――話を戻しますが、ドバイはハブとしての成長も期待しているらしいですね。

内藤:ドバイのことを知るにはシンガポールの歴史を知ると理解しやすいかもしれませんね。シンガポールって200年前は森だったんですよ。政治も経済もその土地に合った適切な対応を取っていれば国は発展します。シンガポールもそうですがドバイも地理的な優位性があります。ドバイはリゾート地のイメージが強く観光業に力を入れていますが、昔は真珠産業や漁業を営んでいて海上貿易の中心地域でした。ヨーロッパ、ロシア、CIS諸国、アフリカ東海岸、南アジアからアクセスしやすい場所にあって、世界の物流拠点になるにはうってつけです。

――他の新興国とドバイは何が違うのでしょうか。

内藤:ドバイは資源も人口も少ないです。例えば、BRICs(ブリックス)やVISTA(ヴィスタ)は資源が豊富で人口も多いのですが、ドバイはこのような国とは対照的です。

あと、歴史を調べる中でドバイの前首長の先見性や実行力に興味を持ちました。例えば、フリー・ゾーンという自由貿易地域を中東で初めて作ったのですが、周りからは失敗するのではと言われていたみたいです。前例がないので仕方ないのですが、実際は成功して外国から様々な企業を呼び込むことができたんです。その後、この成功に刺激されたアラブ諸国が次々とフリー・ゾーンを設立するようになりました。

――大規模なプロジェクトが目立ちますが、他にも色んなことをしているのですね。

内藤:そうですね。ドバイは原油がそれほど採れないので、30年ほど前から将来を見越して、石油に頼らない経済を作ろうとしていました。水道や電力、通信などインフラを整備したり、外国企業を誘致したり、その後に世界的な観光都市として注目されるようになりました。今は国際金融都市に成長するための準備を進めています。

――つい最近では、ドバイショックで騒がれていましたが、正直な所、大丈夫なのでしょうか?

内藤:ドバイの不動産価格が下がって、経済全体に影響を与えましたが、もともと不動産はずいぶん値上がりしていたので、ドバイショックが起きる1年ほど前から不動産価格が下がるのではないかと言われていました。今までドバイが積み重ねてきたものがなくなったわけではありませんので、これからの発展も期待できると思います。

――株は難しいイメージがあって、ハードルが高い人も多いと思います。内藤さんは、すぐに理解ができたのですか?

内藤:高校生の時ですが、WBSの最後のコーナーで日本市場やアメリカ市場の解説がされているのですが、最初は全くわかりませんでした(笑)。でも、半年間ずっと見続けていると内容が分かるようになったのです。それからは、証券会社の概況や日経新聞の重要指標や決算の記事を毎日ノートに書き写していました。

今でも世界の株式指標や為替レート、コモディティの価格などを毎日ノートに書いています。ノートを取ってきたりして言えることですが、今は1株から株を買うこともできるので、株価が1万円以下の中から自分の好きな企業の株を1株だけ買ってみると面白いと思います。おそらく買った時から不安が出てきますが、この不安は市場がこの先どうなるかという不安ではなく、自分が何も知らないことに対して起こる不安であることが多く、株価が1円下がるだけでも株価が気になって夜眠れなくなりますよ(笑)。その不安を解消するために自分で情報を取り入れようとするんです。得た情報が正しいか間違っているかはその時は分からなくても、1週間、1ヶ月経つうちに情報が修正されていきます。こうやって不安を取り除いていくうちに自分の投資スタンスが確立されていくと思います。

――1株だけ買うって面白いですね。100万円くらい用意しないと株取引はできないと思っていました。勉強するコツはあるのですか?

内藤:質より量です。知らない分野を初めて学ぶなら、大量の情報を短期間で取り入れるようにしています。一気に情報を頭に流し込むような感覚です。勉強していて「どうしてこんなに頑張っているのに身に付かないんだろう」と感じることがあると思いますが、成長って二次関数ではないんですよね。

ある時点に到達すると急に成長するので、それまで情報を入れ続けます。受験勉強で例えたほうが分かりやすいかもしれません。ものすごく勉強していて先生にも質問しているのに成績が上がらない生徒と、プラプラ遊んでいるのに知らないうちに成績が上がっている生徒みたいな感じです。情報のインプット、アウトプットを効率的に行うことがどれだけ重要か株取引を通して改めて実感しました。

――自分の勉強法がパターン化されていて、何を始めるにもすぐに取りかかる事ができるのですね。

内藤:新しいことを始める時はもちろん不安はありますが、自分の勉強法の型ができていれば後はスタートするだけです。重要なのはどの時期に何が求められているかを理解することで、それを見極めるために投資だったり情報を取り入れたりしています。

――どうもありがとうございました!



内藤美穂さんプロフィール
1984年生まれ。株式会社ガジェットウェア代表取締役兼CEO。大学在学中にガジェットウェアを設立。日経WOMANウーマン・オブ・ザ・イヤー2009キャリアクリエイト部門受賞。外資系投資銀行やベンチャーキャピタルとのパイプを持つ。

学生時代より投資家としてTV、新聞、雑誌など各メディアに取り上げられる。18歳の頃にeワラント取引を始めたのをきっかけに、日本株、中国株、FXなどを取引する。
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