プレーオフMVPを獲得した高田真希【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

写真拡大 (全2枚)

京王電鉄 presents Wリーグプレーオフ 2025-26 ファイナル

 バスケットボール女子Wリーグのプレーオフ・ファイナル第4戦が12日、京王アリーナTOKYOで行われ、レギュラーシーズン2位のデンソーが同1位のトヨタ自動車に70-51で勝利。3勝1敗とし、悲願の初優勝を果たした。プレーオフMVPには36歳の高田真希が選ばれた。デンソー一筋18年目で初めて掴んだ栄冠。諦めそうになった時に高田を突き動かしたのは、仲間から受けた刺激だった。

 18年。長い道のりだった。3年連続5度目のファイナル。「あと1勝」がなかなか掴めなかった。19点差、残り7秒。ボールを持った木村亜美が駆け寄ってくる。「最後は絶対にリツさんが持つべき」。ウィニングボールを受け取った高田はようやく表情を崩した。勝利を告げるブザーが鳴る。笑顔で仲間と抱き合う高田と対照的に、手書きの「優勝おめでとう」ボードを掲げるデンソーファンの目には涙が溜まっていた。

 名門・桜花学園高から2008年にデンソーに入団。当時は2部降格の危機に立つチームだった。2013年に初めてファイナルに進出。2017年も準優勝を経験した。2021年の東京五輪では、主将として日本初のメダル獲得という快挙を達成。だが表彰台の真ん中には立てなかった。皇后杯でも銀メダルばかりが増えていく。「優勝できない人生なのかな」「2位じゃダメなんですか」。そんな言葉が何度も頭をよぎった。

 2023年に皇后杯を制し、念願の頂点に立った。しかし、2冠を目指した2023-24シーズンのWリーグは惜しくも準優勝。翌年も再びあと1勝のところで敗れ、肩を落とした。何度もベンチで聞いてきた相手チームの優勝スピーチ。18年目でついに自分の番が回ってきた高田は、マイクの前で柔らかな笑みを浮かべ、力を込めた。

「成功する人は、成功するまで続けた人だと思っています。途中でやめたくなったり、投げ出したくなる場面はたくさんありますけど、続けていくことでいいこともあるんだと、いま感じました。やり続けることの大切さをこの優勝で感じてもらえたら、優勝した意義があるかなと思います」

 その言葉の重みを知る客席からは、拍手とともにすすり泣きが響いた。

なぜやり続けることができたのか「若い選手たちが…」

 やり続ける――。口で言うほど簡単なことじゃない。それが出来た理由を高田は「一番は優勝したいという強い気持ち。目標を持って戦うことがすごく大事」と説明する。ただ、「目標が高ければ高いほど簡単に届くものじゃないし、その苦労を自分自身が一番分かっている」とも言う。リーグ優勝こそなかったが、五輪銀メダル、アジアカップ連覇など多くの栄光も経験済。「このぐらいでいいかな」。心が揺らいだことは数知れない。

 足が止まりそうになった時、背中を押してくれたのが後輩たちの存在だ。「若い選手たちが毎日必死に練習して、常に体育館にいるようなバスケット人生を送っている」。かつての自分にも重なる姿。言葉を交わさなくても、「勝ちたい」という切実な想いが伝わってきた。

「だから、自分もこの年齢になっても『頑張んなきゃ』とバスケットを続けられている」

 36歳。最高の仲間と最高の景色を見るために、汗を流し続けた。「こうして結果的に優勝できたのは、みんなが自分にモチベーションを与えてくれたから」。ファイナルは4戦全てでチーム最多得点(26、12、24、21)をマーク。フリースローは計23本全てを成功させる驚異の安定感を示した。「みんなが一人ひとり役割を発揮しているからこそ勝てる」。文句なしのMVPでも強調したのはチーム力だ。

 負けて、悩んで、苦しんで。それでも「いつか必ず報われる時が来る」と信じて、結果よりも過程を大事に日々を積み重ねてきた。コートインタビューでも会見でも、真っ先に口をついたのは「最高です!」の一言。ありきたりなフレーズだが、酸いも甘いも噛み分けてきた高田の18年間がそこに詰まっていた。

(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)