自宅でできる「プレコンセプションケア」とは?妊娠前の正しいセルフケア【医師解説】

自宅でできる妊娠前のケアについて気になっている人も多いのではないでしょうか。「はやしARTクリニック半蔵門」の林先生に、自宅でできる妊娠前のケアについて詳しく解説していただきました。

監修医師:
林 裕子(はやしARTクリニック半蔵門)

早稲田大学第一文学部卒業、名古屋市立大学医学部卒業、名古屋市立大学大学院医学研究科修了。その後、名古屋市立大学産科婦人科学教室、東邦大学産科婦人科学講座で経験を積む。2024年、東京都千代田区に「はやしARTクリニック半蔵門」を開院。医学博士。日本産科婦人科学会専門医・指導医、日本生殖医学会専門医、日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会専門医、日本超音波医学会専門医、日本不育症学会認定医、母体保護法指定医。

編集部

一方、自宅ではどのようなケアができるのでしょうか?

林先生

バランスの良い食事を心がけ、適正体重を維持することは重要です。近年、日本では若い女性の痩せが大きな問題になっており、政府が推進している健康プロジェクト「健康日本21」でも、20代女性における痩せの比率を低下させることが目標の1つに掲げられています。女性が低栄養の状態で妊娠した場合、低体重児を出産する確率が高くなりますし、低体重で生まれた子どもは将来、糖尿病や高血圧など生活習慣病を発症するリスクが高くなることも明らかになっています。こうした事態にならないよう、妊娠や出産前から適正体重を維持することが大切です。

編集部

そのほかには、どのようなケアが必要ですか?

林先生

睡眠リズムを整えて質の良い睡眠をとったり、ストレスを溜めない生活を心がけたりすることも大切です。また、かかりつけ医をもったり、必要な検査やワクチンを受けたりすることも、プレコンセプションケアにおける重要なアクションです。

編集部

様々なことが必要なのですね。

林先生

加えて、葉酸を積極的に摂取していただきたいです。なぜなら、葉酸は神経管閉鎖障害発症リスクを低減させる作用があるからです。特に妊娠計画開始から妊娠初期については、通常の2倍以上の量を推奨されていますが、食事からの葉酸摂取だけでは厚生労働省の推奨量を満たすことはできません。しかも一般的なサプリメントで摂取しようと思っても、必要血中濃度まで達するのに通常1カ月以上かかってしまいます。そのため、できるだけ早期から葉酸摂取をすることが必要なのです。

編集部

プレコンセプションケアを実践するには、非常に幅広い知識が必要になりますね。勉強になりました。

林先生

現在、様々な自治体がプレコンセプションケアに関する取り組みを進めていますが、その内容は地域差が大きいことに加え、助成制度が整っているところとそうでないところの差もみられます。そのため、プレコンセプションケアに興味がある場合は「お住まいの自治体でどのような助成が得られるのか」「そこではどのようなサービスを提供しているのか」を確認してみてください。必ずしもそこで提供されているサービスだけでは十分なことも多く、自治体の助成を使ってがん検診を受けたり、婦人科を受診して月経不順や過度の月経痛の治療を受けたりすることも必要かもしれません。そうした広い視野で「自分の健康管理は大丈夫だろうか?」「将来妊娠や出産をする上でリスクになりそうなことはないだろうか?」と考えてみることが大切です。困ったことがあればぜひ医師に相談しながら、積極的に自分の健康づくりに取り組む土壌を作れたらと思います。

編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

林先生

プレコンセプションケアと聞くと、「妊娠を希望する女性がおこなうべきもの」というイメージがあるかもしれませんが、女性だけでなく男性もおこなうべきものです。また、広義にとらえれば妊娠や出産を祈望する女性に限らず、あらゆる人が自分らしく健康に生きるために必要な取り組みと言うこともできます。健康のレベルを引き上げ、より満足度の高い充実した人生を歩むためにも、ぜひプレコンセプションケアというフレームを活用し、ご自分の健康状態を振り返ってみることをおすすめします。

※この記事はメディカルドックにて<妊娠前の健康管理は何をすればいいかご存じですか? 「プレコンセプションケア」の必要性を医師が解説!>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。