「AirPods Max 2」実機レビュー 競合のオーバーイヤーヘッドホンと比べて9万円の価値はある?

(CNN)筆者は、2020年12月に発売されたアップル初のオーバーイヤー型ヘッドホン「AirPods Max」の待望のアップデートである「AirPods Max 2」を1年以上待ちこがれてきた。その間、何年も初代を着け続けてきたわけだが、アップルはAirPods Maxの充電ポートにアップデートを加え、カラーを変え、ソフトウェアアップデートによっていくつかの新機能を提供するにとどまっていた。しかし今回、同社はついにこのヘッドホンを「H2」チップで刷新した。これにより新たなスマート機能が追加され、ノイズキャンセリングと音質の向上が図られている。
549ドル(日本では税込8万9800円)の同機(見た目は旧モデルとまったく同じだ)にアップグレードする価値があるかどうかを確かめるため、筆者は週末、これと旧モデル、さらに二つの主要な競合製品を持って、めったに静かにならない街へ繰り出した。結果にはいくつか驚かされた点もあったものの、すべての人がアップグレードする必要はないということもわかった。
アップルのAirPods Max 2を購入する前に知っておくべきことを紹介する。
気に入った点
アップルのAirPods Max 2は、一部のユーザーが好む音質を備えている
AirPods Max 2は屋外でもあらゆる音がかなり良く聴こえたが、その価格と実績を考えれば当然とも言える。
しかし本当のテストは、自宅のソファでの直接対決だった。音量を50%に設定し、アクティブノイズキャンセリング(ANC)をオンにした状態で、AirPods Max 2、AirPods Max、「Bose QuietComfort Ultra Headphones(第2世代)」、ソニー「WH-1000XM6」で、筆者がよく知っている3曲を聴き比べた。ジェイムス・ブレイクの「Didn't Come to Argue」を聴いたとき、AirPods Max 2はボーカルを最もニュートラルに再現し、ソニーとボーズのヘッドホンは低域にやや温かみがあった。ただし、これらのワイヤレスヘッドホンはいずれも全体的に、特にブレイクの高域や、曲の終盤でゲストボーカルのモニカ・マーティンが披露する甘く繊細な歌詞の部分で、すばらしい仕事をしていた。ただ筆者はAirPods Max 2の音が好みで、AirPods Maxよりも各要素の分離感と空間の広がりが感じられた。旧モデルはやや乱雑な印象があり、にごりを感じたのだ。
次に、ハドソン・モホークのより高速でインパクトの強い「Scud Books」をかけた。この曲には各ヘッドホンが活かせるベースがより多く含まれている。AirPods Max 2のベースは少し繊細な印象だったのに対し、ボーズとソニーはドアを叩くような響きだった。こういう低域のサウンドが好みならそちらを選ぶといいだろう。AirPods Max 2は再びAirPods Maxを上回り、すべての音がやや息づいていた。高・中域に関してはボーズやソニーとあまり差はなかった。
最後に、チャーリー・ブリスの「Back There Now」を再生すると、AirPods Max 2がベースをうまく扱えることを証明してくれた。曲の冒頭で跳ねるようなビートが実に気持ちよく響いたのだ。AirPods Max 2のドライバーは、この低域の音を明るいボーカル、ファジーなベース、クリアなドラムとともにうまくバランスさせており、その音は初代ととても似ていたが、エバ・ヘンドリックスのボーカルがやや明瞭になっていた。ソニーとボーズもこの曲をうまく再現したが、やはり温かみがあった。
すばらしいANC在宅勤務をしていようと、電車で通勤していようと、集中するために周囲の音を遮断したいと思う瞬間はあるものだ。そこで筆者は週末、AirPods Max 2、AirPods Max、Bose QuietComfort Ultra Headphones(第2世代)、ソニーWH-1000XM6をバックパックに詰め込み、街にでかけた。
AirPods Max 2は電車と周囲の乗客の音をうまく遮断してくれた。ANCの違いを注意深く聴き分けるためにAirPods Maxに替えてみたところ、新型と同様に、足元の線路の音は聞こえた。また、7席ほど離れた場所からの笑い声や会話の内容も聞こえてきた。Max 2に戻すと、もはや会話の内容すべてが聞き取れることはなくなり、何か話しているのはわかるが、単語がところどころ聞こえる程度だった。
次に、地下鉄のホームで、目の前に到着する電車のきしむ音や衝撃音に対して4機種のANCがどう機能するかを比較した。AirPods Max 2はXM6とQC Ultra 2と同程度で、旧モデルよりも勝っていた。
さらに自宅に戻り、Max 2がより静かな環境でどれほどうまく機能するかを確かめた。空気清浄機のかすかな風の音と、窓から入り込む街の音を遮断できるかを試したのだ。空気清浄機の音を完全に消し去る点で全体的にAirPods Max 2が最も優れており、クラクションの音を低減するという点ではXM6やQC Ultra 2と同等だった。一方、旧モデルはこれらすべての音のキャンセリングが劣っており、ラジエーターのきしむ音まで通してしまった。
AirPods Proから受け継いだ印象的な新スマート機能AirPods Max 2には、他の人がいる場所や通勤中に使いやすくするための新機能がいくつか追加された。最も印象的な機能は「ライブ翻訳」で、他の人が話している内容を驚くほどわずかなタイムラグで変換する。筆者はスペイン語を流ちょうに話す同僚のケビン・マルティネス氏と話しながらこの機能を試してみたところ、翻訳ソフトの反応の速さに驚かされた。マルティネス氏はその正確さにいたく感心していた。
ライブ翻訳はまだベータ版なのだが、マルティネス氏はこれに99%のスコアを付けた。旅行先での言語の壁を乗り越えるためにこの機能を使う人がいても不思議ではないと感じた。
「適応型オーディオ」も搭載されており、周囲の状況に応じてノイズキャンセリングとトランスペアレンシーモードを自動的に切り替えてくれる。
三つ目の新機能は「会話感知」で、適応型オーディオと同様、AirPods Pro 2とPro 3で初めて登場した機能だ。AirPods Max 2が会話を感知すると、トランスペアレンシーモードが有効になりノイズキャンセリングが無効になる。ソニーXM6の「スピーク・トゥ・チャット」機能よりも信頼性は高いと感じた。ソニーの機能は近くで誰かが話しているだけでこの機能が作動してしまうからだ。その点、アップルのほうはうまく機能し、バリスタと話してオーダーを伝える際にヘッドホンを外さずに済んだ。
気に入らなかった点変わっていない点が多すぎる
最近の「MacBook Air」や「MacBook Pro」とは異なり、初代のAirPods Maxは内部的な変更以上のアップデートを本当に期待していた製品だ。まず問題なのは、ヘッドホンに付属の「ほぼケースとは言えない」スマートケースで、実際にはほとんど保護機能がなく、サードパーティー製のケースを購入せざるをえない。飲み物をこぼしでもしたら、かなりまずい状況になるだろう。AirPods Max 2にも耐水性は備わっていないからだ。ソニーがWH-1000XM6に同梱するケースにも見劣りする。
さらに、初代AirPods Maxに圧迫感やフィット感の問題を感じていた人は、おそらく同じ不満を抱えることになるだろう。筆者が最も困るのは、帽子をかぶった状態でのフィット感だ。テレスコピック式のアームが十分に伸びないため、頭がメッシュのヘッドバンドに不自然に当たってしまう。ソニーのXM6でこのような問題を感じたことはなく、ボーズのQC Ultra 2のアームはもう少し伸びてほしいと感じる。
しかし、変わらないことが必ずしも悪いわけではない。AirPods Max 2のマイクは引き続き優秀で、ビデオ通話をした同僚からも音声の明瞭さについて高評価をもらった。トランスペアレンシーモードはその名の通り、周囲の音を鮮明に伝える点で最高の仕上がりだ。一方、ソニーXM6の「外音取り込み」機能は周囲の音に温かみとノイズを加えすぎてしまっている。(ボーズのQC Ultra 2も同様の傾向がある)
AirPods Max 2のバッテリー持続時間もさほど目新しさを感じない。ANCをオンにして比較的大音量で集中的に使用したところ、約12時間でバッテリーを77%消費した。「最大20時間」という公称値と比べると悪く聞こえるかもしれないが、それは筆者が音量をアップルのテスト時よりも大きめに設定していたからだ。一方ソニーは、ANCをオンにした状態で50%長いバッテリー持続時間を公称しており、筆者のテストでもその評価は正しかった。
最後に、AirPods Max 2の価格が高いことは少々不満だ。特に、ソニーXM6の459ドル(日本では税込5万9400円)や、ボーズのQC Ultra 2の449ドル(同税込5万9400円)と比較するとなおさらだ。AirPods Max 2がデザイン面で旧モデルとほぼ変わらないことを考えると、値下げがあってもよかったのではないかと感じる。
結論
では、AirPods Max 2を買うべきなのはいったい誰なのか。AirPods Maxを購入したことがなく、アップルのアップグレードを待ち望んでいたなら、ノイズキャンセリング性能、音質、スマート機能を考慮して購入の価値がある。一方、旧モデルのANC品質に満足しているなら、今年アップグレードする必要はないかもしれない。ソニーXM6と比肩するレベルで周囲の音を遮断できるようになったとはいえ、だ。そして、AirPods Max 2の価格が高すぎると感じるなら、セールを待つのも十分理解できる。初代も非常に優秀なため、300ドル以下で見つけられるならそっちを狙うのもいい。
ソニーXM6はフィット感、バッテリー持続時間、ケースの品質という点ではいまだに優れているが、最高のトランスペアレンシーモードとニュートラルなサウンドプロファイルを求めて、全体的に最高のノイズキャンセリングヘッドホンを探している人はAirPods Max 2を検討すべきだろう。
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本稿はCNN Underscoredのヘンリー・T・ケイシー記者による製品レビュー記事です。
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