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ファン待望の「ガンダムSEEDシリーズ」最新作『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』が2024年1月26日に全国の劇場で公開される。それに先駆け、『機動戦士ガンダムSEED』(HDリマスター)を3部作に、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』(HDリマスター)を4部作に再編集したスペシャルエディションの劇場上映が決定した。

スペシャルエディション全7作と共に「ガンダムSEEDシリーズ」の魅力を振り返るアニメージュプラスのコラム連載、第2回となる今回は9月8日公開の『機動戦士ガンダムSEED スペシャルエディション 遥かなる暁 HDリマスター』と共に、ドラマの大きな柱となったキラ・ヤマトとアスラン・ザラのドラマについて触れていきたい。

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『ガンダムSEED』の大ヒットを牽引したポイントのひとつに、キラとアスランという二人の少年のキャラクタードラマがある。『ガンダムSEED』は、原点である1979年放送の『機動戦士ガンダム』(以下、『ガンダム』)の要素を意識しながら、キャラクターの表現や心理描写において若い世代へ向けてのチューニングが行われた。

それまでのロボットアニメの主人公は身体能力が高く、物事に積極的に向き合う熱血漢という「少年少女が憧れるヒーロー」として描かれることが多かった。しかし、『ガンダム』の主人公アムロ・レイは、内向的な性格で機械いじりが趣味という普通の少年。それはまさに作品を観るファンの等身大の姿であり、だからこそ作品に「日常が戦争に塗り替えらえる」リアルと共感を呼ぶこととなった。

『ガンダムSEED』の主人公キラ・ヤマトもまた、コンピュータに精通したごく普通の少年であった。遺伝子調整された人類=コーディネイターでありながら、自然のままに生まれた人類=ナチュラルの社会で成長したことから、ナチュラルに対する親近感を覚えている。
しかしプラントと地球連合の戦争が始まり、学友を守るため地球連合軍の戦艦アークエンジェルとの同行を選んだキラは、ストライクガンダムのパイロットとしてザフトと戦う立場に立たされてしまう。

混乱した状況は、キラ自身が普段意識していなかった潜在的な問題を浮かび上がらせていく。ストライクガンダムでの目覚ましい活躍は、コーディネイターという種の優秀さと共に脅威をアピールすることとなり、フレイ・アルスターを中心にコーディネイターへの差別的な空気が仲間たちへと拡散されていく。
何かをきっかけにして突如友達が離れていき孤独化する恐怖、そして自分を理解してくれる人がいない不安と悲しさ――繊細であるがゆえに傷つき続けるキラの姿を、当時リアルタイムで作品を観ていた若年層は自分たちを重ねて見つめていたのだ。

一方、本作でのキラのライバルにおいても、様々なアップデートが施されている。
『ガンダム』におけるアムロのライバル的な存在と言えば、シャア・アズナブル。この複雑な出自と野望を抱えたジオン公国軍の青年エースパイロットは、偶然の触れ合いはあったものの、アムロとの関係は基本戦場だけのものであり、お互いを「敵」と認識し合っていた。

しかし『ガンダムSEED』のキラとアスランは、戦場において異なる立場で出会う時もお互いを「友」として見つめている。
アスランはキラと久々の再会を果たした時、手にしたナイフをふるうことはできず、キラは地球連合に騙されていると信じ、何とかしてプラント――自分の元へと身柄を戻そうと画策する。キラもまた、アスランとの戦いを望んではいないが、学友を守るためにはアークエンジェルと行動を共にするしかなかった。
戦場で出会う度に、キラとアスランは同じ思いを胸に抱き、苦悩する。「なぜわかってくれないんだ?」と――。

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戦争という状況が友情をいとも簡単に引き裂いてしまう残酷さ、またその現実を黙って受け入れることができない少年たちの純粋さ。どちらも戦うことを望んではいない、では何が悪いのか? それは自分の思いに気づかない「相手」のせいではないのか――。
キラとアスランの関係を通して、『ガンダムSEED』は戦争の非情さ、状況の複雑化、さらに止めることの難しさを鮮烈に、しかも鋭くえぐり取ることで、これまでのガンダムシリーズを支持していたロボットアニメ・SFアニメファンに加え、まったく違うファン層をも獲得することに成功する。

総集編第2弾となる『機動戦士ガンダムSEED スペシャルエディション 遥かなる暁 HDリマスター』では、そんなキラとアスランのドラマが大きく動いていくことに。
戦闘中に無人島へ流れ着いたアスランは、同じく漂流したカガリ・ユラ・アスハと向かい合うことで、戦うことの意味を見つめ直すことになる。しかし、続く戦いの中でキラとアスランはお互いの大切な仲間を失ってしまったことから、その怒りと悲しみが二人の本格的な激突を誘発してしまうことになる。
どちらが勝っても失われた命は戻ってこない、ましてや、さらに大切な人の命を奪うことになってしまう。それを理解しながらも、二人は戦うことをやめられない。壮絶な戦いの果てに二人がどんなところへと辿り着くのか――まさに本作の大きな見どころと言えるだろう。

一方、繰り返される戦闘の中で傷ついたアークエンジェルは、技術供与を条件に中立国オーブへと身を寄せることとなる。首長であるカガリの父、ウズミ・ナラ・アスハは他国を侵略せず、侵略を許さず、決して干渉しないという独自の立場を守ろうとするのだが、地球連合はそれを良しとせず、彼らの要求を受け入れないオーブをザフト支援国家とみなし、制圧しようとするのだ。
敵・味方の二元論に走ることなく、他国に負けない防衛力を保持することで「何ものにも与しない」という立場を守ろうとするオーブが迎える逆境は、憲法第九条により戦争と武力の放棄を守り続ける日本に住む我々にとって、決して他人事とは思えないはずだ。

さらに反コーディネイター団体「ブルーコスモス」の盟主ムルタ・アズラエルの暗躍、またアズラエルが投入する新たなガンダム=カラミティガンダム、レイダーガンダム、フォビドゥンガンダムの3機をまじえたMS戦など、見逃せない要素はまだまだ満載。
物語の大きな転換点の中でキラとアスランが選択する未来とは何か、その熱い展開を大スクリーンで確かめてほしい。

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