PK戦で千葉を下し、喜ぶ川崎の選手たち。(C)SOCCER DIGEST

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 2026-27シーズンへの移行期間に行なわれる百年構想リーグ。その特別ルールとして、90分で決着がつかず、PK戦で勝利した側に勝点2、PK戦で敗れても勝点1が与えられる。試合ごとの賞金に関しても、J1なら90分で勝てば600万円、PK勝利は400万円、PK負けだと200万円という形で差が付くこともあり、各チームそれなりに意識して、準備していることが伝わる。

 開幕2節を終えた段階でメリットとデメリットを整理するのは難しいが、大会の話題性というところでも多少なりの効果はあるだろう。また、GKが注目されやすいのも、目に見えるメリットの1つだ。ここまで特別PKに強いGKを起用したり、終盤にPKを意識した選手交代などは見られないが、このハーフシーズンに関しては、複数のGKを起用していくプランを示唆する監督もいる。

 GKの選手たちに話を聞くと、誰の目にも見える形でヒーローになりやすいこともあり、ポジティブな反応がほとんどだった。
 
 キッカーとなるフィールドプレーヤーも、90分のプレーのみならず、PKが話題になるケースが増えており、メディア側からしてもニュースソースになりやすい。これまでとは異なる視点で、選手が記事に取り上げられやすくなっていることも事実だ。

 日本代表が北中米W杯をはじめ、今後の国際大会のPK戦で勝ち上がるためにプラスかどうかは正直、この大会が直接影響を与えることは考えにくい。もちろんA代表における国内組の割合が高くない事実もあるが、ハーフシーズンこれをやったから、代表チームがPKに強くなることはないだろう。

 今後これが通常のJリーグに導入されることも考えにくい。ただ、PKの重要性が日本サッカー界に認識されることで、育成年代における取り組みに影響を与える期待はあるかもしれない。これまでも全国高校サッカー選手権などではPK戦のプライオリティが高かったが、すっかり普及してきたリーグ戦にそうした要素も取り入れていくのかどうかは議論の余地がある。
 運営側の思惑として考えられるメリットは、昇格・降格などが無い特殊な大会の存在意義を加えること、さらには1試合1試合の注目度を高める狙いもあるだろう。また、ハーフシーズンであるため、通常通りだと勝点に差が付きにくいが、PK勝ちを加えることでバラ付きを生み出しやすい。

 J1ではEASTで川崎フロンターレとFC町田ゼルビアが90分では1勝1分だが、PK勝ちが1つあるため勝点5となっている。同じく1勝1分の浦和レッズと鹿島アントラーズはPK戦で敗れたために、勝点4に留まっているのだ。

 その一方で、ここまで90分で2引き分けのFC東京はPK戦に2度勝利しており、鹿島と浦和に並ぶ勝点4を獲得している。もちろん得失点差はプラスマイナス0なので、順位は同勝点の浦和と鹿島より下だが、この2試合で獲得した勝点2が、最終的に効いてくる可能性は高い。
 
 ただし、サッカーにおけるリーグ戦はホーム&アウェーなので、アウェーで勝点1を獲得する価値などを考えても、本来の位置付けを微妙にしてしまうところがある。基本的にホームで勝ち、アウェーで負けないというリーグ戦の考え方にズレが生じるので、チーム戦略を難しくしているところも感じられる。

 ここまでJ1は20試合中10試合が90分で決着せず、PK戦が行なわれた。一方のJ2・J3は37試合中6試合ということで、一概に”引き分け狙い”が強まっているとは言い難い。これに関してはもう少し先まで傾向を見ていく必要はあるが、ハーフシーズンの勝ち点計算として、90分で同点なら最低1、PK戦に勝利すれば2が加算されるというのは、90分で勝利するメンタリティに、大なり小なり影響を与える可能性は否定できない。

 結果的に、試合終盤の消極的な戦いに繋がってしまうケースもあるかもしれないが、そうしたマネージメントも含めて見るのは、ハーフシーズンの楽しみ方と言えるかもしれない。

文●河治良幸

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