【W杯回顧録】第15回大会(1994年)|「もう足に力が残っていなかった」PK戦に泣いたR・バッジョ。日本の“ドーハの悲劇”にマラドーナ追放、ブラジルが24年ぶりの頂点に
カルロス・アルベルト・パレイラ監督が率いるブラジルは、守備的なバランスを取りながらロマーリオ、ベベートの得点力に託す手堅い戦い方を続けていた。オランダとの準々決勝では後半まで均衡が保たれたが、53分にロマーリオが先制すると、その10分後にはオフサイドポジションにいたロマーリオがボールに関与せず、代わって飛び出したベベートが抜け目なくゴール。1度は2点差を帳消しにされるが、最後はレオナルドに代わって出場機会を得た同じレフティのブランコがFKを直接決めて突き放す。準決勝も守備を固めるスウェーデン相手に攻めあぐんだが、終了10分前にロマーリオのゴールで振り切った。
ノックアウトステージを全て1点差で勝ち抜いたイタリアは、過酷な状況に直面していた。準決勝2試合は同日開催だったが、決勝の舞台と同じロスで戦ったブラジルは、現地に居座り、中3日間をしっかりと休養に充てることが出来た。一方イタリアは、ニューヨークからの移動に丸1日を費やすことになり、右足の状態が良くないR・バッジョと、膝の手術を受けたバレージは、試合直前までピッチに立てるかどうか判らなかった。
現地時間で12時半キックオフの決勝は、互いに隙を作らず120分間の消耗戦になった。イタリアは、膝の手術を経て決勝のピッチに間に合わせたバレージが、水際立った対応で引き締める。だがブラジルも、ボランチのドゥンガ、マウロ・シルバや、CBコンビのアウダイール、マルシオ・サントスと幹が堅固で、前半故障で退いたジョルジーニョの穴は交代のカフーがしっかりと埋めて層の厚さも示した。
結局互いに疲労が蓄積し、足が攣る選手が続出した伝統国同士の決勝は、史上初めてスコアレスのまま終わりPK戦に決着を委ねられる。
イタリアは、2人の功労者の足が限界を迎えていた。まず1人目のバレージのキックが枠を超えてしまい、ショックのあまりに崩れ落ちる。ブラジルもマルシオ・サントスが止められるが、イタリアは4人目のダニエレ・マッサーロも失敗。後蹴りのブラジル4人目のドゥンガが右隅に決めて派手なガッツポーズを作ると、イタリアは5人目のR・バッジョがスポットへと向かった。だが次の瞬間、R・バッジョのキックもクロスバーを高々と超えて、ブラジルの4度目の優勝が決まる。
「普段は抑えて蹴るが、もう足に力が残っていなかったので思い切り蹴ったんだ…」
ブラジルが24年ぶりに頂点に立ち歓喜を爆発させるのを背に、R・バッジョはがっくりと膝に手を置いた。
文●加部究(スポーツライター)
【画像】日本は何位? 最新FIFAランキングTOP20か国を一挙紹介!アフリカ王者が驚異の7ランクアップ、新たにトップ10入りを果たしたのは…
