「ご主人が痴漢で逮捕されました」警察から突然の電話、連休中でも家族は会える?
大型連休の合間の平日。休み気分が抜けきれないまま、夫は会社に出かけていった。
その日の夕方、妻のスマートフォンに見知らぬ番号から電話がかかってきた。
「警察です。通勤電車での痴漢の疑いで、ご主人を現行犯逮捕しました」
突然の知らせにパニックになった女性から「どうしたらよいのか」と弁護士ドットコムに相談が寄せられている。
翌日からは再び連休に入るが「夫と会えるのでしょうか」と不安を隠せない様子だ。
大型連休中に家族が逮捕される──。そんな緊急事態に家族はどのように向き合うべきか。刑事事件にくわしい元検事の西山晴基弁護士に聞いた。
●逮捕直後は「家族でも会えない」
──家族が逮捕されたと警察から連絡があった場合、どのような対応が必要でしょうか。すぐに会えるのでしょうか。
残念ながら、逮捕直後は、家族でも面会できません。
逮捕から勾留の判断がされるまでの最長72時間は、平日であっても、弁護士以外の面会は原則として認められていません。さらに土日祝日は弁護士以外の面会自体ができません。
そのため、まずは、弁護士に接見に行ってもらい、本人の状況や伝言などを確認するのが一案です。
この場合、当番弁護士制度を利用すれば、無料で接見してもらうこともできます。
なお、勾留後であれば、平日であれば家族の面会が可能となりますが、1回15分程度といった時間制限があり、自由に会えるわけではありません。
●勾留されるかが最初の分かれ目
逮捕後に最初の大きな分かれ目となるのは、72時間以内におこなわれる勾留請求の判断です。
勾留が認められれば、さらに10日間、延長されれば最長で20日間にわたり身体拘束が続きます。
一方で、勾留されなければ釈放され、自宅に戻れます。
そのため、初動としては、勾留を回避するよう、弁護士に早期に対応してもらうことが重要になります。
●職場への連絡は「慎重」に
現実的な問題として向き合わなければならないのが、職場への連絡です。実際によく相談を受けます。
無罪推定の原則があるとはいえ、「逮捕」の事実だけで懲戒処分に動く企業も少なくありません。
そのため、逮捕から勾留の判断が出るまでの間は、不用意に事情を説明することにはリスクがあります。
●説明するならどう伝えるべきか
コロナ禍も経て、急な体調不良などで数日間、従業員と連絡が取れなくなるケースも珍しくなくなっています。
仮に勾留されずに釈放された場合、逮捕の事実が外部に広がらない可能性は残っているかもしれません。
そのチャンスを残すために、妻が職場に連絡するのであれば、「体調不良になってしまい、本人から直接連絡できる状態ではないので代わりに休みの連絡をした」といった説明に留めることも一つの方法です。
●示談交渉は弁護士を通じて
痴漢事件のように被害者がいるケースでは、刑事処分を軽くするために被害者との示談交渉が不可欠になります。
早期に示談が成立すれば、勾留中であっても釈放につながる可能性があります。
ただし、示談交渉は本人が直接することはできず、弁護士を通じて進める必要があります。
いずれにしても、早い段階で弁護士に相談することが重要です。
【取材協力弁護士】
西山 晴基(にしやま・はるき)弁護士
東京地検を退官後、レイ法律事務所に入所。検察官として、東京地検・さいたま地検・福岡地検といった大規模検察庁において、殺人・強盗致死・恐喝等の強行犯事件、強制性交等致死、強制わいせつ致傷、児童福祉法違反、公然わいせつ、盗撮、児童買春等の性犯罪事件、詐欺、業務上横領、特別背任等の経済犯罪事件、脱税事件等数多く経験し、捜査機関や刑事裁判官の考え方を熟知。現在は、弁護士として、刑事分野、芸能・エンターテインメント分野の案件を専門に数多くの事件を扱う。
事務所名:レイ法律事務所
事務所URL:https://rei-law.com/
