かき揚げこそ、子どもの頃は何がうまいのかわからなかったが、いまではこれがないとそばが成立しない。サクサクの食感だけではなく、つゆに浸すことでふわふわにもなる、魔法の天ぷらだ。

そして、このテーブルには今、つゆが2種類もある。天つゆにつけるのもよし、そばつゆに入れるのもよし。これでそば4人前はいける。

えび天は美味しいが、「長期戦」には小さすぎる。イカ天ととり天は個性が強すぎた。だからこそ、ここぞというタイミングでえび天をかじる。何事も、何度か通ってわかるものだ。

◆親子丼は「チェイサー」である

そばを2つ頼むなら、ひとつはかけそばでもよかったのだが、温かいそばと冷たいそばを交互に食べるという食の扉はまだ開けていない。うどんも同じ理由で、麺類はどちらかに絞ったほうがいい。

とはいえ、お察しの通り、そばと天ぷらだけではさすがに飽きる。そこで甘くてしょっぱいだけでなく、味変にもなる親子丼を「チェイサー」として用意する。小諸そばにはカレーや上天丼もあるが、あくまでも主体はそば。個性の強い丼物は避けた。

これが、筆者の考え出した小諸そばの2000円の食べ方だ。空になりかけているそばつゆにそば湯を入れて飲みながら、満足げに腹をさする。

ひとり、テーブル席で3人前のそばを食べていると、家族連れの子どもが物珍しそうに筆者を見ていた。

よく、見ておけ。これがダメな大人だ。

【今回の摂取カロリー:2500kcal】

<TEXT/千駄木雄大>

―[「チェーン飯」を2000円で爆食い]―

【千駄木雄大】
編集者/ライター。1993年、福岡県生まれ。出版社に勤務する傍ら、「ARBAN」や「ギター・マガジン」(リットーミュージック)などで執筆活動中。著書に『奨学金、借りたら人生こうなった』(扶桑社新書)がある