【屋敷 康蔵】「子連れでアルファードに乗ってくる夫婦」に住宅営業マンが抱く”いやな予感”…「住宅ローン破綻予備軍」の共通点

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子連れでアルファードに乗って住宅展示場に現れる夫婦、借金を親に肩代わりしてもらってまで住宅ローンを組もうとする客、転職3カ月で35年ローンにサインしようとする客……。元住宅営業マンで、著書に『住宅業界ぶっちゃけ話』がある屋敷康蔵氏が、住宅ローンを組むべきではない「破綻予備軍」の特徴を明かす。

お客さまの未来より「今月の数字」

住宅メーカーというのは基本、来場されて住宅ローンの審査が通るお客さまなら、どんなお客さまでも契約を取るというスタンスで営業をしている。

しかし、残念なことに、たとえ住宅ローンの審査が通ったとしても、ローンを「組まないほうがいい、組んじゃいけない」お客さまがいるのも現実。

本来なら、そんなお客さまたちに対して「断る勇気」を持つことで、結果的にその会社のブランド力も上がるというものなのだろうが、住宅メーカーにも、そこに所属する営業マンにも、そんな余裕はない。

仮に善良な住宅営業マンが、お客さまのためを思って「お断り」したとするなら、いかなる理由があっても会社からは非難され、その営業マンの評価は一気に奈落の底に突き落とされることとなるだろう。

住宅業界はお客さまの未来より今月の数字であり、お断りした営業マンに対し、「いやぁ、お前はお客さま思いのすばらしい営業マンだ」などとは決していわない。

それより何より、そんなお客さま思いの住宅営業マンでは、お金を稼ぐことができない。おまけにノルマ未達で雇い止め確定である。

「お断り」したほうがいいお客さまは?

ところで「お断り」したほうがいいお客さまとは、どのような人たちなのだろうか?

まず、マイホーム計画初期の段階でキャッシングやカードローンで生活費を補っている人。住宅ローン事前審査のときに「他社ローン借入件数及び金額」を申告することになっているが、すでに多重債務に陥っている人を見かけることがある。

当然、審査時に借金があれば、本来借入できる総額から、その分を差し引かれて融資可能額が算出されることとなるので、大幅減額になることが多いのだ。

車のローンも同じことがいえる。とくに地方の場合、夫婦それぞれが車を所有していることが多く、二人そろって車のローンを支払っていることも多い。

もちろん、これも「借金」なので、住宅ローンの融資可能額から差し引かれることとなる。だから若いご夫婦が子連れでアルファードやベルファイアに乗って住宅展示場にドヤ顔で登場されると「いやな予感」しかしない。こういう高級車は決まってマイカーローン返済中だからだ。

もし既存借入の減額により計画の必要金額に満たない場合は、「完済条件付き」といって、既存の借金を完済すれば融資可能という条件を銀行から提示されることとなる。しかし、生活費で日常的に借金をしている人が、そう簡単に完済できるはずもない。

「親族代払い」をする人には要注意

ただ、ここであきらめる人なら、まだ潔いかもしれない。

問題なのは、あきらめ切れず、この借金をなんとか無理やり完済してしまう人たち。もちろん、その多くは自力で完済するのではなく、親や親族に泣きついてなんとかしてもらっちゃう人たちだ。これがじつは意外に多い。

親も子どもが「家を建てるのに借金をなくさないと住宅ローンが組めない。住宅ローンは夫婦で力を合わせて完済するから、なんとか助けてほしい」などといわれれば、親は子どもたちが家を建てるための「前向きなお金」と捉え、借金の代払いを引き受けてしまうことも多いのだ。

さらに、そこにかわいい孫までいたら、なおさらのことであろう。

私が消費者金融時代から見てきた経験からも、自分が借りたお金の「親族代払い」をしてもらう人というのは繰り返す傾向にある。つまり住宅ローンを組むために既存の借金を代払いしてもらったところで、その後の住宅ローンの返済の雲行きは怪しいままなのである。

ちなみに、お客さまが「持ち家」になることで、金融審査全般のステータスは上がることとなる。

どういうことかというと、高額な住宅ローンを組んだとしても、その後のクレジットカードやローン審査には有利に働くことが多いということ。

一般的なローン審査申込書の既存他社借入状況の記入欄で「住宅ローンは含まない」と記載されているのを見たことがある方もいるだろう。つまり住宅ローンは借金であっても、クレジットやほかのローン審査ではカウントされないしくみになっている。

さらに不動産担保ローンを扱っている金融会社からすれば、持ち家は「担保」になりうる最高の債権保全(残債によるが)。そういう意味で、マイホームを手に入れたことで、さらに借金を増やしてしまう方も少なくないのである。

どんな人でも住宅業界は「大歓迎」

それと、「破綻予備軍」とまではいわないものの、販売する側も少々心配になってしまうのが、転職したばかりで家を買おうとする方。銀行もそれを懸念して住宅ローンの審査で勤続年数に規定を設けているところも多い。

ちなみに勤続年数を「1年以上」とする金融機関が50%以上で、基本3年以上が理想。

ただ住宅金融支援機構の「フラット35」などは昔から勤続年数は1年未満でも融資申し込み可能であり、最近ではネット銀行でも勤続年数の基準を設定していないところが増えてきているようである。

このような住宅ローン申し込み者の敷居を下げることで、ローンを組みやすくはなるのかもしれないが、まだ1年同じ会社に務まってない人が、なぜ35年の返済を約束できるのかも疑問である。

たまに転職して3カ月とか半年で住宅ローンを組もうとするお客さまを見ることがあるが、それって、会社によっては「試用期間」なのでは? と首をかしげてしまうこともある。

それと、これはローコスト住宅メーカー「あるある」のお客さまでもあるが、住宅購入時の「頭金ゼロで諸費用もローン」という、常識にとらわれないアウトローなお客さま。

住宅業界の人間は、こんなお客さまでも大歓迎だ。それにしても、せめてお客さまの周りの人間で誰かこのような方々を止める者はいないものなのか……。

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