「ようやく再開できたのに、また振り出しに戻ってしまった……。今後の公演については全く見通しが立っていません(※9月3日に公演再開)」(劇団関係者)

【画像】レオタードで稽古する宝塚の生徒たち

 8月に新型コロナのクラスターが発生した宝塚歌劇団。現在は公演再開したものの、その間舞台に立てないタカラジェンヌたちの間で、様々な“事件”が起こっていた――。

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 3月23日から全公演を休止していた宝塚歌劇は、7月17日に本拠地の宝塚大劇場で公演を再開。その際、場内の消毒や換気を徹底し、客席稼働数も約半分に減らすなどして、コロナ対策に取り組んできた。


公演休止中の宝塚大劇場

 だが、「実は不十分な部分もありました」と、ある生徒の保護者は語る。

「再開前に当然、全生徒にPCR検査を受けさせると思っていましたが、一切なかった。検温や体調管理は生徒任せで、具合が悪くなれば自己申告するよう言われていた。生徒たちは『トップバッターになりたくない。体調不良になっても正直にいうのが怖い』と怯えていました」(同前)

 最初の陽性者は、宝塚大劇場での公演「はいからさんが通る」に出演していた花組の男役・Aさん。前出の劇団関係者が明かす。

「8月2日の公演前の朝、Aが味覚障害を訴えたのです。劇団は当日と翌日の公演中止に踏み切り、PCR検査を受けさせたら陽性が判明。そこで慌てて生徒全員とスタッフ、東京公演を行っていた星組など他の組も検査を実施しました」

“ショッキングな事実”に生徒号泣

 結果、花組9名、星組1名、雪組1名とスタッフ4名の計15名(8月17日現在)が陽性に。宝塚大劇場は兵庫県から「クラスターが発生」と判断され、劇団は8月31日までの上演中止を決めた。

 さらに、保健所の検査によって、ショッキングな事実が判明したという。

「最前列は客を入れなかったが、前方に張り出したステージの『銀橋』を使ったことで、客席との距離が縮まる場面があった。保健所の指導のもと、“飛沫”がかかった可能性のある5列目までの客に対し、歌劇団からPCR検査を受けるよう呼びかけがありました。それを聞いたある生徒は『お客様に迷惑をかけて申し訳ない』と号泣していました」(同前)

 一方、東京宝塚劇場では7月31日から星組が公演していたが、陽性者が1人出たため、8月7日から上演中止に。実家や自宅が東京にないジェンヌたちは寮に缶詰めになっている。

「陰性者であっても散歩や外出は禁止され、毎日、自腹で出前を取って過ごしているようです。生徒は『早く帰りたい』と嘆いていました」(前出・保護者)

自宅で自主練、近隣から苦情も……

 また、緊急事態宣言中は稽古が中止され、宝塚音楽学校も休校に。自宅待機を余儀なくされたジェンヌだが、近隣住民から苦情が寄せられるケースも……。

「ある宙組の生徒が住んでいる宝塚市のマンションの近隣住民から、劇団に『足音の騒音がひどい』という苦情が何度かありました。部屋には複数人が出入りをし、筋トレや自主練を夜中まで行っていたようです」(別の劇団関係者)

 舞台でも稽古でも“密”が避けられぬ宝塚歌劇。ステージ事業で年間約300億円を売り上げているが、その約半分を占める本公演の収入が途絶え、まさに非常事態だ。

「大劇場で個室の楽屋を使えるのはせいぜいトップ以下4人まで。それ以外は大部屋で、下級生は肩が触れ合うほどのスペースしか与えられない。今回、陽性になった子の多くは、舞台の後方で顔を見合わせて叫ぶようにセリフを言う役でした。これまでの舞台のあり方を根本から見直さないと、歌劇団自体が存続できなくなる可能性もある」(同前)

 マスク姿で歌って踊るジェンヌは見たくないが……。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年8月27日号)