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閉経後の女性にやってくる「アフター更年期」。薄毛や骨密度の低下といった心配事がありますが、治療で髪の毛が再び生えたり、生活習慣の見直しで骨の老化を抑制する物質を増やしたりすることもできます。ケアや相談で変化が現れたケースを取材しました。

■薬で治療、半年後に髪の毛が…

「分け目のところがハッキリまばらになって」。東京・千代田区にあるクリニック「クレアージュ東京」にいたのは、50代後半から薄毛に悩み始めた60代の女性患者でした。外用薬と内服薬を使用して治療を行い、その半年後に髪の毛が増えました。

「外に出て視線を気にするとかなくなって、うれしかったのを鮮明に覚えてます」

主治医の浜中聡子院長によれば、更年期が終わった後、早い時期に治療を始めたことがよかったそうです。

■本格的に症状が進むアフター更年期

浜中院長
「女性ホルモンがあるからこそなりにくかった病気が、急に出てくる。アフター更年期こそ本格的に症状が進むことを意識していただきたい」

女性の閉経年齢の50歳前後が更年期です。女性ホルモンが変動し、主に自律神経の不調が起きやすくなります。その更年期が終わった後が、アフター更年期です。

女性ホルモンの減少で血行や代謝への影響が出始め、薄毛や骨粗しょう症などが進行しやすくなります。しかし最近、早めの治療でその進行を遅らせることが可能なのではと注目されるようになりました。

■薄毛治療で大切な「歩く」「食生活」

薄毛治療で初めてクリニックにやってきた北原明美さん(66)。「抜け毛がすごいのと、地肌が透けて見えてきた」。まずは診断のため、髪の毛の状態を撮影します。北原さんが一番気になっているというのが、おでこの生え際です。

浜中院長
「フロント中心に治療をご希望であれば、まずは外用薬でいいかなと思うんですね。徐々に産毛と、しっかり密度が上がってきて髪質が上がってくれば(以前のように)戻っていくので、それを外用薬で」

自費診療で北原さんが処方されたのは、毛根の血行を促すための外用薬2種類です。生え際に毎日1回塗っていきます。

おすすめの生活改善も示されました。外出して、よく歩くことが大事なのだそう。浜中院長は「有酸素運動で普通に歩いたりお買い物行くとかでいい。細かい血管の働きを良くするのでもちろん髪にもいいですし、大前提、体にいいことですから」と伝えます。

そしてもう1つが食生活です。「髪の毛はケラチンという成分でできています。要はタンパク質なんですね。あとは髪に大事な物、亜鉛・ビオチンとか。できるだけ高タンパク低脂肪で、しっかりとっていただく」と浜中院長は言います。

■「外出して買い物」をすぐに実践

クリニックに行った翌日、北原さんは先生がおすすめする「外出して買い物」を実行することに。髪の材料となるミネラルが多いタンパク質食材を探しに、大豆製品の専門店へ。大豆ミートや、おみそを買い込みました。

「(大豆ミートは)ちょっとやわらかい。だから使い勝手が良く、まろやかさがおいしい」

タンパク質のとり方もひと工夫です。髪に良いビタミンが多いみそ汁の具には、ミネラル豊富なしじみを使います。さらに卵を加えて、動物性タンパクも摂取。大豆ミートで植物性タンパクも一緒にとり、バランスよく、髪の材料となる食材をとるようにしました。

■「明らかに毛が…」1か月で変化

積極的な外出とタンパク質をとる生活を続けて1か月。再び、髪の生え際の写真を撮影して比べてみます。

浜中院長
「ちょっとずつ、産毛が生えてきている」

北原さん
「『あ!違う』って。ホントにスケスケだったので」

浜中院長
「塗っていただいたおかげで、もう産毛が生えてている。反応すごく早くて順調」

通常、発毛サイクルの回復には数か月かかりますが、北原さんは食事改善や運動のおかげで、1か月で産毛が出たのだそう。「明らかに毛が出てきて、よかったです」

■「骨密度をまず知ることが大事」

アフター更年期においてもう1つ注意したいのが、骨。骨がスカスカになる骨粗しょう症です。弘前大学医学部附属病院では弘前市と協力し、住民たちに血液や骨など3000項目にわたる健康調査「岩木健康増進プロジェクト健診」を20年以上行っています。

その整形外科を担当するのは、骨粗しょう症の専門家である熊谷玄太郎医師(弘前大学大学院医学研究科・整形外科学講座)です。「まずは閉経された女性は、自分の骨密度がどれくらいなのか、まず知ることが大事だと思います」と話します。

8年にわたる同プロジェクトの追跡調査によれば、骨粗しょう症は気付きにくく、約1割の人が背骨の圧迫骨折を起こしていたそうです(307人、新規椎体骨折)。

熊谷医師
「骨折をおこしていても症状がない方もいます。なので定期的に健診、測るというのは非常に大事ですよね」

■“若返り”に関係するタンパク質

この岩木健康増進プロジェクトで、今年から新しく加わる検査項目があります。体内で見つかった、いわゆる“若返り”に関係するタンパク質「DEL-1(デルワン)」の検査です。

「DEL-1はもともと血管に多く含まれているもので、腫れや炎症を抑えるものです」。こう話す新潟大学大学院・医歯学総合研究科の前川知樹研究教授は、DEL-1が骨の中で骨の老化を抑制するメカニズムを解明しました。

「老化してくると骨の中の骨髄の中に老化の細胞が増え、骨をだんだんスカスカにしていくんですね。DEL-1を増やすと老化細胞を殺してしまうんですね。そうすると骨の中が若い段階に戻ってきて、また骨ができあがる」

「骨の中でもDEL-1がたくさん出ていて高ければ骨もしっかりとして、低くなると骨粗しょう症みたいになる」

DEL-1を測ることで骨の老化具合を推測できるとされ、新しい検査として期待されています。

■骨粗しょう症が気になる女性と調査

前川教授は現在、体内でDEL-1を増やす骨粗しょう症の治療薬の開発を進めていますが、普段の生活習慣でもDEL-1を増やせないかと調べています。

その調査に、ボランティアで参加している山原稲美さん(62)。骨粗しょう症が気になるそうです。

前川教授
「ちょっと腰が曲がってきたとか…」

山原さん
「言われます。ちょっと腰痛があったりして、(骨)密度は病院で(検査)できていないので気になります」

■ウォーキングとアマニ油の生活

まず今のDEL-1を測るために、だ液を採取します。分析の結果、DEL-1の濃度は21.2ng/mlでした。そして、このDEL-1を増やすための生活習慣としてまず山原さんが行ったのは、毎日10分以上のウォーキングでした。

前川教授
「ウォーキングを始めると約2週間で、DEL-1が1.5倍に増えることが分かってきています」

そして前川教授のおすすめで毎日の食事に加えたのが、アマニ油です。「オメガ3脂肪酸を含むアマニ油などを1日に小さじ1杯で、(DEL-1が)約1.5倍まで上がることが分かっています。両方合わせれば、ますますいいのでは」

山原さんは、ウォーキングとアマニ油の生活を3週間続けました。

■濃度は2倍、足腰も動かしやすく

そして再び、だ液を採取してDEL-1濃度を調べると、3週間前から約2倍の42.3ng/mlに増えました。前川教授の分析によれば、10歳ほど若返ったことになるのだそう。

さらに足腰が動きやすくなり、立ったままズボンがはけるようになったと大喜びです。「できるようになったんですよ。うれしくて、うれしくて。朝これが。何ですかね、これ。もうビックリ」

前川教授によれば、ウォーキングやアマニ油を続けてDEL-1が増えたことで、関節や筋肉の炎症が抑えられ、足腰が動かしやすくなった可能性があるといいます。このまま続けていけば、半年後には骨密度アップも期待できるそう。

閉経後の女性におとずれる、アフター更年期。老化の行方に重要なタイミングなので、早めにケアを始め、生活習慣を見直すことがとても大事だと専門家たちは言っていました。

(2026年4月2日『news every.』より)