【漫画】本編を読む

 1年前のある日、お腹を下すようになったポポ美。それ以来、快便でも出し切った後でも、幾度となく腹痛に襲われるようになってしまう。さらには電車に乗っている時、強い腹痛からホームに倒れるなど、日常生活にも支障が出るように。困り果てたポポ美はありとあらゆる手段でお腹の痛みに立ち向かおうと決意する。しかし食生活に気を付けても効果はなし、大腸検査を受けるものの異常なし……。そんな時、後輩からの勧めで心療内科を受診する。そこでついた診断名は「過敏性腸症候群(IBS)」(腸に炎症やポリープのような異常がなくとも、刺激に対して過敏に反応する状態になり便通異常を起こす症状)だった。

 自身も過敏性腸症候群と診断された経験を持つ著者・鳥頭ゆばさんの経験をもとに描かれた『おなかよわい子ちゃん 万年不調な私の胃腸が教えてくれたこと』(KADOKAWA)。ご自身の体験をどのように作品に落とし込んでいったのか、過敏性腸症候群の辛さについて鳥頭さんにお話を伺った。

※個人の体験、お話をもとにインタビューを行っています。症状など、詳細は医療機関等にご確認ください。

――7話に、トイレで痛みと格闘していたら床に倒れてしまったエピソードがあります。こちらは実話ですか?

鳥頭ゆばさん(以下、鳥頭):実話です。むしろちょっとマイルドに、短くしているくらいで。実際はこの時のことだけで20ページは描けそうなくらい長い戦いでした(笑)。

――肛門前に詰まってしまった固い便を黒い狼となぞらえて、黒い狼が鎮座して動かないという表現が秀逸でした。鳥頭さんの絵柄はとても可愛らしいですが、さまざまな表現を駆使されて辛さがとても伝わってきます。

鳥頭:ありがとうございます。便が詰まり続けて水分のない固い便になって溜まってしまうと、そのあとにやわらかい便がきたときに、腸は便を出すために激しい蠕動(ぜんどう)を起こすけど、固い便が栓のようになってしまって出ない。それが地獄のような痛みなんです。その痛みのせいなのか血管性迷走神経反射(=脳貧血)を起こしてしまって、座っていられなくなって床に倒れてしまうんですよね。ひどい時は手足が痺れてきて、過呼吸になってしまったこともあります。

――初めて経験されたときはかなり驚かれたのではないでしょうか。

鳥頭:「やばい、どうしよう」と思いました。腹痛そのものよりも迷走神経反射の方が気分も悪くなるし、慌てましたね。それまで迷走神経反射を起こしたことがなかったので「死んじゃうかも」と青ざめてしまって。

――何度か経験されて、対処法は生まれたのでしょうか?

鳥頭:迷走神経反射は脳へ血液が回らなくなってしまうことで起きるので、とにかく横になるなどで脳に血を送ってあげるのが有効だと病院で教わりました。例えばトイレの洋式に座っている時だったら、足の間に頭を入れるくらいに下げるなどは、自然に自分でやっていました。腹痛のときの本能かもしれないです(笑)。あとは手を開いたり閉じたりするのも効果があるそうです。「お腹痛い、気持ち悪い」というところからできるだけ意識を遠ざけるとよいそうで、私独自にあみだした方法ですが、トイレに氷枕を持って行って首にあてるなどしていました。

取材・文=原智香