牛皮が最も使われている。)。これが使われていた頃の本は重厚感があり、耐久性も高かった。
寿命についても羊皮紙は優れている。例えばあの有名な「死海文書」は羊皮紙に書かれているが、およそ2000年前のもの。それなのに今でもちゃんと文字を判別することが出来る(“読むことが出来る”と書こうと思ったが、俺に古代ヘブライ語なんて読めるわけがなかった。)。興味のある人はこれで見るといい。
『Digital Dead Sea Scrolls』
http://dss.collections.imj.org.il/
それに対して紙の寿命は短い。酸性紙なら100年、中性紙でも400年ほどだ(ちなみに和紙は1000年以上。繊維が長いため高い強度を持ち、水にも強い。)。本というものは記録や知識を残すためにある。それなのに寿命の短い物質に替えるというのは愚かな話だ。実際1970年代からアメリカやヨーロッパでは図書館にある古書(これは1850年代以降に作られた本に限られている。この頃から紙の原料にパルプを用いた酸性紙が使われているためだ。)が次々と崩壊し始めた。日本でも1980年代に問題として取り上げられた。紙の寿命という問題については昔の人間のほうがよくわかっている。1145年にシチリアの王ロジェロ2世は紙に書かれていた文書について羊皮紙への転写を命じた。一国の王たるもの未来を見据えていなくては。
ここまで羊皮紙バンザイみたいに書いているが、俺から言わせてもらえばまだまだ甘い。やはりここはタブレットにしないと。もちろんiPadとかのほうではなく、粘土板のことだ。あれの耐久性は素晴らしい。何と言っても火にも強い。アレクサンドリア図書館を始め、今まで火災で多くの図書館が燃え、それとともに多くの本が消失してしまった。粘土板で作っておけばよかったものを。
粘土板は単純な寿命もやたらと長い。紀元前7世紀に建てられたアッシュールバニパル王の図書館に収められていた本は粘土板であるが、そのほとんどが今でも残されている。あのギルガメッシュ叙事詩もここにあったもの。粘土板で作られていたおかげで俺も記事を書けたわけだ。
