生活保護を受けると「貯金は全部ダメ」と思っていました。少しくらいならしても問題ないでしょうか?

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「生活保護を受けたら、貯金は1円も持ってはいけない」そんなイメージを持っている人もいるかもしれません。しかし、実際には受給後の貯金が一律に禁止されているわけではありません。 むしろ、条件次第では「少しずつ貯めること」が認められるケースもあります。本記事では、誤解されがちな生活保護と貯金の関係を、具体例を交えて整理していきましょう。

生活保護受給中でも「自立のため」なら貯金は認められるケースも

「生活保護を受けるなら、手元の現金はすべて使い切らなければならない」と思っている方もいるかもしれません。
実は、生活保護制度において貯金は一律に禁止されているわけではありません。原則として、申請時には保有資産を活用することが求められますが、受給開始後にやりくりして貯めたお金については、その目的が「自立更生」のためであれば保有が認められるケースがあります。
ここで重要なのは、生活保護の目的が「最低限度の生活を保障し、自立を助長すること」にあるという点です。生活費を切り詰めて将来のために備える行為は、本来の「自立」という目的にかなうものであると考えられるため、必ずしも否定されるものではありません。

家電買い替えや引っ越しなど、認められる可能性のある貯金の目的とは

では、どのような目的であれば貯金が認められる可能性があるのでしょうか。ここでは代表的な3つのケースを紹介します。
 

(1)生活環境を整えるための費用(家電・家具の買い替えなど)

生活保護費には「家具什器費」などの一時金が出ることもありますが、生活保護が開始されるときや災害に遭った場合など、支給は一定の状況下に限られます。
そのため、冷蔵庫や洗濯機が故障した際に備え、毎月の保護費から少しずつ積み立てることは、安定した生活を維持するために必要な行為とみなされる可能性があります。
 

(2)自立に向けた転居費用や就職活動費

より家賃の安い物件への引っ越しや、就職に伴うスーツの購入、資格取得のための費用など、将来的に生活保護を脱却するための資金として貯金することは、制度の趣旨に合致するとみなされるケースがあります。
 

(3)子どもの進学費用や冠婚葬祭費

子どもがいる世帯では、高校や大学への進学に伴う入学金や教材費を貯めることが認められる可能性があります。また、急な不幸があった際の香典代など、社会生活を営む上で避けられない支出のための備えも、社会通念上妥当な範囲であれば容認されるケースがあります。

資産申告は必須! タンス預金や隠し口座が招く「不正受給」のリスク

貯金が禁止されていないからといって、ケースワーカーなどに黙って貯めるのは禁物です。生活保護受給者には、収入や資産の状況を正しく申告する義務があります。定期的に行われる家庭訪問や、資産申告の際に、通帳の写しなどの提出を求められることがあります。
「少額だからバレないだろう」とタンス預金にしたり、隠し口座を作ったりすることは、後に大きなトラブルを招きかねません。万が一、申告せずに多額の貯金があることが発覚した場合、「不正受給」とみなされるリスクがあります。
せっかく自立のために努力して貯めたお金が、不正受給と判断され、保護費の返還請求を受けて手元資金が圧迫されてしまっては元も子もありません。貯金を始める際は、必ず担当のケースワーカーに「将来の〇〇のために、毎月これくらいずつ貯金したい」と相談し、その目的を理解してもらうことが大切です。

まとめ

今回解説したように、生活保護制度では、自立や更生を目的とした貯金であれば、条件次第で認められるケースがあります。もちろん、遊興費などのために保護費を貯めることは認められません。
しかし、家具・家電の買い替え、子どもの将来の教育費や生活保護からの脱却を目指すための準備金としての貯蓄は、むしろ前向きな取り組みとして評価される可能性があります。不安がある場合は、1人で悩まず、担当のケースワーカーに相談してみましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー