パート先で「年収の壁が178万円に上がったから」とシフト増の相談が! 今までは「年収130万円」未満でしたが、4月からもっと稼いでも“社会保険料”は引かれませんか?

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パートで働く人にとって、「年収の壁」は働き方を考えるうえで重要なポイントになります。   2025年12月に公表された令和8年度税制改正大綱では、基礎控除や給与所得控除の見直しにより、所得税がかかり始める年収(課税最低限)が178万円まで引き上げられることが盛り込まれ、2026年3月31日に税制改正関連法が成立しました。そのため、「もっと働いても大丈夫なのでは」と考える人もいるでしょう。   例えば、週3日で1日4時間のパートで働く人は、社会保険料を負担せずにどの程度まで働くことができるのでしょうか。   年収の壁は、「税金」と「社会保険」で仕組みが異なります。本記事では、それぞれの制度を整理したうえで、どの程度まで働くことができるのかを具体的にシミュレーションします。

178万円の壁とは? 引き上げられるのは「所得税の壁」

給与で働く人の場合、所得税の計算では「基礎控除」と「給与所得控除」という2つの控除が差し引かれます。これらの控除額が引き上げられることで、税金がかかり始める年収の水準がこれまでより高くなるのです。
ただし、178万円という水準には一部、時限的な措置が含まれています。恒久的な控除の引き上げ部分だけを見ると、課税最低限はおおむね160万円台後半程度とされています。

社会保険には別の「壁」がある

パートやアルバイトで働く人が意識する必要がある年収の壁は、税金だけではありません。社会保険にも別の基準があります。代表的なのが、いわゆる「106万円の壁」と「130万円の壁」です。
一定規模以上の会社で働き、週の勤務時間などの条件を満たす場合、年収が106万円程度になると健康保険や厚生年金保険といった社会保険への加入が必要になります。また、それ以外の会社でも、配偶者の扶養に入って働いている場合は、一般的に年収が130万円以上になると扶養から外れ、自分で社会保険料を負担する可能性があります。
今回の改正によって引き上げられた178万円の壁は所得税の壁であり、社会保険の壁とは別物です。社会保険料の負担となる年収の条件が変わるわけではないため、働き方を考えるときは「税金」と「社会保険」の両方の基準を確認することが大切です。
なお、2026年4月からは扶養認定の判断方法が変更されています。残業代などを含めた実際の収入ではなく、雇用契約上の賃金を基準に年収を判断する仕組みになりました。さらに、106万円の壁についても、2026年10月に撤廃する方向で制度改正が予定されています。

社会保険料を負担しない働き方はどれくらい?

では、社会保険料を負担しない範囲で働く場合、どれくらい働くことができるようになるのでしょうか。ここでは、配偶者の扶養に入りながら働くケースを想定し、年収130万円未満に収める働き方を考えてみます。
年収130万円を12ヶ月で割ると、月収はおよそ10万8000円です。これを仮に時給1100円で計算すると、1ヶ月に働ける時間は約98時間になります。1週間あたりにすると、週24時間程度が目安になります。
働き方の例としては、次のようなイメージです。
 

・1日4時間働く場合:週5~6日程度
・1日5時間働く場合:週4~5日程度
・1日6時間働く場合:週4日程度

現在、週3日、1日4時間程度で働いている場合、月の労働時間は約48時間です。そのため、扶養の範囲内であれば働く時間を一定程度増やす余地があると考えられます。
ただし、勤務先の規模や勤務時間によっては、「106万円の壁」が適用されるケースもあります。働く時間を増やす際には、勤務先の社会保険の条件を必ず確認しましょう。

まとめ

2026年以降の税制改正では、所得税がかかり始める年収の水準が178万円まで引き上げられますが、社会保険の壁とは別のものです。そのため、配偶者の扶養に入ったまま働く場合は、一般的に年収130万円未満に収める必要があります。
年収の壁に関する制度は、今後も見直しが進むと考えられます。制度の内容をその都度確認しながら、働く時間や収入のバランスを考え、自分に合った働き方を検討してみてください。
 

出典

総務省 令和8年度税制改正の大綱
厚生労働省 「年収の壁」への対応
執筆者 : 竹下ひとみ
FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種