U-23アジアカップで連覇を達成した大岩ジャパン。(C)Getty Images

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 残念ながら、アジアのサッカーは地盤沈下を起こしている。クラブレベルでも、代表レベルでも、そのレベルは目を覆うほど低い。サウジアラビア、カタールなどオイルマネーをばらまく国では、有力選手がやってきているが、アジアサッカーの底上げにはほとんどつながっていないのが現状だ。

 日本サッカーの現状を見極めるとき、それを前提にしないと、世界と対峙したときにバグが起きてしまう。

 たとえば年明けのU-23アジアカップで、日本がU-21代表で挑んで韓国、中国を次々に撃破し、優勝を勝ち取ったことは目覚ましい功績と言える。日本サッカーだけは、地盤沈下を免れている。欧州に渡る選手が次々に出て、次の世代の選手たちも育成できている証左だろう。

 しかしながら、大会全体のレベルはひどいものだった。各チーム、ボールはろくにつながらない。原則的な守備もできない。チームとしてのデザインも、ほとんど見えない。ないないづくしだった。

 準決勝の中国対ベトナムなど、凡戦のキワミだった。お互いが低い位置で構えて5バックのブロックを組んでいたが、相手の攻めるボールをひっかけ、攻撃につなげるだけで、ベーシックな戦いと言えば聞こえはいいが、それぞれの技術、戦術レベルは凡庸を極めた。失っては攻守が変わるが、ほとんど何も起きず、偶発的なチャンスはあったが...。

 体格、身長で明らかに勝る中国が、セットプレーでベトナムを圧倒した。しかし、中国の選手はまともにボールプレーができていない。結局、ベトナムの選手が、中国の選手を殴って退場になって決着はつく形で...。
 
 一方、昨年のU-21欧州選手権では、イングランドが優勝しているが、大会の質は高かった。基本的にキック&コントロールがしっかりしているし、自らボールを持ち運び、仕掛け、スペースを使い、作るという連続で“サッカーになっていた”。スペインのミケル・ハウレギサルのミドルやポルトガルのジオバニー・クエンダのドリブルは見物だった。そもそも、ビッグクラブで主力のラミネ・ヤマルやパウ・クバルシのような選手は軒並み不参加でもクオリティの高さ、将来性を感じさせた。

 U-21欧州選手権は16チームが本戦に勝ち抜いての争いだが、U-23アジアカップで準優勝、ベスト4と躍進した中国もベトナムも、どれだけ甘く見積もっても本戦にも辿り着けないだろう。

 日本は怒涛の優勝を勝ち取っている。それも事実上U-21チームでの殊勲だった。祝福すべきであり、水を差すつもりもない。しかし世界標準の戦いは、まったく違うところにあることを念頭に入れないと、日本サッカーにも歪みが起きることになる。

文●小宮良之

【著者プロフィール】こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。

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