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焼肉・・・今、熊本市東区周辺で、多くの店がしのぎを削っています。

【写真を見る】「焼き肉激戦区」それは熊本市東区周辺だ なぜ? 学生が多いから? おせっかいを焼きたがる? インバウンドも影響?

国の統計調査では、熊本市は焼肉店での年間支出額が全国5位。新規出店が相次ぐ熊本市東部を訪ねました。

記者「熊本市東区長嶺周辺では、この『肉の熱いバトル』が繰り広げられているというんです」

焼き肉店がひしめきあっているのは、熊本市の国体道路沿い長嶺周辺です。半径1キロ圏内に少なくとも8店があります。

そんな激戦区へ去年3月に参入したのが、九州で40店舗以上を展開する「清香園」です。

店の強みを聞いてみると・・・

清香園 鶴巻惇さん「一番は、九州産の黒毛和牛を使用していて、柔らかくておいしいお肉をお召し上がりいただける」

店の中には、キッズスペースや歓送迎会に使える大広間などがあるのも強みです。

一方、迎え撃つ方も黙ってはいません。

開店10年目を迎えた、地場の「焼肉ダイニングなんべんでん」。黒毛和牛を含めた112品が3980円で食べ放題です。

なんべんでん 西間庭秀人マネージャー「うちは自信を持ってA4ランク以上の肉を出しています。原価率は50%。いっぱいお客さんに来てもらわないと儲からない」

また、サイドメニューにも力を入れ、熊本県産米を使った釜焚きご飯も人気です。

なんべんでん 西間庭秀人マネージャー「守りではなく攻めの姿勢で頑張っていかなくては。新しいメニューや企画にチャレンジしながらお客様を飽きさせないようにして地域一番を目指していく」

このように闘志を燃やしています。

しのぎを削る店同士の距離はわずか200メートル

記者「激戦区を象徴するのが国体道路沿いに、あるあちらの店舗とこちらの店舗。わずか200メートルの距離です」

2023年に進出した「焼肉きんぐ」。全国で300店舗以上を展開する大手焼肉チェーンです。席を立つことなく食べ放題を楽しめるのがこの店の強み。3280円の食べ放題は130種類以上をタッチパネルで注文できます。

そして最大の特徴が「おせっかいマスター」の存在です。

肉だけではなく、おせっかいも焼く接客のプロフェッショナル。専用のTシャツを着用して店内を巡回し、食べ方や焼き方を教えたり、困っていることにいち早く気づいたりするのが使命です。

焼肉きんぐ 志村優介店長「きんぐという名に恥じないように頑張っていきたい」

焼肉きんぐから200m離れた場所にあるのが、焼肉なべしま系の「匠番屋」。こちらは高級路線で攻めています。

匠番屋 松尾敏博店長「A5等級の黒毛和牛を中心に仕入れており、お肉の状態や熟成具合を見て最高のものを提供している」

店内は全席個室。店長の胸元にはキラリと輝くものが…「焼き肉ソムリエ」のバッジです。

焼肉ソムリエとは、全国焼肉協会が認めた「焼肉のプロ」。合格率は10%前後と狭き門です。

激戦区にはワケがある━━ 住宅地・大学・インバウンド

各店が独自の戦略を打ち出していますが、そもそもなぜ、この地域には焼き肉店が多いのでしょうか。

出店した理由やターゲット層を各店に聞いてみると

清香園 鶴巻惇さん「学校がたくさんあり、ファミリー層が多い」
焼肉きんぐ 志村優介店長「色々学校があり、ファミリー層が多い」

最近はこんな傾向も・・・

なんべんでん 西間庭秀人マネージャー「台湾の方とかTSMCの関係でこちらに流れてくる」
焼き肉きんぐ 志村優介店長「インバウンドの予約が増えており、多いときで月5~6件ある」

さらには人手不足の昨今、アルバイトを確保しやすいという特徴もあります。

この地域には熊本県立大学がある他、少し離れれば熊本大学、熊本学園大学、東海大学もあり学生が多い場所です。

匠番屋 松尾敏博店長「ありがたいことに近くに大学があるので、そちらのスタッフが9割以上。スタッフ不足には悩まされない」

とはいえ、近年は肉も野菜も値上がりし、原価高騰は頭の痛い問題です。利用客の心と胃袋を満たすため、日々努力。その熱い思いはどの店も共通のようです。

熊本経済の動向に詳しい、地方経済総合研究所の嶋田英岳さんに聞いた

――昨年度の焼肉店の倒産が過去最多になったというデータもあるが

「チェーン店も地場店舗も厳しい経営環境は共通していますがコロナ禍をなんとか乗り切った後は、昨今の食材費や人件費の高騰で息切れするところもでてきているようです」

――肉の仕入れ価格について

「2020年を100とすると、今では2割以上、値が上がりしています。この背景には餌代の高騰や燃料費の高騰などが挙げられます」

――人件費について

「熊本県内の最低賃金も年々上がっていますので、人件費の支払いの負担が増えています」

――それでもなぜ出店が相次ぐのか

「焼肉」という業態の参入のしやすさが競争を激化させている要因だと思います。チェーン店の強みは、
・スケールメリットを生かした安定した仕入れ
・進出、撤退のトータルで見た採算確保
・広告宣伝などPRする力、資金力                         一方で地場店舗は、チェーン店のようなスケールメリットが生かせない、広告宣伝などのPR力に課題があるため、大手と地場の二極化は避けられないのかもしれません。

――地場店舗にも頑張ってほしいが

「その店舗にしかないメニューの開発や、働き手への魅力アピールというのが重要になってくると思います」