【セルジオ越後】なぜ後半のサッカーが前半からできないの? オランダ相手によく追いついたけど、日本は“勝った気分”…それではコスタリカ戦を繰り返すよ
よく追いつけたとは思うよ。
相手が5バックに切り替えて守りに入ったあたりで、ビハインドの日本はフォワードを増やして攻撃的になった。それ自体は悪くない。ブラジル戦と似ていたよね。追い込まれてから人数を増やして、なんとかした。
でも考えてほしい。前半から、あの後半のサッカーができないのはなぜか、ということを。
でも、カタール・ワールドカップから4年経って、戦術が変わっていないんだよね。
試合が終わったあとの選手の顔を見ていたかい? 日本の選手たちは勝った気分で、オランダの選手たちは負けた気分だった。同じドローなのに、この差が縮まらないことが現実を表している。
向こうにしてみれば、ギリギリのところで同点に追いつかれて、満足できない。日本はそれで満足できる。そこに、まだまだ明らかな差があるということだ。
今日の引き分けで満足してはいけない、という時代が日本に来たとき、初めて優勝する可能性が生まれてくると私は思う。
鎌田は良かった。彩艶も、中村も悪くなかった。でも、佐野も堂安も前田も、みんな守備的な役割だった。後ろはほとんど出てこない。攻撃のリズムを作れたのは鎌田がいたからこそだ。
久保も怪我したし、チームはかなり消耗している。これから予選突破して、トーナメントに入れば、毎試合がジャイアントキリングを迫られるような相手ばかりだ。そんな簡単じゃないよ。
次の相手チュニジアは日本と同レベルか、少し下だ。今度は日本がジャイアントキリングされる側になる。向こうが引いてカウンターを狙ってくる展開になるはず。良い守りから良い攻撃へ。それが次の試合のテーマになる。
ワールドカップが48チーム制になった今、グループステージの突破は当たり前にしておかなければいけない。問題はその先だよ。トーナメントで2回勝たなければベスト8にも届かない。厳しさのレベルがまるで違う。
もう一度言うけど、今日の結果に浮かれてはいけないよ。負けじゃなかったのは良かった。でも、勝った気分でいたら、前回大会で敗れたコスタリカ戦のように足もとをすくわれる。そういう歴史を、日本はもう経験しているはずだ。
引き分けで喜ぶ時代を早く卒業してほしい。その時こそ、日本代表は本当の意味で強くなる。私はそう信じているよ。
【著者プロフィール】
セルジオ越後(せるじお・えちご)/1945年7月28日生まれ、80歳。ブラジル・サンパウロ出身。日系ブラジル人。ブラジルではコリンチャンスやパウリスタなどでプレー。1972年に来日し、日本では藤和不動産サッカー部(現・湘南ベルマーレ)で活躍した。引退後は「さわやかサッカー教室」で全国を回り、サッカーの普及に努める。現在は解説者として、歯に衣着せぬ物言いで日本サッカーを鋭く斬る。
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