今永昇太4勝目 99球で150キロなしの“投げる哲学者”が“ちょっと試した”6回を元担当記者が分析
◇ナ・リーグ カブス8−3レッズ(2026年5月7日 シカゴ)
カブス・今永昇太投手(32)が7日(日本時間8日)、レッズ戦に先発し6回1失点毎回の10奪三振を奪う好投で、自身4勝目(2敗)を手にした。チームもこれで9連勝、本拠地で15連勝とし快進撃に左腕は貢献した。
記者は今永が23年まで所属したDeNAで最後の3年間を担当。同年の6月7日日本ハム戦のノーヒットノーランも現場で見届けた。
そして、今日のレッズ戦をライブ映像で初回から全99球見届けた。中4日の登板でもあり、省エネ投球が必要なのかもしれないが、99球中1球も「150キロ超え」はなし。最速は148キロだった。
それでもこれだけの安定した投球を披露する左腕に「相変わらずだな」の印象を持った。その中でも特に今永らしさを感じたのは、1失点した6回の投球だ。
今永はこの回の投球について「ちょっと点差もあったので、自分でこう試したいことをやったんですけど、ちょっとうまくいかなかった。でもこの試合でしかできないものがあった」
と振り返った。詳細は明かしていない。
先頭打者の4番・スチュワートに被弾した左越えソロは、真ん中高めの146キロ。打たれた瞬間、今永は打球を見ながら「やっぱりかあ」という表情を見せた。
そして、無死一塁からスティーブンソンに、134キロの甘いスプリットを大飛球の中飛とされると、画面にはしばらく考え込む表情が映った。この回には、さらに投球間に空を見上げて考え込んでいる表情が何度も映った。
球速だけなら150キロ超を何度も計測していたDeNA時代の方が速い。だが、現在の今永は、いかに疲労をためずに「中4日」で1年を過ごすかを最優先課題としている。
ドジャース戦(4月26日)で6回途中5失点の2敗目を喫したときに、「ストライクゾーンで勝負していくことが大事だと改めて感じだ」と話していたとあり、6回の今永は直球も変化球も大胆な「ゾーン勝負」でどれだけ結果に結びつくかを試していたとようにも思えた。その結果の1失点は収穫の部類。今後の大きな材料になったに違いない。
力を感じたDeNA時代とは異なる投球術でメジャー3年目を過ごしている左腕。150キロ超えのない「投げる哲学者」は、海の向こうで奥深くさらに進化した「哲学者」になっている。今永の悩む姿が映れば映るほど、記者は投球を見るのが楽しくなっていった。
(大木 穂高)
