「主導権を握るサッカーをしたい」カタールW杯から3年半――森保ジャパンはどのように進歩してきたのか? “成長の軌跡”を振り返る
一方、守備も様々な試行錯誤を繰り返してきた。
前述したように、23年3月の最初の活動ではビルドアップ改革に注力したが、守備がバラバラで相手にボールを持たれてしまい、練習したビルドアップも今ひとつ発揮する場が少なかった。結局、好守はつながっているので、どちらかだけを成長させようとしても効率が悪い。以降の日本代表は、守備に立ち帰って、プレッシングに取り組むようになった。
ところが、この流れを断ち切られたのが、24年1月のアジアカップだ。
親善試合の対戦チームは、パスをつないで攻撃のレベルアップを意図することが多いが、真剣勝負になると、相手は表情を変える。なりふり構わない。日本は縦パスを誘うゾーンプレッシングを行なったが、そのゾーンをロングボールで越えられてしまう。また、4バックの外、斜めに逆サイドへ蹴ってくることも多い。23年の得点力を支えたプレッシングが機能せず、一方的に押し込まれるようになり、イラクとイランに1−2で敗れた。
三笘が怪我で出遅れ、途中から伊東を欠き、自慢のファイヤーフォーメーションは飛車角落ち。さらに今では絶対的守護神の鈴木彩艶も、ほぼデビュー戦。さらに、プレッシングの機能不全。アジアカップの準々決勝敗退は、様々な要素が重なっていた。
以降、日本はシステムを4−2−3−1から3−4−2−1に変更。CBを3枚起用してロングボールに対抗しつつ、相手の出処となるビルドアップにマンツーマンで人を当てやすい形に変えた。もちろん、万能のシステムは存在しないので、3バックとウイングハーフの間は急所になりやすい。ただし、日本は3バックにスピードある選手が多く、三笘や堂安も実は守備がうまいため、この3−4−2−1はハイプレス維持を前提とした現状のベストになっている。
自分たちが主導権を握るサッカー。試合の在り方を自分たちが率先して導く。
敵陣でプレーしたいときは、ハイプレスで一気に押し込む。プレス回避やカウンターで押し返す。自陣でじっくり時計の針を進めたいときは、リトリートする。試合を動かしたいときは、動かし、止めたいときは、止める。日本が主導権を握っている、と感じる試合は多くなった。
順調に成長してきたことは間違いない。あとは本大会に向け、忘れ物をしないように準備するだけだ。
文●清水英斗(サッカーライター)
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