TikTokには「物乞い禁止」ポリシーがあるにもかかわらずアルゴリズムが積極的に物乞い配信を拡散している

TikTokにはアプリから生配信ができるTikTok LIVEという機能があります。TikTok LIVEでは視聴者は「バーチャルギフト」を購入して送ることで、配信者を金銭的に支援することが可能ですが、あくまでクリエイターを応援するための機能であり、「物乞い」とみなされるもの、特に貧しい児童を搾取する形の配信をTikTokはポリシーで厳しく禁じています。しかし、オブザーバーの調査により、TikTokにおいて「物乞い」は広く行われており、TikTokはポリシー違反の配信を宣伝することで最大70%の手数料など利益を得ていることが指摘されています。
https://www.theguardian.com/technology/2025/apr/06/profiting-from-misery-how-tiktok-makes-money-from-child-begging-livestreams

2025年1月から4月にかけて実施されたTikTok LIVEに対する分析によると、インドネシア、パキスタン、アフガニスタン、シリア、エジプト、ケニアなどの国々で物乞いや関連行為の証拠が見つかったとのこと。生配信の多くでは家庭内で物乞いをする家族の様子を配信しており、例えばあるアカウントでは「私たちはとても貧しいです。私たちを支えてください」と子どもたちがバーチャルギフトをねだり、ギフトが贈られると拍手して感謝する配信を数時間にわたって実施していました。以下は、The Guardianが記録した物乞い配信の様子で、無言で並ぶ子どもたちがバーチャルギフトを受け取った直後だけ一斉に拍手をしています。

また、直接的な物乞い以外にも、自分を殴ったり泥だらけになったり、タイル張りの床に少女2人が横たわっている様子が映されたりと、危険や不安を感じさせる内容も確認されています。
オブザーバーから物乞いをするアカウントについて警告を受けたTikTokは2時間以内にアカウントを停止しました。しかし、アプリ内の報告ツールから以前に報告があった際は、何ら停止措置などを講じていなかったとオブザーバーは指摘しました。
インドネシアを拠点とする慈善団体のケア・インターナショナルに所属する社会的に弱い立場にある人々の保護を目的とした社会的包摂の専門家であるノビタ・アングラエニ氏は、「TikTok LIVEは通常、多くのクリエイターが自分の才能を披露するためや、人々とつながるために利用します。しかし、これを『金儲けへの近道』と考える人たちによる悪用が増えており、物乞いやそれに関連する行為を映した『有害な』動画が急速に増加しています。これはまったく新しい形の搾取です」と語りました。アングラエニ氏によると、物乞い配信は個人ではなく組織化された「物乞いネットワーク」が貧乏な家庭を狙ったものであることも多く、それらの組織が収入を管理して複数の家族を虐待するリスクも考えられるそうです。

国連人権理事会の任命を受けて貧困が人権に与える影響について調査、報告を行う「国連の極度の貧困と人権に関する特別報告者」のオリビエ・デシュッター氏は、TikTokと仲介業者が「人々の悲惨さから利益を得ている」と非難しました。デシュッター氏は「人々の苦しみから利益を得ることは、『デジタル略奪』にほかなりません。TikTokには直ちに行動を起こし、搾取的な物乞いに関する自社のポリシーを施行し、世界で最も弱い立場にある人々から得ている手数料について真剣に疑問を呈するよう求めます」と語っています。
TikTokではライブ配信中の「子供や弱い立場の人々を搾取する」ことを含めて物乞いをポリシーで禁止しており、オブザーバーの警告に応じてアカウントの削除を含む「断固たる措置」を講じたと発表しました。TikTokを運営するByteDanceの広報担当者は、「子供が贈り物を乞うライブコンテンツは、TikTokでは許可されていません」と述べた上で、「専門チームとテクノロジーによる積極的な検出により、毎月400万以上のライブ配信を停止し、プラットフォームの安全を保っています」と厳しい姿勢を明らかにしています。
オックスフォード大学犯罪学センターの研究員で、テクノロジー企業に搾取的なネット物乞いの検出について助言していた経歴を持つマヤ・ラハブ氏は、ライブ配信のモデレーションは多くのリソースを必要とし非常に難しいものであると指摘。ラハブ氏によると、明確に物乞いをしている配信以外にも、自分の子どもを生配信に登場させることで営利を狙うインフルエンサーも存在していますが、それを搾取的として削除するかは難しいとのこと。ラハブ氏は「肝心なのは、いつそれが搾取になるのかということです。そこがプラットフォームの取るべきバランスなのです。特に第三者が関与していたり、登場人物が同意するには幼すぎたり病気だったりする場合、人権侵害について深刻な懸念があります」と述べています。
