相次ぐファッションEC大型提携 クロスオーバーが鍵

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 ファッションECが新時代を迎えようとしている。2010年11月、ポータルサイト大手ヤフーと「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営するスタートトゥデイ、そして通販サイト日本最大手の楽天と丸井グループ、2つの大型提携が相次いで発表された。いずれもファッションEC分野の進化・拡大を狙って業務提携に踏み切り、様々な垣根を超える新しいクロスオーバー戦略を打ち出している。




ヤフー代表取締役 井上雅博、スタートトゥデイ代表取締役 前澤友作

 「Eコマースの開始当初、ファッションは"葉巻の次に向いていない商材"と言われていた」と漏らしたのはYahoo!JAPANを運営するヤフー代表取締役 井上正博氏。しかし、近年のアパレル不況下においても、ファッションEC市場規模は4,000億円代に拡大しており、いまや成長分野のひとつだ。かつて、購入に試着を要するアパレル商品はECに向かない商材とされていたのだが、ネットに慣れ親しんだ現代人にとって、オンラインで服を買う抵抗感が薄らいできている。ファッションブランドのEC参入が相次いでいる中で、リアル店舗より売れているオンラインョップもある。

 11月24日、都内で発表されたヤフーとスタートトゥデイによる業務提携では、第一弾としてアパレル商材に関する情報の統一化を開始。製品情報を集めた最大級のファッションデータべース「FDB」を構築し、これまで販売経路によってばらつきのあった色やサイズ、素材などの表記のデータベース化に取り組んだ。消費者が迷わず購入出来るよう、例えば"ジーパン"と"デニム"、"キャメル"と"ベージュ"などの表記の相違を統一する。現在登録されているのは「ZOZOTOWN」を通じて販売している約10万アイテムで、主に「ZOZOTOWN」と「Yahoo!ショッピング」双方で活用を開始した。将来的に、国内で流通する全てのブランドアイテムを対象にデータベース化を目指し、利用者のスムーズな購入を促す。


ZOZOTOWN トップページ

 これと同時に行われたスタートトゥデイによる「ZOZORESORT(ゾゾリゾート)」の全面リニューアルでは、秀逸なCGのショップデザインが特徴だった「街」のコンセプトを「人」に一新。代表取締役 前澤友作氏が「これからの時代は口コミが重要」と断言する通り、「ZOZOTOWN」トップページ中央にブランド情報やユーザーによる生の声をリアルタイムで表示した。「ユーザーの意見や思いが購買行動に影響を与える大きなきっかけになる」と前澤氏。mixi、Twitter、FacebookなどSNSと連携し、新たにECサイト「ZOZOOUTLET(ゾゾアウトレット)」と情報ページ「ZOZOPRESS(ゾゾプレス)」を始動するなど、よりオープンな「次世代型ECサイト」へステップアップを図っている。


 翌25日、インターネット通販サイト日本最大手の楽天と丸井グループは、ファッション分野を中心としたEコマース事業と、電子マネーEdyとエポスカードの連携といった包括的な業務提携を発表した。キーワードは「ネットとリアルの融合」。

楽天 三木谷浩史 代表と 丸井 青井浩 代表

 第一弾として、2010年12月中旬を目処にオンラインショッピングモール「楽天市場」に丸井のオフィシャルショップを出店。丸井の店舗や「マルイウェブチャネル」で販売しているプライベートブランド(PB)を中心に販売を開始する。また、「楽天市場」に出店している人気のアパレルショップが丸井の店舗内に出店するサポートなども行われる。

 丸井では、ネットで販売している商品を店舗で試着・購入するという「ウェブチャネルパーク」が好評。今後、このサービスを「楽天市場」に出店しているアパレルブランドへ総合解放するといったことも視野に入れており、オンラインショップとリアル店舗の垣根を超えた新しいビジネスモデルで双方の集客力を高め、ファッション業界全体の活性化を図る。


 通販大国アメリカでは11月26日、年末商戦の幕開けとされる"ブラック・フライデー"を迎えた。これに先駆けて米Googleがファッション・ショッピングサイト「Boutiques.com(ブティックス・ドットコム)」を立ち上げるなど、海外のEC市場の拡大も気になる所だ。楽天は27カ国・地域に進出し流通総額20兆円規模の将来目標を明らかにしており、スタートトゥデイもまた海外進出に大きな可能性を抱いている。ファッションECの進化とともに、今後は国際化の流れからも目が離せない。