ダービーではユーリの激しいプレーに苦しんだ久保。(C)Getty Images

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 バスク・ダービーのような大一番の後に、一歩引いて選手の試合前の発言を分析するのは、啓発的かつ興味深い試みだ。

「激戦になるのは間違いない。集中力を保ちながら、ゴール前での攻防戦を制するか否かが勝敗のカギを握る。いつもどおりの仕事をしなければならないし、そうすればきっといい結果につながるはずだ」

「重要なのは、ゴール前での攻防戦を制すること。すなわち効率よく得点を奪い、守備陣は無失点に抑えることだ。もちろんセットプレーや球際の激しさといったディテールにも気を配れなければならない」

 イゴール・スベルディアとアンドニ・ゴロサベルが口を揃えて、「ゴール前での攻防戦」をポイントに挙げていたが、言うは易し行なうは難し。自軍ペナルティエリア内での守備が緩慢で、攻撃陣も最後の詰めが甘く、0−2の完敗を喫した。

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 タケ・クボ(久保建英)にとっては敵地サン・マメスでの初ダービーだった。得点を決めたヘタフェ戦の直後から、「ここにきて物事がうまく運び始めている。ダービー戦に向けて、これから1週間、再び最大限の準備をしなければならない」と闘志を燃やしていた。

 しかし、タケもまた今回は、試合の重要性、対戦相手、舞台装置が求めるパフォーマンスを披露することができなかった。前半スタート時のソシエダのシステムは4−4−2。タケはヘタフェ戦に続いて、ミケル・オジャルサバルとともに2トップを形成した。

 意外だったのは、そのポジションだ。今シーズン初スタメンのカパのコンディションを考えれば、突破力に長けたタケをぶつけるのが定石だが、前半終盤を除けば左サイドでプレーする機会は限られた。

 アスレティック・ビルバオはアノエタでの第1ラウンドでゴールを決めたタケを明らかに警戒していた。その実行部隊となったのがユーリ・ベルチチェだ。アグレッシブな守備が持ち味の元ソシエダの左SBは、主審の基準が甘いことをいいことに、反則すれすれのプレーを連発。タケがボールを持つたびに、息をふきかけんかばかりの密着マークで突破を封じにかかった。タケは決闘の要求を受け入れ堂々と立ち向かったが、残念なことにいつものプレーの精度を欠いていた。

 後半に入ると、試合の流れが変わった。きっかけになったのは、イマノル・アルグアシル監督のアンデル・バレネチェアの投入に伴う4−3−3へのシステム変更だ。タケはバレネチェアとともにウイングに配置された。

 ソシエダが攻勢をかけ、そして迎えた55分。ゴール前でのこぼれ球にいち早く反応したタケが右足を振り抜いたが、相手GK、ウナイ・シモンのセーブに遭った。ソシエダはその後も攻め続けたが、先述したように、最後の詰めが甘く、そうこうしているうちにビルバオに追加点を奪われ、万事休した。

 不可解だったのは、49分、タケがペナルティエリア内でユーリから肘打ちを食らい倒された場面だ。明らかなPKだったにもかかわらず、主審が笛を吹くことも、VARが介入することもなかった。

 61分に交代を命じられ、ベンチに下がる憮然とした表情が、タケにとって2度目のバスク・ダービーが不完全燃焼に終わったことを物語っていた。

取材・文●ミケル・レカルデ(ノティシアス・デ・ギプスコア)
翻訳●下村正幸